第235回:「ヒュンダイ・ソナタ」初試乗 あり得るかも“クルマでヨン様”?

2005.11.02 エッセイ

第235回:「ヒュンダイ・ソナタ」初試乗 あり得るかも“クルマでヨン様”?

■美味しいマッチングを狙う

「ヒュンダイ・ソナタ」に箱根で試乗してまいりました。ソナタっつーのは、もちろんドラマ『冬のソナタ』のソナタじゃなくって、韓国で最もポピュラーなミディアムセダンのことね。日本ではイメージ的には「トヨタマークX」クラスで、確か7、8年前に韓国で「ソナタII」に乗った記憶があります。いい比較対象があるんだし、日本でもローマ数字付きで出せばいいのにね。さしづめ今度のモデルは「ソナタIII」、いや「ソナタV」か? 1984年の初代発表以来、今度で5代目らしいし。

さて、今回の注目はなんといっても“ヨン様”。ソナタは韓国では去年末に発売、アメリカにも既に登場し、現地生産も行われ、年間十数万台も売れてる同社の“切り札”だけど、正直“安くていいクルマ大国”日本ではそうそう目立てない。ちょっとやそっとのクオリティでは、大成功は望めない。
では、なぜ今回、日本に初上陸したのかって、それはやはり“韓流ブーム”。5代目になり、品質が向上してきたのと同時に、例のブームにあやかろうというわけ。

実際、あのペ・ヨンジュン様を広告に起用し、おばさま&おじさま層を狙い撃ち! だってさ。「トヨタ・クラウン」や「アリオン」などの高級セダンユーザーはいまや50歳代がメイン。まさに韓流ブームとピッタリ重なるわけで、この美味しいマッチングを逃がす手はない。

■クルマ冬ソナ現象になるか?

さて、乗ってみると、それなりでなかなかのモノ。マークXよりややデカいボディサイズで、お値段約200万円からとお買い得。エンジンは2.4リッター直4 一本で、やや回り方が安っぽかったり、乗り心地にしてもややドタバタ、ステアリングフィールも滑らかってほどじゃないんだけど、さほど問題はないかな。
以前のヒュンダイ車が“10年前の国産車”だとすると“4〜5年前”ぐらいにはなった感じ。ブランドにこだわらない人なら、選択肢に入ってくることだろう。

特に気になったのはデザイン。“新しい”とか“今までになくスポーティ”ってことはないんだけど、日本車が忘れつつある落ち着きというか、静的なフォルムを持っており、ひょっとして“クルマ版ヨン様”になれるかも? とか思ってしまいました。

ソナタに乗った熟年夫婦が「私たちが初めてマイカーを買った時のよう」と思ってくれたらしめたもの。事実、関係者によれば、発表直後のディーラーイベントには、全国40のディーラーにざっと4000組のカップルが訪れたとか。もちろん、熟年カップル中心ね。まさに狙い通りの“クルマ冬ソナ現象”よね。
もちろん映画やドラマの人気と、クルマの売り上げは直接関係ない。でもその昔、米ドラマ『ナイトライダー』が流行ったら、「ポンティアック・トランザム」がちょっとは売れたとか、いまだ初代ミニに乗ってる人が「映画『ミニミニ大作戦』が好き」だとかいう関係がないわけではない。 
最近、クルマ購買意識は変わりつつあります。だからこのソナタも、ひょっとしてひょっとするかも? ね。

(文と写真=小沢コージ/2005年11月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』