【FN 2006】今年のフォーミュラ・ニッポン、新マシン/エンジン/ルールで今週末開幕

2006.03.31 自動車ニュース

【FN 2006】今年のフォーミュラ・ニッポン、新マシン/エンジン/ルールで今週末開幕

2006年4月2日、静岡・富士スピードウェイで全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの新シーズンが開幕する。
今年から投入されるニューマシン「FN06」に搭載されるのは、トヨタまたはホンダのエンジン。装いも新たに繰り広げられるフォーミュラ・バトルには、どんな見どころが隠されているのだろうか。

■ニューマシン「FN06」登場

2003年から昨年まで使用された「ローラB351」に替わり投入されるのが「ローラFN06」だ。
文字どおり、フォーミュラ・ニッポン(FN)専用シャシーとして設計されたもので、イギリスのローラ社が設計・製造を担当し、昨年秋には関係者にイラストが公開された。彼の地でのシェイクダウンを経て、昨年12月中旬には富士スピードウェイで国内初走行。以降、年明けから定期的に合同テストなどが行われてきた。

国際自動車連盟(FIA)の最新クラッシュテストをクリアしているFN06。FNを運営する日本レースプロモーション(JRP)のリリースには、B351よりダウンフォースが10%ほど向上したと記されているが、これは空力デザインの見直しによるもの。コーナリング時やストレートでの安定性が増すことにより、結果的にタイムアップにつながるという。

実際には、3月上旬の鈴鹿でのテストでは、ブノワ・トレルイエが1分43秒652をマーク。天候をはじめコンディションの違いはあれど、昨季最終戦・鈴鹿のポールポジションタイムが1分44秒822であるから、まだセッティングの途上段階であることを考慮しても、JRPが謳う“速さ”はアピールできそうだ。

■トヨタ、ホンダがエンジンを提供

ニューシャシー誕生にあわせ、エンジンにも動きがあった。これまで17年という長い間、FNの前身にあたるF3000選手権時代からローラに限らずレイナード、Gフォースといった数々のマシンにも搭載されてきた「無限MF308」に替わり、ニューエンジンが採用されるのだ。

トヨタとホンダがリリースする新しい3リッターV8エンジンは550psといわれる。モータースポーツの最高峰、F1にも参戦する2大メーカーゆえ、即“エンジン競争勃発か!?”と想像しがちだが、さにあらず。FNではスペックを同一化するため、開発競争は行われない。口上だけの紳士協約でもなく、2社ともにエンジンサプライヤーとしての立場を堅守するというのだ。

これまで、MF308エンジンは各エンジンチューナーがメンテナンスだけでなく、独自の開発を行ってきた。だが、今後は各メーカーからデリバリーされたエンジンの組立を請け負うのがエンジンチューナーの仕事となる。
また今季より「エンジンは2大会以上の使用」「大会期間中のエンジン交換によるグリッド降格」などの規則が加わった。

エンジンチューナーによる“味付け”がなくなり、トヨタvsホンダといった争いもないのは、いささかさみしい感じもするが、シャシーとエンジンが限りなくイコールコンディションとなり、戦闘条件の均一化が図られたのは明らか。これによって注目されるのは、まぎれもなくドライバー、そしてそれを支えるチーム力となるだろう。

いっぽうで、ブレーキング競争を見越し、タイヤを供給するブリヂストンではフロントが10mmワイドになったニュースペックのスリックタイヤを開発。加えてニューパターンのレインタイヤも提供されることから、ドライバーはタイヤを活かすドライビングスタイルをいち早く見つけることが先決になる可能性もある。

■ニュカマーに復帰組、ドライバーは豊かな顔ぶれ

トヨタとホンダのエンジン提供は、結果として参戦チーム数の増加をもたらした。トヨタ系のチームとして知られるTOM'Sは1993年以来、今年F1デビューを果たした鈴木亜久里を代表とするARTAは2002年以来の復帰組となった。

さらに全日本F3選手権でチャンピオンを輩出したキャリアを持つINGING(インギング)はチームそのものがFNへステップアップし全日本F3選手権とダブルエントリー。また、F1のマクラーレンとパートナーシップを組んで若手ドライバーを育成するというディレクシブも新規参戦を表明。スーパーGT、GP2につづき、活躍の場を広げた。

これに伴い、参加ドライバーの中にもニューフェイスが数多く登場。全日本F3からのステップアップ組である武藤英紀と横溝直樹のふたりに、F3参戦の経験を持つ折目遼、星野一樹、密山祥吾、柳田真孝の4人。そして外国人ドライバーはフランス人のロイック・デュバルとスウェーデン人のビヨン・ビルドハイムのふたりが加わる。

さらには復帰組として、金石年弘、立川祐路、道上龍の三人が名を連ねており、昨季からの継続ドライバーを合わせると総勢22名という豪華さだ。

■総勢22人が魅せる今季のFNはいかに?

一部シャシーのデリバリーが遅れ、オフシーズンのテストでは1台のマシンをふたりのドライバーがシェアしながら走行、セッティング作業を進めるチームも見られた今季のFN。新しいシャシーとエンジンゆえの規則の改定も行われた。ハード面における今後の展開は、シーズンを追うことで見えてくるものも多いだろう。

だが、少なくとも20台を超えるマシンがスターティンググリッドに並ぶことが久しくなかったことを思うと、さまざまなドラマを期待したくもなるというもの。
異なるエンジンサウンドが響く中、混戦模様となるか、あるいは独走するドライバーが出てくるのか。今年最初の答えは、この日曜日に出る。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)


エンジンは、ホンダ、トヨタが3リッターV8を供給する。


今年からFNに参戦するディレクシブ。写真は左からディビット・プライス(イギリスのF3チーム、ディビット・プライス・レーシングチーム代表。今季はGP2のチーム監督およびFNのスポーティングディレクターを務める)、ジャン・アレジ(ディレクシブのシニアエグゼクティブディレクターに就任。マクラーレンチームとの橋渡し役を務めるなど、チームにおけるモータースポーツプログラムの発展をサポート)、芳賀美里(ディレクシブ代表取締役。2005年にディレクシブモータースポーツを発足。今季はスーパーGT、FNの両カテゴリーにおいてチーム監督を務める)、密山祥吾(スーパーGT、FNともに同チームから参戦。フォーミュラレースは2002年のF3選手権以来)、谷口信輝(GTレースでキャリアを積み、今季よりディレクシブに加入。昨年はスーパー耐久シリーズでタイトル獲得)。
(写真=島村元子)

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