【スペック】全長×全幅×全高=4850×1795×1460mm/ホイールベース=2880mm/車重=1690kg/駆動方式=FR/3.6リッターV6DOHC24バルブ(255ps/6200rpm、34.7kgm/3100rpm)/価格=598万円(テスト車=618万円/電動ガラスサンルーフ=20万円)

キャデラックCTS 3.6(FR/5AT)【短評(前編)】

挑みたくなる新OS(前編) 2005.10.08 試乗記 キャデラックCTS 3.6(FR/5AT)……618万円“新しいキャデラック”の先鋒たるスポーティミドルサルーン「CTS」。2005年モデルから加わった、新型3.6リッターV6を積む上級グレードに乗った。

何ににも似ていない

CTSに久しぶりに乗って、このクルマの狙いを誤解していたことがわかった。乗ったのは新しい3.6リッター・ユニットを搭載する、新しい上級グレードである。
キャデラック・ルネッサンスの尖兵として登場したこのCTS、当然ヨーロッパのプレミアム・ミディアムや同クラスの日本車を仮想敵に、これらを徹底研究して開発されたクルマである。ここまでの解釈は間違いないが、結果としてできあがったクルマは、ライバルとなるBMW3シリーズやインフィニティG35(アメリカ版スカイライン)のアメリカ製ではなかった。では何なのかといえば、ヨーロッパや日本車の動向も、これまでのキャデラックの伝統も一応忘れ、今のアメリカ人エンジニアが理想と考える中型サルーンを、ゼロイメージから作り上げたクルマなのだった。

そのレイアウトが似ているのと、デビュー時期が同時になったことからG35と比較されたり、アメリカ車としては初めてニュルブルクリンクを舞台に、ハンドリング開発が行われたなどという話が先行していたために、どうしてもライバルとどう似て、どう違うか、などという話になりやすい。
でも改めて今回確認したのは、CTSは何にも似ていなということだった。ということは、直接のライバルもない孤高の存在でもある。だから他のクルマと比較しても、本当は意味がない。

デジタルキッズが設計したようなクルマ

キャデラック伝統のデザイン・キューを生かしたといわれるが、頭から尻尾まで、大きな面から細かな線まで、まるで無機質な造形表現の塊のようなスタイルが、このクルマのすべてを語る。これは文字通りの“デジタル・スタイリング”であり、メーカーもそれを意図して造形している。これは従来のキャデラックはおろか、他のクルマとの関連のうえにあるのではなく、新中型車のまったく新しい解釈であると、まず形で主張する。
乗り込んでみると、さらに理解できる。アメリカ車とはまったく違うが、ヨーロッパ車とも日本車ともイメージが異なるブラックのプラスチックを多用したコックピットは、SFX的で、かなり硬質なデザイン表現を見せる。3年前にデビューした頃は、そのプラスチックの仕上げが安っぽく、エアコンのレバーなど動きも渋かったものだが、最新モデルは造形はそのままながら、仕上げ水準は随分よくなった。

でも、事前の知識がないと、運転以外の操作系について「何がナンだかわからない」ということは、依然として変わっていない。無論エンジンを回して、ギアを入れ、サイドブレーキを外してアクセルを踏めば走り出すことができる。そういった意味で戦前のクルマや昔のシトロエンのように、ゼロから操作言語を学ばないとスタートすらできないというわけではない。だけど、それから先、たとえばシートポジションを自分にあわせて設定するとか、オートライトの調整をしようと思っても、直感的に再設定するのが難しい。まったく新しい外国語を習うまでは要求しないが、少なくとも完全にOSが異なるパソコンと付き合うぐらいの心構えを要求する。

たしかにこれは、クルマのベースにあるOSそのものが違うクルマだと理解すべきなのである。しかもシリコンバレーあたりからデトロイトにやってきた、頭の中は100ギガバイトぐらいあるけれど、一般常識はほとんどないような、デジタルキッズが設計したのじゃないか? と疑わせるようなクルマでもある。(後編につづく)

(文=大川 悠/写真=荒川正幸/2005年10月)

・キャデラックCTS 3.6(FR/5AT)【短評(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017211.html

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

CTSセダンの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • キャデラックATS/CTS/CT6【試乗記】 2017.4.17 試乗記 キャデラックのセダンを乗り継いで、都内と群馬県を往復するツアーに参加。オールラインナップに一気乗りしたことでわかった、今のキャデラックセダンの実力とは? そしていまだ三分咲きの桜を眺め、リポーターは何を思う?
  • キャデラックCTS-Vセダン スペックB(FR/8AT)【試乗記】 2016.7.23 試乗記 “コルベットの心臓”を持つキャデラックのハイパフォーマンスセダン「CTS-V」。最高出力649ps、最大トルク87.2kgmを発生するV8ユニットに目を奪われがちだが、実際の走りはどうなのか? パワーだけにとどまらない同車の魅力を紹介する。
  • 第5回:HOTでCOOLな「CTS-V」がわが家にやってきた!
    649psのスーパーセダンの週末性能を探る
    2017.3.17 キャデラックCTSセダン日常劇場<PR> キャデラックCTSと過ごす毎日を、さまざまな角度からリポートする連載「キャデラックCTSセダン日常劇場」。今回の主役は「CTS-V」である。このスーパーセダンでwebCG編集部員が家族とドライブに出掛け、ファミリーカーとしての性能を探る!
  • レクサスLS500“Fスポーツ” 2017.4.12 画像・写真 レクサスのフラッグシップセダン「LS」。その次期型である「LS500」のスポーティーバージョン「LS500“Fスポーツ”」が公開された。ディテールを写真で紹介する。
  • フェラーリGTC4ルッソT(FR/7AT)【海外試乗記】 2017.4.18 試乗記 V12からV8ターボへ、4WDからFRへと改められた「フェラーリGTC4ルッソT」は、見た目からすればGTC4ルッソ・シリーズの追加グレードだ。しかし乗ればその差は歴然。V12モデルとは似て非なるグランツーリスモに仕上がっていた。
ホームへ戻る