【FN 2006】第3戦もてぎ、読めない天候の下、ロッテラーが移籍後初勝利

2006.05.29 自動車ニュース

【FN 2006】第3戦もてぎ、読めない天候の下、ロッテラーが移籍後初勝利

スタートはレインタイヤ、そしてピットで交換したのはスリックタイヤ。この2種類のタイヤを駆使しながら、攻めの走りだけでなく、ときには守りの走りで真っ先にチェッカードフラッグを受けたのは、24歳のドイツ人、アンドレ・ロッテラーだった。

5月最後の日曜日、栃木県のツインリンクもてぎで開催された全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第3戦。開幕戦から続く、すっきりしない天気のなかでの闘いは、ここもてぎでも繰り返された。

そんななか、序盤にトップへと浮上、終盤は後続との死闘を演じ切ったのがロッテラー。FN参戦以来、自身通算5勝目をあげることとなった。2位はブノワ・トレルイエ、3位には、本山哲が続いた。

■小暮、渾身の一発で今季初ポールポジション

予選開始直前に雨が降り、コースイン時にスリックタイヤを装着していたマシンが続々とタイヤ交換のためピットイン。アタック中盤、1台のマシンがコース上にストップしたため赤旗中断となったが、再開時には雨も止み、スリックタイヤでのアタックが可能となった。

これであっという間にトップタイムが縮められたが、その後1台のマシンがスピンし、またも赤旗中断。仕切り直しのアタックで本山がトップタイムを叩き出し、このまま暫定トップが決定するかと思われたその瞬間、小暮卓史がこのタイムに対し1000分の9秒という僅差でトップを奪い去った。

午後からの予選2回目は雨こそ降っていなかったが、路面はウェットコンディションのまま。セッション途中にはスリックタイヤにスイッチするドライバーも多く見受けられたが、タイムアップまでには至らず。結果、予選1回目のタイムが有効となり、小暮の今季初ポールポジションが確定した。

■小暮、ジャンプスタートでペナルティ

決勝を前にしたもてぎ上空には、雲が一面に広がっていた。加えて朝のフリー走行で激しく降った雨の影響を受け、レースはレインタイヤでのスタートを迎えることとなった。

シグナルランプが消灯、それを待たずしてマシンがやや動いたポールシッター小暮に対し、その隣の本山は逆に出遅れる。かわって予選3番手の山本左近が前に出て、本山は3番手に後退した。

頭ひとつ抜け出したかに思われた小暮だが、ジャンプスタートがとられ、4周を終えてドライブスルーペナルティ。これにより山本がトップに立つ。だがその山本も、走行中に左リアタイヤのホイールナットが緩み、予定を早めてのピットインを強いられる。さらに復帰後しばらくして、今度はシフトレバー破損のトラブルが発生。これで表彰台が一気に遠のいた。

■ロイック、後方から驚くべきポジションアップ

上位車の失速、ピットインによるポジション変動が起こるなか、あれよあれよという間にトップに立ったのがロイック・デュバルだった。

金曜日からマシンの電気系トラブルに悩まされ、予選ではアタックを前にマシンストップ。再三のトラブル続きで、決勝では最後列からスタートを切ったが、ポジション挽回を狙ってチームではスリックタイヤを投入する賭けに出た。

結果、これが功を奏し、デュバルは乾き始めたコースをハイペースで周回。途中、レインタイヤでペースの上がらない前車を勢い余ってプッシュ、相手がスピンするという一幕もあり、これに対して10秒のペナルティストップが科せられたが、それでも依然トップをキープ。前回に続いての連続勝利も夢ではなくなってきていた。

だが、今度はそのデュバルまでも天候に翻弄されてしまう。後半に予定していたピットインを前に、にわかに曇り始めた空から雨が落ち始めたため、チームは迷うことなくレインタイヤを選択。
どんぴしゃのタイミングかに思われたのだが、雨を降らせた雲は過ぎ去り、再び路面が快方へと向かったのだ。当然のことながらデュバルのペースも上がらない。結果、ポジションを下げ、6位で完走するに終わった。

■ロッテラー、攻防戦の末に勝利を獲得

タイミング良くタイヤ交換を済ませ、まわりのライバル勢との闘いで気がつけばトップに立っていたのが、予選15位スタートのロッテラーだった。ピットインは10周終了時と比較的早いタイミングだったが、スリックタイヤを武器に、残り20周の時点でトップに立った。

終盤に入ると、デュバルを料理して3位から2位となったトレルイエが激しいプレッシャーをかけ始める。予選でエンジンを積み替えることになったトレルイエは20番手スタートに甘んじたが、不安定な路面コンディションこそが自分をアピールできる場所とばかり、大きくポジションアップ。残り10周を切る頃には、およそ1秒という僅差でトップに詰め寄った。

だが、ロッテラーとて負けてはいない。後方にいるトレルイエのプレッシャーにひるむことなく強固な走りでタフさをアピール。終盤の大きな見どころをトレルイエとともに作り上げた。

拳を突き上げ、チェッカードフラッグを受けたロッテラー。3年間在籍したチームから新たにTOM'Sへと移籍。今季、フォーミュラ・ニッポンに復帰した名門チームへ早速勝利の美酒をプレゼントすることになった。

2位のトレルイエに続き、3位入賞を果たした本山は一時入賞圏内から脱落していたが、終盤、怒涛の追い上げを果たしてフィニッシュ。ディフェンディングチャンピオンを意地を見せたといえる。

■外国人ドライバー対ベテラン

不安定な天候に翻弄されるレースが続く今季のフォーミュラ・ニッポン。先の読みにくい展開のなか、攻めの走りと高い集中力を見せているのが外国人ドライバーたちだ。

これに対抗し気を吐いているのが、今やベテランの域に入った本山。突然の雨やタイヤの選択など、運、不運を含めたレースともなれば、やはり経験値がものを言うのだろう。最後まで気の抜けないバトルを見せてくれる面白いレースが続いているが、完全ドライコンディションでの真っ向勝負を一刻も早く見てみたいとも思う。

次回、第4戦は三重県・鈴鹿サーキットが舞台。今季2度目の開催となるため、チームの総合力やドライバーのスキルをしかと見ることができる絶好の機会となるはずだ。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)


ポールポジションを獲得したARTAの小暮卓史(左)、金石勝智監督(中)、4番手を獲得した金石年弘(右)。今年からチームを率いる金石監督は、「ホント、ほっとしたよ」と小暮のポール獲得を自分のことのように喜び満面の笑顔。


スタートシーン。最後列21番グリッドからスタートしたロイック・デュバルはただひとりスリックタイヤを選んだ。


優勝したロッテラー(写真手前)。終盤、ブノワ・トレルイエ(後ろ)の猛追を受けるが、押さえ込み勝利を手にした。


路面が乾くと読み、スタートからスリックタイヤをチョイスしたデュバルは、序盤からレインタイヤのマシンに遅れることなく追走し、路面が乾き始めるとみるみるペースを上げトップに踊り出た。
他車との接触で、ペナルティストップ10秒を受けたが、トップでコースに戻るほどリードは大きかった。しかし後半、雨が振り出したときにレインタイヤに交換したことが災いし、後退することに。


3位に入った本山哲。2番グリッドからスタートしたものの、ドライ路面よりのセッティングが災いし、レインタイヤでのペースが上がらず後退。しかし、スリックタイヤに交換し路面が乾き始めるとペースを取り戻した。

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。