第237回:ええっ、来期はホンダとトヨタが優勝争い!?ブラボーニッポン! F1“夢の大予言”のナゾ

2005.11.11 小沢コージの勢いまかせ!

第237回:ええっ、来期はホンダとトヨタが優勝争い!?ブラボーニッポン! F1“夢の大予言”のナゾ

2000年に第三期F1活動をスタートさせたホンダ。同時期にカムバックしたBMWエンジンが優勝を経験しているいっぽう、80〜90年代前半を席巻したホンダは未勝利のまま。ホンダ、BMWとも、来季からフルワークス体制で参戦する。
2000年に第三期F1活動をスタートさせたホンダ。同時期にカムバックしたBMWエンジンが優勝を経験しているいっぽう、80〜90年代前半を席巻したホンダは未勝利のまま。ホンダ、BMWとも、来季からフルワークス体制で参戦する。
ホンダのF1用3リッターV10エンジン。レギュレーションが変わり、2006年からは2.4リッターV8へスイッチ。
ホンダのF1用3リッターV10エンジン。レギュレーションが変わり、2006年からは2.4リッターV8へスイッチ。

■CARTでV8エンジン

とうとう終わってしまいましたね。今季のF1。結局、アロンソが史上最年少チャンピオンになって、ライコネン惜しくて、我らが佐藤タクマ様はなんとも煮え切らない結果に。と思ったらそれを受けてか、「スーパーアグリ・フォーミュラワン」が誕生! なんてー、大波乱の予感ビシバシの来期F1ですが、先日、某所で聞き捨てならないことを聞きました。

「来年のホンダF1は結構イケるかも?」。

ホンダシンパの事情ツウが語ってた話なんで、多少マユツバネタとして、これがそれなりに説得力のある仮説なのだ。それは別にBARがホンダに吸収されて“オールホンダ”になるからではなく、もっと技術的でシンプルな理由。「ホンダは今、インディでV8回してるじゃないですか。フェラーリやルノーに比べて、圧倒的にノウハウあるんですよ。なにしろその前のCARTでは、2.65リッターV8ターボを1万7000回転まわしてましたから」

うーむ、ご説ごもっともと言えばごもっとも。事実、F1速報誌によれば、来期から採用されるV8エンジンの最大の問題は振動。「ドライバーがツラ過ぎて長時間乗ってられない」とか「コーナリング中に振動でペダルから足がズレた」なんて話まであり、ほとんどチェーンソーか電動アンマ機か? ってレベルなのだ。

その昔、「V8エンジンは理論的に完全バランスだ!」説をエンジニアから聞いていた俺は気づかなかったが、事情ツウによれば「V8 F1はVバンクが90度に限定されてるし、2気筒減ったぶん、特に横方向に振動が出る」んだそうな。

ホンダは米オープンホイールシリーズにもエンジン供給。1994年から2002年までCART(チャンプカー)を戦い、4回のマニュファクチャラーズタイトル、6回のドライバーズタイトルを獲得。2003年にIRLインディカーシリーズに鞍替え、インディ 500で優勝するなど活躍。2009年まで同シリーズにとどまることを表明している。
ホンダは米オープンホイールシリーズにもエンジン供給。1994年から2002年までCART(チャンプカー)を戦い、4回のマニュファクチャラーズタイトル、6回のドライバーズタイトルを獲得。2003年にIRLインディカーシリーズに鞍替え、インディ 500で優勝するなど活躍。2009年まで同シリーズにとどまることを表明している。
こちらはIRLインディカー用の3リッターV8。コスト高騰抑制のためあえてローテクの道をゆく同シリーズ。リミッターで1万300回転までしかまわらないし、パワーも推定650psとソコソコ。
こちらはIRLインディカー用の3リッターV8。コスト高騰抑制のためあえてローテクの道をゆく同シリーズ。リミッターで1万300回転までしかまわらないし、パワーも推定650psとソコソコ。
“ハシケン”こと橋本健さん。F1車体技術開発のエグゼクティブ・テクニカル・アドバイザーを務める。(写真=小沢コージ)
“ハシケン”こと橋本健さん。F1車体技術開発のエグゼクティブ・テクニカル・アドバイザーを務める。(写真=小沢コージ)

■あまっちょろい世界ではないのだ!

で、その点ホンダはノウハウを沢山持っており、いっぽう、メルセデスにしても、前身のイルモア時代に、せいぜいV8を1万300回転程度まわしただけ。その“経験値”が差になるというのである。
「ただそれは同じくインディとCARTやってたトヨタさんにも言えるんですけどね。ハッハ〜」

ってなわけでコレが“来期はホンダVSトヨタの戦いに!?”説の基本線なわけだが、最後にホンダF1車体技術開発責任者の“ハシケン”こと橋本健さんに聞いたらあっさりひっくり返された。

「確かにV8は振動が増えるし、特にACGとかダイナモとかセンサーとか補機類が厳しいだろうね。きっと今と同じレベルのレブ2万回転弱の戦いになるはずだから。ただ、インディやCARTがアドバンテージになるなんて考えてたら、逆にヤラれるよ。F1はそんなに甘くない。V8は新素材制限とかも厳しいし、イチから横並びスタートのつもりでがんばらないと。死ぬ気でやらなきゃヤラれちゃうんだよ」。

うーむ、昨2004年こそ調子良かったが、ここ数年苦水飲まされてきたハシケンさんならではのお答え。“過去がアドバンテージになる”なんてあまっちょろい世界ではないのだ。F1!

でもさ。ちょっとはイケるんでないの……なーんて思いたいんだけどね。シロウト代表としては。
ってなわけでやっぱ俺は期待しちゃいますよ。来期のホンダ&トヨタ&スーパーアグリ!

(文=小沢コージ/写真=本田技研工業/2005年11月)

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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