燃料電池と21世紀のエネルギー

2001.05.23 自動車ニュース
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燃料電池と21世紀のエネルギー(5/23)

2001年5月22日、東京都は港区のホテルで、第8回ダイムラークライスラーシンポジウム 「燃料電池と21世紀のエネルギー選択」 が開催された。主催は、1994年から水素と酸素を結合させて電気を取り出す「燃料電池(Fuel Cell)」を搭載した実験車「Necar」シリーズを開発するダイムラークライスラー。自動車メーカー、行政、エネルギー会社など、様々な立場からエネルギーシフトの現状と展望を報告、議論した。

会場になった東京プリンスホテル「鳳凰の間」は関心の高さを反映して、自動車業界ほか民間企業、官庁などからの、約1200人の参加者でいっぱいになった。はじめにダイムラークライスラー日本ホールディングのライナー・ヤーン代表取締役兼CEOが、「今後3年間で、ダイムラークライスラーは代替エネルギーの開発に450億ユーロ(約5兆円)を投入」すると発表、日本では2001年2月からFC車「Necar5」の公道テストが始まっていることを指摘、代替燃料への切り替えが現実になりつつあることを示唆した。

同社のシニアバイスプレジデント燃料電池プロジェクト統括、フェルディナンド.H.パニク博士は、「政府機関」「インフラストラクチャーの供給者」「自動車メーカー」3者の提携が不可欠であると述べ、1999年にカリフォルニア大気資源局と共同で設立した「カリフォルニア・フュエルセル・パートナーシップ」の成果について報告した。
燃料電池は、水素の携帯方法がひとつの焦点である。「ガスのまま」「液化」「吸蔵金属」「メタノール」「エタノール」「ガソリン」……。また、定置式FCも考えられ、次世代のクルマの形態として、「バッテリー」「ハイブリッド」「FC」「ハイブリッド+FC」と、選択肢は多岐に分かれる。混沌とした未来。「異なった(誤った)分野に資金を投入しないよう」パートナー間での研鑽、情報交換することの必要性を力説した。「何を考えているのか、どこへ向かうのかを明確にすることが大切です」。
また、次世代エネルギー社会への転換期においてビジネスチャンスが生じ、最も楽観的にいって、「2020年までに、都市バスの80%、乗用車の30%、トラックの44%がクリーンな動力源を用いることになる」と希望を語った。

その後、環境問題に敏感なカリフォルニア州、“水素立国”を目指すアイスランドの事例などが紹介され、パネルディスカッションに移った。印象的だったのは、アイスランディックニューエナジー社のヨウン・ビュルン・スクーラソン専務取締役(ECTOS代表)がいった次の言葉。「(新しいエネルギー源の探求は)石油がなくなるからではなく、天然資源をより効率的に使う必要があるからです」。20世紀の「浪費・使い捨て」型社会は、もはや許されないのだ。

(※写真A:パネルディスカション。向かって右から、パニク博士、アラン.C.ロイド カリフォルニア大気資源局チェアマン、スクーラソン氏、柏木孝夫東京農工大学院教授、経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会部会長。スクリーンに映るのは、パネルディスカッションの司会を務めた自動車ジャーナリスト清水和夫氏/B:Dr.パニク/C:ダイムラークライスラー社のFC車パネルを見る参加者/D:Necar5)

(webCGアオキ)

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