【東京モーターショー2005】「森慶太はこう見る!」フィアット・グランデプント

2005.10.31 自動車ニュース
 

【東京モーターショー2005】「森慶太はこう見る!」フィアット・グランデプント

自動車ジャーナリストが気になるクルマを紹介する「オレはこう見る!」。イタリアの大メーカーながらも、人気としてはかげりのある「フィアット」が展示した新型車を、森慶太はこう見た!


こちらはレース仕様車のリアビュー。
 

■プロの仕事を見た!

パッと見「マセラティ?」って思わせるような顔。その顔がまったく違和感なく溶け込んでいる、全体の美しい姿。思わずウゲッとなるような、奇抜なことは一切やってないのに(それどころかデザイン言語はむしろクラシカル)、誰が見ても「あ、これはイタリアのクルマだな(ということは、ほかでもないフィアットだな)」ってわかる。わかるだけじゃなく、欲しくなる。これに乗ってるカッコイイ自分を想像して。あるいは、乗ってるところをみんなに見てもらいたくなる。いままでの、というか特に現行のプントでいちばんマズかった部分が、これで見事に解決されちゃった。しかも、この魅力的な外観はキャビン空間をイジメて(=犠牲にして)成立しているようなものでは全然ない。

ということで、さすがはジウジアーロ。新しいプントを作るにあたって、フィアットはたぶん困ったわけですよ。エンジン元気でアシどりたしかで、キャビン空間がヘルシーで前後シートが快適なマジメなクルマを作っても、それだけじゃ世間は高く評価してくれない。見ただけでほしくなるようなのじゃないと。自国のお客が、プントがイヤになって「トヨタ・ヴィッツ(=ヤリス)」とかへ流れてるのをくい止めないと。「どうしたらいいでしょう?」ってことでジウジアーロ先生のところへ相談にうかがったら、先生いわく「わかりました」。で、こういうスタイリングをやってくれる。

実際にはコンペに勝ったのがジウジアーロ案だったってことなのかもしれないけど、とにかくすごい。ホントのホンモノのプロフェッショナルの仕事だと思う。「いままでのプントに欠けていて、そしてこれからのプントが備えているべきものというのは、要するにこれでしょう?」っていわれてる気がする。で、「そうそうそうなんですよまさに」っていいたくなる。真っ暗いなかに明かりがポッと灯って、そのおかげで道が見える。こういうのこそ、デザイナーのやるべきことですよ(私にいわせれば、最近の自動車スタイリングの状況は繁華街のネオンサインのハデさ勝負にむしろ似ている)。イタリア人がこのプント見たら、自国産の実用車というものに対するプライドみたいなものをきっと取り戻す。「どーだ! ドイツやフランスや日本には、こんなカッコイイのはないだろう!」ってね。で、あとは走ってちゃんとプントになってれば問題なし。メデタイですねえ。とりあえず、室内の調度の感じとかは、まったく問題なくイタリアでありました。

(文=森慶太)

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