【スペック】全長×全幅×全高=4555×1765×1435mm/ホイールベース=2645mm/車重=1730kgm/駆動方式=4WD/3リッターV6DOHC30バルブ(162ps/6300rpm、30.6kgm/3200rpm)/車両本体価格=552.0万円(テスト車=634.5万円/サンルーフ+本革仕様+シートヒーター+DVDナビ+CDチェンジャー+BOSEサウンドシステム)

アウディA4アバント3.0クワトロ・スポーツ(5AT)【試乗記】

A4アバントに見る「高級」と「上質」 2002.07.18 試乗記 アウディA4アバント3.0クワトロ・スポーツ(5AT)……634.5万円“スタイリッシュなワゴン”の代名詞「アウディA4アバント」。フォーリングスが“スポーツプレミアムワゴン”を謳う同モデルのなかで、最も豪華でスポーティな「3.0クワトロ・スポーツ」に、自動車ジャーナリストの金子浩久が乗った。

 
アウディA4アバント3.0クワトロ・スポーツ(5AT)【試乗記】の画像

 
アウディA4アバント3.0クワトロ・スポーツ(5AT)【試乗記】の画像

ナゾを解くカギ

クルマにおける“高級”とか“上質”って、何だろう。
大はプラットフォームやエンジンに始まって、小は細かな部品にいたるまで、現代のクルマたちはさまざまなものを共用化しているから、運転したり乗った感じが似通ってしまうのはいたし方ない。そこで、どうやって“高級”や“上質”を感じさせるか。それが問題だ。
デザインやブランドイメージで独自性を高めていくのに始まって、専用エンジンやサスペンションを使ったり、チューニングを変えたり、そこはモチはモチ屋。ま、方法はいろいろとあるのだけど、では何をもってして、“高級”や“上質”と感じさせるのか。
数字に置き換えられる「速さ」とか「スペック」ではないだろう。動力性能を売り物とするスポーツカーやGTでなければ。では、いったい何なのか。

そのナゾを解くカギのひとつは「スムーズネス」だと思う。

「発進停止」「加減速」「操舵」等々の動きのプロセスで、どれだけクルマが滑らかに動くか。滑らかに動いて、運転者には喜びを、同乗者には快感をもたらしてくれるか。その「滑らかさ」こそが、“高級”とか“上質”の根拠なのではないか。ゴロゴロ、ザワザワ、ギコギコしながら走るクルマでは、高いおアシは取れないザンスよ、というわけだ。


 
アウディA4アバント3.0クワトロ・スポーツ(5AT)【試乗記】の画像

 
アウディA4アバント3.0クワトロ・スポーツ(5AT)【試乗記】の画像

「ジワーッ」としていて好ましい

前置きがちょっと長くなってしまったが、アウディ「A4アバント3.0クワトロ」、一番高い3リッターV6搭載モデルに乗って感じたのは、そういったことだった。
クルマに乗るところからそれは始まっていて、ドアの開き具合、シフトレバーの動かしやすさ、ウインカーレバーのクリック感など、実にスムーズなのだ。
肝腎のクルマの動きに関しても、アクセルペダルの微妙な踏み込みにも忠実に反応してくる。ふだん、ガサツな反応しかしないクルマに乗っているドライバーだと、アクセルペダルを踏み過ぎてしまうだろう。かくいう私もそういうクルマに乗っているので、乗り始めはそうだったのだが……。

走りだしてからのエンジンの力の出方も、「ジワーッ」としていて、好ましい。踏み込みを一旦止めて、ひと呼吸おいてからの加速にも瞬時に応えてくれる。それを可能にしているのは、太いトルクがあらゆる回転数で沸き出てくることだろう。シフトダウンしなくても、グイグイと加速していく。どこで踏んでも太いトルクを発生し続けるから、速い。
トルクが太いので一定のペースを維持しながら右に左にノーズを向けることができる。スポーツカー顔負けのコーナリングをしながらも、乗り心地がいいのがさすがで、これなら長距離を走っても不当に疲れることが少ないだろう。


 
写真をクリックするとラゲッジルームのボード下のダブルフロアが見られます。
 

 

タイヤサイズに難あり

そして、ついに採用された「ティプトロニック」は、名前こそ従来と同じながら、内容はポルシェと同等の「S」で、この種のセミATの中では抜群だ。“S”に進化してからは、「D」ポジションで走っていて変速が必要な場合に、従来ではシフトレバーを横のゲイトに移動してモードを切り替えなければならなかったが、これはステアリングホイール上のボタンを捺すだけで済む。そのうえ、約10秒後には自動的に「D」に戻るという優等生ぶりだ。A4アバントの、“スポーツプレミアム”ぶりに、大いに貢献している。

ニューアバントの特筆事項をもうひとつ挙げるなら、ラゲッジスペースの拡大がある。旧型は、スタイリングを優先しているために積載量が少ないと批判されたが、新型では52リッター増やして377リッターに拡大された。

さて、3.0スポーツに関してひとつ要望を言わせてもらうならば、タイヤをもうワンサイズ細くしてみてはどうだろうか。試乗車には、コンチネンタルの235/45R17の「SportContact」が装着されていた。前述の通り、総体的なドライブフィールは文句ないものだが、ときに路面の大きな凹凸を越えるときに「ドタバタ」が感じられ、高級、上質感をスポイルする。タイヤの幅を細くすれば、すこしは緩和されると思うのだが……。ちなみに、「スポーツ」でないA4アバント3.0クワトロは、「215/55R16」を履いている。

アウディA4アバントには、5モデルが設定される。2リッター直4のFFモデル「2.0」「2.0SE」、1.8リッターターボの4WD「1.8Tクワトロ」、そして3リッターV6の「3.0クワトロ」と「3.0クワトロスポーツ」。今回『webCG』で試乗した「3.0クワトロスポーツ」は、最も豪華なもので、性能、装備ともにいうことはない。ただ、こういうクルマは、500kmを一気に走り切るような乗り方を頻繁に繰り返さないと、本当のありがたみはわからないのかもしれない。
蛇足ながら、以前、プレス向け試乗会に参加して各モデルを乗り較べたときは、運転感覚がスポーティな「1.8Tクワトロ」が一番個性的で、個人的には好ましいと思った。

(文=金子浩久/写真=清水健太/2002年6月)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

A4アバントの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロ(4WD/7AT)【試乗記】 2016.5.10 試乗記 2016年4月に国内販売がスタートした、最新型の「アウディA4アバント」に試乗。6代目となったアウディブランドの代表的ワゴンは、どんなクルマに仕上がっているのか? 走行性能や乗り心地、使い勝手を報告する。
  • アウディS4/S4アバント 2016.10.25 画像・写真 アウディ ジャパンは2016年10月25日、フルモデルチェンジした「アウディS4/S4アバント」を発表した。従来モデルから100kg以上も軽量化された一方で、3リッターV6直噴ガソリンターボエンジンの出力は21ps強化されている。その姿を画像で紹介する。
  • アウディ、新型「S4/S4アバント」を日本導入 2016.10.25 自動車ニュース アウディが新型「S4/S4アバント」の日本導入を発表した。S4はDセグメントモデル「A4」の高性能バージョンであり、今回の新型では最高出力354ps、最大トルク51.0kgmの3リッターV6ターボエンジンが搭載されている。
  • フォルクスワーゲン・パサートヴァリアント2.0TSI Rライン(FF/6AT)【試乗記】 2016.10.22 試乗記 「フォルクスワーゲン・パサート」に、2リッターターボエンジンを搭載した「2.0TSI Rライン」が登場。「ゴルフGTI」ゆずりのエンジンとパワートレイン、そしてRラインならではのシャシー制御システムが織り成す走りを試す。
  • アウディA4 2.0 TFSIクワトロ スポーツ(4WD/7AT)【試乗記】 2016.3.5 試乗記 満を持して日本に導入された新型「アウディA4」。252psの高出力エンジンと、アウディ自慢のフルタイム4WDシステム「クワトロ」を搭載した上級グレード「2.0 TFSIクワトロ スポーツ」に試乗し、従来モデルからの進化のほどと、走りの実力を確かめた。
ホームへ戻る