【スペック】B4 2.0GT:全長×全幅×全高=4730×1730×1475mm/ホイールベース=2670mm/車重=1460kg/駆動方式=4WD/2.0リッター水平対向4DOHC16バルブ ツインスクロールターボ付き(260ps/6000rpm、35.0kgm/2000rpm)/価格=298万2000円(テスト車=376万9500円/濃色ガラス/クリアビューパック/HDDナビシステム/マッキントッシュ・サウンドシステム/本革シート/VDC/クルーズコントロール/サイド&カーテンエアバッグ/=78万7500円)

スバル・レガシィシリーズ【試乗記】

看板もすごいが、中身はもっと 2006.06.09 試乗記 スバル・レガシィシリーズ「SI-DRIVE」を引っさげて、華々しく登場した新「レガシィ」。スバルらしからぬ派手な演出だが、改良点はそれだけではなかった。いつも通り、地道な技術開発が目立たぬところで進行していたのである。
アウトバック2.5i S-Styleの内装

アウトバック2.5i S-Styleの内装
【スペック】
B4 2.0R B-SPORT(写真手前):全長×全幅×全高=4730×1730×1425mm/ホイールベース=2670mm/車重=1360kg/駆動方式=4WD/2.0リッター水平対向4DOHC16バルブ(180ps/6800rpm、20.0kgm/4400rpm)/価格=252万円(テスト車=280万3500円/B-SPORT+クリアビューパック+UVカット機能付濃色ガラス+ビルトインHDDナビゲーションシステム=28万3500円)

【スペック】B4 2.0R B-SPORT(写真手前):全長×全幅×全高=4730×1730×1425mm/ホイールベース=2670mm/車重=1360kg/駆動方式=4WD/2.0リッター水平対向4DOHC16バルブ(180ps/6800rpm、20.0kgm/4400rpm)/価格=252万円(テスト車=280万3500円/B-SPORT+クリアビューパック+UVカット機能付濃色ガラス+ビルトインHDDナビゲーションシステム=28万3500円)

エコよりインテリジェント

今回のマイナーチェンジの目玉が新採用の「SI-DRIVE」であることは、疑いようがない。「スポーツ」「スポーツ#(シャープ)」「インテリジェント」(以下文中「S」「S#」「I」)の3つの走行モードを切り替える機構で、テレビCMでも誇らしげにアピールしている。地味、質実などと評されることの多いスバル車だが、ようやく派手な演出法を覚えてきたようだ。まことに喜ばしい。しかし、それは見かけだけのことであることを、あとで知ることになったのだが。

とは言え、まずはSI-DRIVEを試してみることにした。装着されているのは、AT、MTにかかわらず、2リッターターボと3リッターエンジンを搭載しているモデルである。エンジンを始動させると、メーターパネル内のSI-DRIVEインジケーションが光り、存在を主張する。センターコンソール上にあるセレクターでモードを切り替えるようになっていて、左へ回すと「S」、右に回すと「S#」、押すと「I」が選択される。ステアリングホイールにもスイッチがあり、これを押すことにより、「S」か「S#」と「I」の切り替えができる。つまり、「I」が基本のモードと位置づけられているわけだ。

SI-DRIVEが「SUBARU Intelligent Drive」を意味することにも表れているように、インテリジェントであることが、このシステムの目指すところなのだ。あえて「エコ」という言葉を使わないところに、こだわりがあるらしい。スムーズな運転のためのモードであるという「I」はトルクを2リッターNAレベルに抑えていて、結果としては燃費に好影響をもたらす。しかし、それはあくまで結果であって目的ではないという考え方なのだろう。

試乗地が磐梯山で山道ばかりを走っていたのだが、2リッターNAエンジンのB4 2.0Rに乗っていても我慢を強いられるようなことはなかったのだ。だから、「I」モードがインテリジェントな選択であるというのは、もっともなことかもしれない。

【スペック】
ツーリングワゴン 2.0GT Spec.B:全長×全幅×全高=4680×1730×1425mm/ホイールベース=2670mm/車重=1500kg/駆動方式=4WD/2.0リッター水平対向4DOHC16バルブ ツインスクロールターボ付き(280ps/6400rpm、35.0kgm/2400rpm)/価格=329万7000円(テスト車=379万5750円/クリアビューパック+UVカット機能付濃色ガラス+ビルトインHDDナビゲーションシステム+マッキントッシュ・サウンドシステム=49万8750円)

【スペック】ツーリングワゴン 2.0GT Spec.B:全長×全幅×全高=4680×1730×1425mm/ホイールベース=2670mm/車重=1500kg/駆動方式=4WD/2.0リッター水平対向4DOHC16バルブ ツインスクロールターボ付き(280ps/6400rpm、35.0kgm/2400rpm)/価格=329万7000円(テスト車=379万5750円/クリアビューパック+UVカット機能付濃色ガラス+ビルトインHDDナビゲーションシステム+マッキントッシュ・サウンドシステム=49万8750円)


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SI-DRIVEの扱いが軽い?

しかし、人はいつもインテリジェントではいられないもので、磐梯吾妻スカイラインの浄土平あたりの雄大な風景の中を縫うように走る道では、俄然アグレッシブな走りを楽しみたくなってくる。B4 2.0GTのセレクターを右に回して「S#」を選び、コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込むと、それまでとはまったく別世界のパワーの盛り上がりが感じられる。「I」モードでは加速するのに右足を床近くまで踏み込まなければならなかったのだが、ごく浅くペダルを押すだけで急激にパワーが高まってくるのだ。

逆の方法も試してみた。上り坂でギアを固定したままアクセル開度を一定に保ったまま、モードを変えてみるのだ。「I」モードでは少々苦しいかなと感じていた坂でも、「S#」に切り替えた途端にエンジンの回転数が上がってトルクが増大し、加速を始める。日常の走行では、このような実用的な使い方も有効な場面があるだろう。B4 2.0GTはATだったが、あとでツーリングワゴンのMTモデルに乗ってみても、同様な印象を持った。日本車の中で群を抜いて高いMT率を誇るスバルだが、SI-DRIVEはMT派にも福音となるはずだ。

そんなわけでSI-DRIVEは概して好印象だったわけだが、あとでプレスインフォメーションのデータを見ていて思わず苦笑してしまった。改良点を列挙する中で、最初にエクステリア、インテリアのデザインに触れられているのは当然としても、目玉であるはずのSI-DRIVEはその次にも出てこない。パワーユニット、ボディ/シャシーの説明があって、ようやく5番目にほんの少し記述があるだけなのだ。SI-DRIVEのあとにはエアコンやオーディオ、カップホルダーについての項目があるだけで、ずいぶん軽い扱いではないか。

アウトバック2.5リッターエンジン

アウトバック2.5i S-Style:全長×全幅×全高=4730×1770×1545mm/ホイールベース=2670mm/車重=1440kg/駆動方式=4WD/2.5リッター水平対向4DOHC16バルブ(177ps/6000rpm、23.4kgm/4400rpm)/価格=268万8000円(テスト車=322万8750円/S-Styleパッケージ=9万9750円/濃色ガラス/クリアビューパック/HDDナビシステム/VDC/クルーズコントロール/サイド&カーテンエアバッグ/=54万750円)



掛け値なく、ビッグマイナー

エンジニアの方と話をしたら、その理由はよくわかった。熱心に説明されたのは、まずはシャシーに関する改良点についてだった。フロントサスペンションの取り付け部の剛性を向上させたことにより、操縦安定性と乗り心地がともに大幅に改良されたと力説された。そういえば、Spec.Bでも不当に硬い乗り心地に苦しむことはなかったのは確かだ。また、エンジンに関してもターボの形状変更や吸排気系、バルブタイミングの変更などによって出力向上と排出ガス低減を実現しているという。スバルらしい地道な改良が、やはり行われていたのである。

2003年に現行のレガシィがデビューした時、その劇的な洗練が高い評価を得たものの、弱点としては硬い乗り心地と排出ガスのクリーン度が指摘されていた。今回のマイナーチェンジで、そういったネガを着実につぶしてきたのだ。立派である。誇らしげな気持ちは、プレスリリースの項目の順位に如実に表れていたわけだ。

以前はそこで満足してしまったに違いないスバルであるが、今回はそれに加えて大向こう受けしそうなSI-DRIVEという飛び道具を用意したことは喜ばしい。優れた技術やたゆまぬ努力も、それが伝わらないことには販売成績という結果にはつながらない。そして、SI-DRIVEは派手な看板であるだけでなく、実質も持っている。ビッグマイナーチェンジという表現が、掛け値なく当てはまると思う。

B4、ツーリングワゴンともに、水平対向エンジン+4WDという組み合わせによる安定感を改めて実感させられた。ワインディングロードで、安心感とエキサイティングな気分とを両立させてくれる独特な走り味である。この2モデルと比べると、アウトバックはどうしたって分が悪い。やはりコーナリングでのすわりの悪さは否定しがたいのだ。ただ、水平対向エンジン+4WDのメリットをそこそこに享受しながら立体駐車場にも入るサイズであり、実用性もしっかり充実させているという意味ではよいバランスなのだともいえる。ある意味、とても「インテリジェント」な選択なのかもしれない。

(文=別冊単行本編集室・鈴木真人/写真=郡大二郎/2006年6月)

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