【スペック】全長×全幅×全高=4830×1820×1425mm/ホイールベース=2850mm/車重=1910kg/駆動方式=FR/3.5リッターV6DOHC24バルブ(296ps/6400rpm、37.5kgm/4800rpm)+交流同期電動機(200ps、28.0kgm)/価格=770万円(テスト車=821万9750円/リアスポイラー=3万1500円/ムーンルーフ=9万4500円/クリアランスソナー=5万2500円/マークレビンソンプレミアムサラウンドサウンドシステム=34万1250円)

レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)【試乗速報】

日本の高級車の道 2006.03.29 試乗記 レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)……821万9750円「レクサスGS」に、最強にして最上級のハイブリッドモデル「450h」が追加された。思うように販売が伸びていないレクサスブランドだが、本命のパワーユニットの登場は起爆剤となり得るだろうか。


レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)【試乗速報】の画像
写真は、標準のランフラットではなくノーマルタイヤを履くモデル。

写真は、標準のランフラットではなくノーマルタイヤを履くモデル。

4.5リッターの加速、2.0リッターの燃費

ハイブリッド車に乗るたびに思う。ガソリンエンジン車は、なんてガサツなんだろうと。「シビックハイブリッド」のあとにノーマルのシビックに乗ったら、まるで騒々しい雑踏に放り出されたような気がした。静かさとスムーズさに関しては、ハイブリッド+CVTの独擅場だ。ならば、それは「プレミアム」にこそふさわしいはずである。トヨタがハイブリッド車をレクサスの最上級車種に位置づけているのはゆえなきことではない。

「レクサスGS」の本命がこの「450h」である。「アリスト」の後継となるGSには、当初4.3リッターと3.5リッターの2種類のエンジンが与えられていた。4.3リッターは長年の熟成を経て高級車の心臓としての威厳を獲得していたけれど、もとより新味はなかった。新開発の3.5リッターはスポーティで快活な気分を味わわせてくれたが、むしろ「IS」でその真価を発揮した。

450hの名は、「4.5リッター車に匹敵する加速性能」を持つハイブリッドカーを意味するという。「ハリアーハイブリッド」が北米レクサスでは「RX400h」だから、GSに搭載されたハイブリッドユニットが今のところ世界最強ということになるだろう。それでいて燃費は2リッター車並みと謳われていて、公表されたデータでは10・15モードで14.2km/リッターとなっている。

内外装の主張は控え目

外観では、これ見よがしにハイブリッドであることを主張してはいない。リアに「450h」、サイドに「HYBRID」と控えめに記されるだけである。ただ、プレミアムライトブルーと名付けられたボディカラーは450h専用なので、この色を選んだ場合はすぐに識別できる。運転席に乗り込んでも、他のグレードとそれほど変わらない。エンジン始動はもともとボタンで行われるし、セレクターレバーの意匠も同じなのだ。ただ、スタートボタンを押して浮かび上がるメーターパネルには、左端にタコメーターの代わりにハイブリッドシステムインジケーターが備えられていた。「POWER」「ECO」「CHARGE」と色分けされ、走行状態によって針が上下する。半分以上がPOWERのエリアとなっているところに、このハイブリッドシステムの性格が表れている。

トヨタのハイブリッドの通例で、モーターのみで音もなくするすると発進する。そして、気づかぬうちにエンジンが始動してトルクを伝え始めるのも同様だ。しかし、いったんアクセルペダルを踏み込むとインジケーターの針はたちまちPOWERのエリアに飛び込み、素晴らしいレスポンスでリニアな加速が始まる。この感覚はハリアーハイブリッドでも味わったものだが、さらにパワフルでスムーズなのだ。瞬く間に恐ろしいスピードに達するが、加速が鈍る兆候はまったく感じられない。高速道路での追い越しは、すこぶる楽だと想像できる。

発進加速と高速走行の両立のために2段変速式リダクション機構が用いられていて、LoギアとHiギアが自動で切り替わるのだが、運転していてそれを感知することはない。430に比べて車重は250キロ増加しているが、制動力に不安を感じることもなかった。もちろんブレーキング時にはエネルギーの回生が行われるが、油圧ブレーキとの協調制御は至って滑らかである。気になったのは、コーナリング時にパワーをかけていくと、かなり早い段階でタイヤが鳴き始めることだ。これは、標準のランフラットでもノーマルタイヤでも同じだった。







ハイテクでプレミアム

弱点があるとすれば、まず荷室だ。ハイブリッドシステムのエネルギー倉庫であるバッテリーは後席の背後に搭載されており、その分トランクルームの奥行きは犠牲になる。もちろん、バックシートを倒しての荷室拡大など、できようはずがない。4人乗り合わせてゴルフ場へ、という機会の多い向きには不便だろう。

もうひとつは、価格である。430の50万円増しで680万円というプライスタグが付く。今回試乗したのは豪華仕様の“version L”で、770万円だ。プリクラッシュセイフティシステム、ドライバーアシストブレーキコントロール、レーンキーピングアシストなどのハイテク装備を総動員して、豪勢に価格を押し上げる。燃費のよさで価格差を埋めようとしても無駄だろうし、そんなことを考えるユーザーもいないはずだ。

ハイテクを積み重ねることで新たなプレミアムを目指すのが日本の高級車の道なのだとすれば、「全部盛り」には現在の到達点が示されているという点で意義があるのかもしれない。これは皮肉でも反語でもない。欧州の古豪、強豪に立ち向かうためには日本発の発想が必要なはずだ。そのために、プレミアムのためのハイブリッドシステムは強力な武器になるのだと思う。

(文=NAVI鈴木真人/写真=郡大二郎/2006年3月)

関連記事
  • レクサスLS500“Fスポーツ” 2017.4.12 画像・写真 レクサスのフラッグシップセダン「LS」。その次期型である「LS500」のスポーティーバージョン「LS500“Fスポーツ”」が公開された。ディテールを写真で紹介する。
  • 【ニューヨークショー2017】「レクサスLS500“Fスポーツ”」デビュー 2017.4.12 自動車ニュース トヨタ自動車は2017年4月11日、ニューヨーク国際オートショー(開催期間:2017年4月12~23日)で初披露する「レクサスLS500“Fスポーツ”」の概要を発表した。
  • レクサスLS 2017.1.10 画像・写真 レクサスが、デトロイトショーで5代目となる新型「LS」を世界初公開した。新世代プラットフォーム「GA-L」や自動操舵機能つきプリクラッシュセーフティーなど、先進技術が採用されたフラッグシップセダンの姿を写真で紹介する。
  • アウディA5クーペ2.0 TFSIクワトロ スポーツ(7AT/4WD)【試乗記】 2017.5.24 試乗記 流麗なスタイルが自慢の「アウディA5クーペ」が、9年ぶりにフルモデルチェンジ。新型はどんなクルマに仕上がったのか、2リッターの4WDモデル「2.0 TFSIクワトロ スポーツ」に試乗して確かめた。
  • ベントレー・フライングスパーW12 S(4WD/8AT)【試乗記】 2017.5.23 試乗記 「ベントレー・フライングスパー」に、最高速度325km/hの「W12 S」が登場! ベースモデルに上乗せされた10psと20Nmに、230万円のエクストラに見合う価値はある? ややコワモテの試乗車と対した筆者は、見て驚き、乗って驚き、走らせてまた驚いた。
  • レクサスLC【開発者インタビュー】 2017.5.5 試乗記 一台のニューモデルという枠を超えて、これからのレクサスの方向性を指し示すという重要な役割を担うことになる「レクサスLC」。欧米のプレミアムブランドに立ち向かうための戦略を、開発を担当した落畑 学さんに伺った。
  • レクサスLC500“Lパッケージ”/LC500h“Lパッケージ”【試乗記】 2017.5.4 試乗記 “製品化を前提としない”はずだったコンセプトカーの発表から5年。ほとんどそのままの姿で登場し、世間を驚かせた「レクサスLC」がいよいよ日本の公道を走る。新開発のFRプラットフォームや10段AT、マルチステージハイブリッドなどの技術を満載した、新世代のラグジュアリークーペの出来栄えは?
  • フェラーリGTC4ルッソ(4WD/7AT)【試乗記】 2017.5.8 試乗記 ユニークなシューティングブレークボディーをまとう「フェラーリGTC4ルッソ」に試乗。6.3リッターV12エンジンが発する咆哮(ほうこう)に浴すれば、この異形のフェラーリが、正統派の系譜にあることがすぐに理解できるだろう。
  • 最高出力460psの限定車「BMW M4 CS」発売 2017.5.10 自動車ニュース BMWジャパンは2017年5月10日、上海モーターショーでデビューした高性能モデル「BMW M4 CS」の日本導入を発表。同日、60台限定で受注を開始した。納車時期は、同年の秋以降になる見込み。
  • BMW、「M3」と「M4」をマイナーチェンジ 2017.5.9 自動車ニュース BMWジャパンは2017年5月9日、「M3」と「M4」のマイナーチェンジモデルを発表し、同日発売した。また今回の一部改良に合わせて、走行性能を高めた仕様「M3コンペティション」と「M4コンペティション」を追加設定した。
ホームへ戻る