「ドイツのエスハチ、ヒトラーのビートル」VWパサートワゴン国際試乗会日記(後編)
2005.09.27 自動車ニュース「ドイツのエスハチ、ヒトラーのビートル」VWパサートワゴン国際試乗会日記(後編)
「webCGクルマ生活Q&A」でお馴染み、テクノロジーライターの松本英雄先生による、「フォルクスワーゲン・パサートワゴン」の国際試乗会日記。後編では、自動車の国、ドイツならではのシーンを紹介。
■ハイブリッドではなく
webCG(以下w):さて、これはフォルクスワーゲンでのプレゼンテーションの様子ですね。
松本(以下松):国の内外を問わず、試乗会ではクルマに乗るだけでなく、メーカー技術者やマーケティング担当者などによる説明が行われます。
今回は、フォルクスワーゲンのディーゼル技術について、それから次世代燃料の考えについて、技術者の方にお話をうかがいました。簡単に説明しますと、VWとしては、こと高速走行が多いドイツではハイブリッド技術の利点を活かしきれないということで、ディーゼルとガソリンエンジン開発に傾注するということです。また今後、植物ゆえんのバイオマス燃料車の市場も大きくなると考えているようです。
■ドイツで“エスハチ”
w:場所は変わって、ここは博物館っぽいですね。ドイツでナゼ“エスハチ”?
松:そうなんです。ここはアウトシュタットのミュージアムなんですが、入ってすぐに「ホンダS800」が置いてあるのにはビックリしました。
聞けば、日本からドイツにやってきた輸入車の先駆けとして展示されているらしいです。キレイにレストアされていましたし、入り口の目立つところに飾ってありますからね、日本人としてうれしかったですよ。
w:ほかに、このミュージアムで何か目を引いたものは?
松:このきったない「ランチア・アウレリア」はイイですよね。このクルマがレストアなしで存在するなんて珍しいこと。すごしてきた時間が伝わってくるような、いいアジだしてました。
それから、「アウトウニオン・タイプC」(1936年)もありました。エンジンがV型16気筒のスーパーチャージャー付きで、フェルディナント・ポルシェ博士が設計したことはあまりにも有名。グランプリマシンとして初の16気筒のミドシップカーです。戦前で520psもあったといわれますから、化け物ですよね。
■ヒトラーに贈ったビートル
w:黒いビートルの横でポーズを決めてますねえ。
松:ここはウォルフスブルグのVWを中心に据えた博物館。このビートル、実はヒトラーの50歳の誕生日を記念し、VWから彼に送られたスペシャルモデルなんですよ。
「ヒトラーが実際運転したんですか!?」と色めきだったんですが、「彼は運転免許がなかったので助手席に座っていました」とあっさり返されてしまいました。でもちゃんと助手席シートには触ってきました。
■それぞれの象徴
w:この煙突は、工場の街って感じですよね。
松:ウォルフスブルグに工場を建てた当時の発電所のもので、この街の象徴的なモニュメントだそうです。当時はここに線路が敷かれ、石炭の輸送が行われるなどしたそうです。
w:で、VWの象徴といえば?
松:ビートルの特徴的な装備、インテリアのアクセントになる花瓶ですね。博物館では、ドイツの食器として有名なローゼンタールの洒落たものを見つけました。実に色々な種類があったんだなあ、ということがわかります。
■おカタイ国の、イキなはからい
w:ここは、ショールームですか?
松:ウォルフスブルグの工場内にある、いわば“納車スペース”です。
VWでは、工場までクルマを引き取りに行くと、車両の運賃分安くなるばかりか、当地の高級ホテルの割引まで受けられたりするというサービスをやっているそうです。新しいオーナーは、自分のナンバープレートを持って電車や飛行機で工場にやってきます。ここで実車を見て、ナンバーを付けて、乗って帰るのです。
もし、例えばシートの柄が気に入らないと思ったら、1時間で付け替えてくれたりするそうです。
とかくドイツにはおカタイ、生真面目というイメージがつきまといますが、こういう演出は、なかなかイキなはからいですね。
(語り&写真=松本英雄/まとめ=webCG)
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