【スペック】全長×全幅×全高=4585×1830×1445mm/ホイールベース=2645mm/車重=1780kg/駆動方式=4WD/4.2リッターV8DOHC32バルブ(420ps/7800rpm、43.8kgm/5500rpm)/価格=1008.0万円(テスト車=1030.0万円)

アウディRS4アバント(4WD/6MT)【ブリーフテスト(後編)】

アウディRS4アバント(4WD/6MT)(後編) 2006.12.06 試乗記 ……1030.0万円総合評価……★★★★★1リッターあたり100psの超高性能エンジンを搭載する「RS4」は、「A4シリーズ」の最高峰に位置する。その動力性能、ハンドリングは、アウディの極みともいうべき世界を作り出していた。
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【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★
基本はA4なだけに、インストゥルメントパネルはクオリティこそ高いものの、オーディオ/ナビシステムの装着位置が低いなど、形状はもはや古めかしさを覚える。しかし、カーボントリムが張り巡らされ、要所をシルバーで締めることで、物々しいほどにスポーティなムードを醸し出しているのも確かだ。
ステアリングは下端を真っ直ぐ切り詰めたDシェイプとされ、グリップ部分はシフトノブともども滑りにくいディンプルレザーに。ABCペダルとフットレストも、滑り止めラバー付きのアルミ製とされている。
エンジン始動は、シフトレバー後方のスタートボタンで行なう。しかし右ハンドル車の場合、右手でキーをひねってONにして、左手でボタンを押すという具合に、動線がスマートではないのが残念。また、見た目にはレースカー風でカッコいいステアリングも、ギア比が特段速いわけではないので、サーキットではともかく持ち替えが必要になる街中やタイトなワインディングロードでは、一般的な真円型が恋しくなる。
(前席)……★★★★★
大きく張り出したショルダー部分やサイドサポートの盛り上がりに、パッと見、思わず萎縮してしまいそうになるバケットシートだが、サイズが大きめなこともあって、いざ身体を滑り込ませてしまえば、意外なほど快適。独立して調整可能な座面、シートバックのサイドサポートを調整すれば、身体全体をしっかり、しかしキツ過ぎない程度に包み込んでくれるなどシートポジションの調整幅も大きく、小柄な人でも適正な着座姿勢をとれるはずだ。
しかも、ステアリングホイール上の「S」ボタンを押すと、スロットルレスポンスが敏感になり、排気音が重低音を強調したものへと変化すると同時に、サイドサポートがギューッとタイトになるという仕掛けも備えている。ギミック的ではあるが、スポーティな気分で走らせたい時には、とても有効な演出である。
(後席)……★★★
前席と同様、上質なレザー張りとされ、「RS4」のロゴがエンボスで刻まれたシートだが、形状はA4などと同じ平板なもの。エンジンをフロントオーバーハングに縦置きする独特のパッケージングのシワ寄せが来ているのが、この後席スペースで、座面の前後長、足元の余裕ともにクラスでは最小の部類となる。しかし、それはA4にとっては小さくない問題でも、RS4にとっては声高に言うほどのことではないという気もする。むしろ、これだけのパフォーマンスを発揮しながら、リアドアと後席があって普通にファミリーカーとして使えるという、アピールポイントですらあると言ってもいいかもしれない。
(荷室)……★★★
ラゲッジスペースもやはりA4アバントと変わらず、お世辞にも広いとは言えないのだが、後席と同様、これだけの走りと実用性を両立しているとなれば、不満など出る余地はない。先代RS4はアバントだけの設定だったように、この日常性との高次元での両立ぶりこそが、このクルマの最大のセールスポイントなのだ。
低いレベルまで開くリアゲートを開けると、隅までカーペットが隙間無く敷き詰められ、トリム類の設えも非常にハイクオリティで、いかにも高級という印象なのは他のアウディと同様。ひとつRS4特有の心配があるとすれば、適当な積み方をしていては、つい熱くなってしまうだろう走りに、荷物があちこち動いてしまいそうなことくらいである。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
昨年秋にイタリアで行なわれた国際試乗会で乗ったRS4はクラッチが重く、また戻り方に癖があって繋ぐ際にギクシャクしがちだったが、そのあたりキチンと対策されたらしく、もはやクラッチ操作は自然にできるし、何より踏力自体軽くなった。実際、試乗中にはひどい渋滞にも巻き込まれたのだが、負担に感じることはなかった。
無論、それは低速からトルクの充実したエンジン特性のおかげでもある。微速での発進はゆっくり左足を浮かせるだけで良いし、停止する際にもギリギリまでクラッチを切る必要はない。とにかくフレキシブルな特性なのである。

しかし、それはRS4のエンジンの魅力のほんの一部に過ぎない。アクセルを踏み込んでいくと、最高出力420psを発生する4.2リッターV8ユニットは、ファーンともフォーンともつかない幾重にも重なり合ったファルセットを高らかに響かせながら、甘く、されど凄まじい勢いで、何と8250rpmから始まるレッドゾーンへと軽やかに吹け上がる。それと、背後から耳に届く野太い重低音のエグゾーストノートとのハーモニーは、まさに絶品だ。
しかも、気持ちいいだけでなく力感も十二分。回すほどに高まるパワーを実感できる。特にレブリミット直前の炸裂感は恍惚もの。パワー、フィーリング等々あらゆる面で、これぞ世界最高のV型8気筒ユニットのひとつだと言えるだろう。

あるいは欠点として、DSGあるいはATの設定がないことを指摘する人もいるかもしれない。しかし、せっかくの美味しいトップエンド手前で勝手にシフトアップしたり、繊細なアクセルワークに応えてくれないようなギアボックスなど、このエンジンにはふさわしくない。この至高のエンジン、味わい尽くすには、MTしかあり得ないというものである。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
乗り心地は悪くない……と言いたいところだが、そう感じるのは、素晴らしいフットワークに心酔しているドライバーだけで、他の乗員にとっては、やはり相当硬めに感じられるはずだ。しかし、ボディ等々の剛性感が恐ろしく高く、鋭い入力も一発で受け止めてくれるため、時おりの目地段差などでウッとなる以外は、十分許容範囲と言っていいと思う。

フルタイム4WDのクワトロならではのスタビリティの高さは、高速道路を巡航しているだけでも、しかと感じることができる。ステアリングホイールに軽く手を添えておくだけどころか、手放しでも果てしなく真っ直ぐ進んでいきそうなほどの直進性は圧巻。タイヤは255サイズと太く、サスペンションも硬いのに、ワンダリングもほとんど感じられない。当然、荒天時などにはこの上ない信頼感に包まれることだろう。

これだけのスタビリティを誇る一方で、相反するかと思われた胸のすく回頭性を備えたハンドリングも絶品だ。ターンイン時のノーズの入りの良さは、A4シリーズでは随一のもの。決して軽くはないはずのV型8気筒を車体の前端に積んでいるとは思えないほどだ。更に、そこからパワーオンしていっても無闇にラインが脹らんでしまうことはなく、心持ちリアから強めに押し出すようなニュートラルに近い弱アンダーステアで、さらにウェットであれば、舵角ゼロのニュートラルステアで。気持ちよく立ち上がることができるのである。

これは前後トルク配分を40:60としたクワトロシステム、そして前後ダンパーをX字型に連関させたDRC(ダイナミック・ライド・コントロール)などの相乗効果によるものだろう。ちなみにアバントとサルーンでのハンドリングの差は、少なくとも一般道では意識させられることはまったくなかった。

(写真=郡大二郎)



【テストデータ】

報告者:島下泰久
テスト日:2006年10月20〜22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年型
テスト車の走行距離:3177km
タイヤ:(前)255/35R19(後)同じ(いずれもピレリP-ZEROロッソ)
オプション装備:電動チルト式2ウェイソーラーサンルーフ&ソーラーシステムベンチレーション=22万円
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:336.8km
使用燃料:49リッター
参考燃費:6.87km/リッター

・アウディRS4アバント(4WD/6MT)(前編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018835.html

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