【FN 2005】彗星のごとくあらわれた新人、ロニー・クインタレッリ(後編)

2005.10.06 自動車ニュース

【FN 2005】彗星のごとくあらわれた新人、ロニー・クインタレッリ(後編)

2004年の全日本F3選手権チャンピオン、イタリア人ロニー・クインタレッリ。一度は諦めたフォーミュラ・ニッポン参戦だったが、シーズン半ばでデビューする機会に恵まれ、初戦から入賞、瞬く間に表彰台を獲得した。スーパールーキーの実像に迫る。

■「メールを見たのが金曜日の夕方。日曜日の朝には日本への飛行機に乗ってたよ」

(前編からのつづき)クインタレッリは、“運命のEメール”をイタリアはベローナで受け取った。それは、日本で彼のマネージメントを担当するスタッフからのものだった。
「『フォーミュラ・ニッポン参戦のチャンスがあるかもしれない』と書いてあったんだ。スーパーGTの次のレースまで時間があったので、イタリアに1ヶ月ほどいる予定だったんだ。でもメールを読んで、あまりのうれしさに大きな声で叫んでしまったよ。それですぐに飛行機の手配をしたんだ。日本に戻らなきゃ、って思った。それくらいうれしかったんだ」
「メールを見たのが金曜の夕方。でも日曜日の朝には飛行機に乗ってたよ(笑)。もう今年はFNに乗れない、と自分に言い聞かせていたのに、突然チャンスがやってきた。これまでの人生の中でも忘れがたい一瞬だったよ」

普段は北イタリア人らしく、どちらかといえばシャイで素朴な彼だが、このときばかりは本当にうれしそうな顔を見せた。そして、僅かな隙間からこぼれてきた光を見つけた喜びを胸に、チームファクトリーがある御殿場へと向かい、スタッフとの顔合わせやシート合わせを済ませ、慌しく週末の初レースを迎えたのだ。

■デビュー戦で5位、2戦目も5位、そして3戦目で2位

デビュー戦、第4戦富士では予選6位からのスタート。「シーズンオフにテストをしていたから難しいマシンだとは思ってない。でも、他のドライバーに比べて経験が足りないからね」とやや控えめなコメントだったが、決勝では彼本来のステディさが発揮された。
突然の雨で、レースは赤旗中断。再開後も不安定な状況ながら、冷静な走りで5位入賞という好成績を残したのだ。

このとき、クインタレッリが手にしたチャンスは、前ドライバーが参戦を一時的に見合わせたことで巡ってきたものだった。結果次第では富士だけのスポット参戦に終わる可能性もあったが、チームにシーズン初ポイントを献上した彼は、続く第5戦鈴鹿で正式にチームのレーシングスーツに身を包むことになった。まさに彼の運の強さを証明するものだ。

鈴鹿も決勝は雨になった。予選は12位と低迷するも、雨のセッションではトップタイムを叩き出して自ら存在感をアピール。決勝は、終始前後の先輩ドライバーからプレッシャーを受ける攻防戦の中で逆転に成功し、5位入賞。ドライバーとしてのポテンシャルの高さを見せつけた。

そして迎えた第6戦美祢。F3時代のチームがホームサーキットとする美祢は、クインタレッリにとっても“地の利”があった。
予選ではメカニカルトラブルでやや出遅れたが、それでも自己ベストの5位からスタート。このときは予選、決勝ともにドライコンディションで、暑さも加わり、とてもタフな一戦となった。
その中でノンストップ作戦を遂行したクインタレッリは、グリップレベルを失ったタイヤで懸命にマシンをコントロールし、一時はレースをリードするパフォーマンスを披露。そして参戦わずか3戦目にして、2位の大金星を手に入れた。

「マシンのコンディションを考えたら、ピットストップをせず、プッシュしすぎない程度でレースをするのがよかったんだ。ボク自身はただ冷静に周回を重ねて最後まで諦めずに走ることを心がけた。それに今日は一度もミスしなかったんだよ!」とレース後、満面の笑みを浮かべたクインタレッリ。与えられたチャンスを確実につかんでモノにするルーキーの途中出場に、先輩ドライバーは気を引き締めたに違いない。

■「ボクの速さをみんなに披露することが、今の目標」

「どのレースでも常にベストリザルトを残すことができるように、といつも心がけている。日本でレースキャリアを得ることができたボクはラッキー・ガイだね」
「プレッシャーや不安もないよ。ボクの速さをみんなに披露することが目標だし、これからもこのキャリアを積み上げていきたい。日本にいる外国人のドライバーは、やっぱり将来は“エフワン”、なんて言うけれど、今のボクにはそういう気持ちはないね。大事なのは、今自分がいる日本でキチンとしたリザルトを残すことだと思っているから」

クインタレッリの活躍はFNに留まらず、スーパーGTでも表彰台を獲得するなど、日本のトップカテゴリーで頭角をあらわしはじめている。「今のロニーに必要なのは、彼を支える大きなサポートでしょう。FNに関しては、当面の成績というよりも来年を見据えた結果を残して欲しい。彼が持っている運をレースという場所で証明できるように、与えられたチャンスをモノにし続ける事が必要だと思います」と卜部氏もエールを送る。

F3時代に憧れたFNマシンをドライブできる待遇を素直に喜ぶクインタレッリには、与えられた条件をありのまま受け入れ、その環境の中で実力を発揮できるしなやかな強さが存在する。これからが楽しみなドライバーだ。(おわり)

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)

【FN 2005】彗星のごとくあらわれた新人、ロニー・クインタレッリ(後編)の画像

自らが所属するKONDO Racingの近藤真彦監督に肩を叩かれるロニー・クインタレッリ。

自らが所属するKONDO Racingの近藤真彦監督に肩を叩かれるロニー・クインタレッリ。

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。