【WRC 2005】チーム・クローズアップ「目指せ凱旋復活、三菱」

2005.09.26 自動車ニュース

【WRC 2005】チーム・クローズアップ「目指せ凱旋復活、三菱」

2005年の世界ラリー選手権(WRC)には6メーカーが参戦。いずれもワークスチームを組織し、厳しいラリーシーンで技術競争を展開している。
ドライバーの顔ぶれ、マシンの特徴を追いながら各チームの体制を紹介するこのコーナー。今回はスバルとともに世界の最前線で活躍する日本のメイクス、三菱をクローズアップしよう。

■2度の活動休止、そして復活

公道のスプリント競技、WRCはもちろんのこと、“パリ・ダカ”などのクロスカントリーでも活躍する三菱自動車。その参戦の歴史は、1967年のサザンクロスラリーで幕を開けており、70年代にはサファリラリーで奮戦、80年代パリ・ダカ参戦を開始するほか、1000湖ラリーやRACラリーなどヨーロッパのスプリントラリーでも勝利を飾っている。

90年代に入ると、「ランサー・エボリューション」を武器にWRCを席巻。当時、エースとしてピークを迎えていたトミ・マキネンは、96年から99年にかけて4年連続でドライバーズタイトルを獲得、98年にはマニュファクチャラーズ部門も制覇するなど、まさに三菱はWRCで黄金期を築いた。

が、98年の車両規定にあわせてライバルメーカーがWRカーに移行するなか、グループAにこだわり続けてきた三菱は、ライバルマシンが熟成した00年シーズンで失速。それに対応すべく、01年よりWRカーに移行するものの、マイナートラブルが続出し、02年も劣勢を挽回することができなかった。

この状況を重く受け止めた三菱は、03年の活動を休止しマシン開発に専念。04年に復帰するものの、成績不振と本業の業績悪化により、日本初のWRCラウンド、ラリー・ジャパンを前に再び活動を休止することとなった。

まさに三菱にとっては苦渋の決断。しかし、その撤退がマシンの熟成に結びついた。ニューマシンを引っさげて05年のWRCに復帰した三菱は、SSベストを叩き出し、上位入賞を重ねることでそのポテンシャルを証明。さらに、今季のラリー・ジャパンには3台のマシンを投入する予定で、初の母国ラリーに挑む三菱は凱旋復活を狙っている。

■持ち味の異なる3名のドライバーを起用

チーム体制については、マシン開発は三菱のモータースポーツ統括会社MMSP、エンジンの開発は日本の三菱・岡崎研究所で行われており、MMSPの代表、鳥居勲氏がチームを率先。ドライバーは、フィンランド出身のハリ・ロバンペッラが9号車のステアリングを握り、イタリア出身のジジ・ガリとフランス出身のジル・パニッツィが持ちまわりでセカンドカーの10号車をドライブする。

まず、89年にWRCデビューを果たしたロバンペッラは、セアトのワークスドライバーとして活躍した後、プジョーに移籍し、グラベルのスペシャリストとして猛威を奮った。今季は三菱のエースとしてフル参戦しており、コンスタントに上位に入賞。やさしい笑顔とは対照的に、ダイナミックな走りを披露するドライバーである。

チームメイトのガリは、98年にWRCにデビューしたドライバーで、昨2004年は三菱ワークスとしてWRCに参戦するほか、PCWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)でも活躍。その速さが評価され、今季も三菱のワークスドライバーとしてステアリングを握っている。豪快なコーナリングと一発の速さに定評のあるドライバーで、今季のWRCでもSSベストを連発。第7戦トルコではSS5でトップタイムを叩き出し、三菱を4年ぶりに総合トップへと導いている。

そして、ガリと交代で10号車をドライブしているのが、88年にWRCにデビューしたパニッツィだ。00年のツール・ド・コルスで初優勝(当時はプジョー)を獲得していることからもわかるとおり、ターマックに強いスペシャリストで、今季の開幕戦モナコでも3位表彰台を獲得している。

■急ピッチで熟成が進む「ランサーWRC05」

このようにエース、ロバンペッラを中心に、若手のガリ、ベテランのパニッツィで脇をかためる三菱だが、マシンに関しても大幅に進化させている。
昨年、シーズン途中で活動を休止し、開発に専念した結果、主力モデル「ランサーWRC05」は今季の開幕戦で3位入賞を果たすなど、着実にポテンシャルを上げている。

同マシンは04年モデルの改良版で、レギュレーションにあわせてボディ幅を1800mmに拡大。FIAの指導により、フロントフェンダーなど外観の派手さは薄れたものの、前後のパンパーを拡大することにより、空力性能の高いフォルムに仕上がっているようだ。

もちろん、ターボのハウジングやアンチラグシステムを改良したほか、新型のウエストゲートを採用するなどパワーユニットも大幅に向上。さらに待望のセミオートマチックを、第3戦メキシコからはアクティブセンターデフを採用するなど、駆動系にも新たな試みが見られる。

加えて、シーズン中盤で日本人エンジニアの田中泰男氏がテクニカルディレクターに就任し、足まわりのジオメトリーを一新するなど、今もなお、ランサーWRC05は熟成中。その開発スピードは速く、セッティングがつめられればラリー・ジャパンはもちろんのこと、終盤戦のターマックラウンドでも素晴らしい走りを見せてくれることだろう。

(文=廣本泉/写真=三菱自動車)

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三菱WRC活動をエースドライバーとして引っ張るハリ・ロバンペッラ。(写真=廣本泉)

三菱WRC活動をエースドライバーとして引っ張るハリ・ロバンペッラ。(写真=廣本泉)

ジジ・ガリ(写真奥)は、ジル・パニッツィと持ちまわりで10号車をドライブ。

ジジ・ガリ(写真奥)は、ジル・パニッツィと持ちまわりで10号車をドライブ。

開発継続中の「ランサーWRC05」。三菱初の母国ラリー、間もなく行われるラリー・ジャパンで凱旋復活となるか?

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