【スペック】GT:全長×全幅×全高=4520×1770×1480mm/ホイールベース=2625mm/車重=1500kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC 16バルブターボ・インタークーラー付き(280ps/6500rpm、40.0kgm/3000rpm)/価格=346万5000円(テスト車=359万1000円/BBSアルミホイール=12万6000円)

三菱ランサーエボリューションワゴンGT(4WD/6MT)/GT-A(4WD/5AT)【試乗記】

名車の香り 2005.09.10 試乗記 三菱ランサーエボリューションワゴンGT(4WD/6MT)/GT-A(4WD/5AT)……359万1000円/353万8500円三菱が誇るスポーツモデル“ランエボ”にステーションワゴンが加わった。9代目にしてシリーズ初登場となった、ワゴンの性能をサーキットで試す!


タイヤはセダンGTに装着されるのと同じモデル。耐摩耗性やウェット性能を重視したヨコハマアドバンA046Dを履く。

現代のインテグラーレ!?

ハイパワーワゴンというのはけっこう需要があるそうで、三菱では「レグナムVR-4」というギャランベースの4WDステーションワゴンが人気だった。レグナム無き今、走りをさらに重視したワゴンを作りたかったのだという。
「ライバルはレガシィツーリングワゴンやアウディA4アバントですか?」と質問すると、開発担当者曰く「ランサーエボリューション(セダン)です」とのこと。同じワゴンをライバルとせず、究極の走りを追求したランエボを敵に据えるとは、“サーキット最速ワゴン”を称する資格は十分にある。

webCGコンドーは、初見で「こいつはカッコいいな。インテグラーレみたいだ!」と、言葉を発した。
たしかに箱形のボディとブリスターフェンダーなどが、「ランチア・デルタ・インテグラーレ」に似ていなくもない。「スバル・インプレッサスポーツワゴン」や「トヨタ・アルテッツァジータ」のようなスポーツワゴンではない、商用車然としたシルエットが走りとのギャップを演出しておもしろい。インテグラーレ同様、WRCで大活躍……、なんて姿も頭をよぎる。

ユニークなシルエットを持ちながら、本格的な走りが楽しめるこのクルマ。新型車開発が難しいミツビシが絞り出してきたこの派生車種は、なにか名車(迷車?)の香りがする。そういう意味で、走り好きだけでなく、マニアにもたまらないクルマだ。



GT-Aのエンジン。

大きく張り出したリアブリスターフェンダーは、セダンと違い、広がりっぱなしのシルエット。後端だけで見れば、セダンより幅広だ。リアコンビネーションランプの外側にあるガーニッシュと、またディフューザー形状のリアバンパーも迫力。

セダンより快適に

現行「ランサーエボリューションIX」は2005年3月にデビューした9代目。2005年9月7日に、そのランエボIXをベースとして作られた「ランサーエボリューションワゴン」が発売された。
グレードは6段MTを持つGTと、5段ATのGT-Aの2つ。エンジンスペックがそれぞれ異なり、GTはセダンのGSRグレードと同様、MIVECエンジン+タービンを用い、280psと40.0kgmを発生する。GT-Aは、ランエボVIIで存在したオートマグレード「GT-A」で実績のある、エンジンユニット(272ps、35.0kgm)とマニュアルモード付きの5段オートマチックトランスミッションが搭載される。
ワゴンボディ化によるボディ補強は各部に及び、その補強部分の多くは手作りに近い作業を伴うという。よって、ランエボワゴンは限定生産となり、2グレードあわせて2500台が販売される。

セダンにはない快適装備の充実もワゴンのユーザーを意識してのことだろう。HIDヘッドランプ、6スピーカー、プライバシーガラス、アクセサリーソケットまで標準装備される。また、専用設計のレカロシートもセダンとは形状が異なり、乗降の実用性を考慮してサイドサポートの張り出しが小さくなっている。さらにダッシュパネル付近の遮音性を向上させ、室内騒音もセダンより低くされた。

オートマのGT-Aグレードでは、ATオイルクーラーの取り付け位置の関係上、ナンバープレートはバンパー中央にレイアウトされる。

【スペック】
GT-A:全長×全幅×全高=4530×1770×1480mm/ホイールベース=2625mm/車重=1540kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC 16バルブターボ・インタークーラー付き(272ps/6500rpm、35.0kgm/3000rpm)/価格=341万2500円(テスト車=353万8500円/BBSアルミホイール=12万6000円)

荷室はランサーワゴンと同じ寸法ではあるが、幅広大径タイヤのおかげでタイヤハウスが大きく張り出し、使い勝手はいいとはいえない。

乗り心地は向上

試乗会は千葉県にある「茂原ツインサーキット」で行われた。ワゴンだというのにこの場所。走りに相当自信があることが伺える。しかし台風の接近でコースコンディションはあいにくのヘビーウェット。4WDなので雨でも安心できるといえばそれまでだが、やはり高性能車の走りはドライで試したいものだ。

サスペンションやブレーキは、セダンと全く同じチューニングがなされている。フロントデフはグレードにより設定が違い、GTはヘリカルLSDを、GT-Aにはノーマルデフを装着。センターおよびリアには、それぞれACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)と機械式のLSDが備わる。

まず6MTのGTに試乗。セダン同様のクロースしたギアと心地よく決まるシフトで、気持ちよく加速していく。ただし、低回転からでもトルクのあるエンジンなので、街乗りでは細かいシフトワークは強要されないだろう。
コーナーでは4WD特有の安定した挙動をみせ、アクセルペダルを安心して踏むことができる。LSDの効果で、ステアリングを切った方向にグイグイ切れ込んでいく。ブレーキ容量はセダンからアップしていないが、満足いくレベルだ。セダン(GT)と比較試乗すると、さすがに安定感に差はあるものの、110kgの重量増でここまでの走行性能を維持するとは恐れ入る。

次に乗り込んだGT-Aは、AT搭載による約40kgのフロントヘビーと、ノーマルのフロントデフのおかげで、GTとコーナリング性能に差がついた。圧倒的にアンダー傾向にある。さらにこのサーキットでは、ATのギア比がイマイチあっておらず、ヘビーウェットのコンディションでは2速でずーっと周回を重ねているような走りになり、加速に関してもGTより遅く感じるところが多い。

本格的に走るなら6MTがオススメだが、コーナーを攻めることよりユーティリティを考えるユーザーにはATの選択もアリだろう。
重量増によって乗り心地は良くなったはずでもあり、新規ユーザーを取り込むこともできるかもしれない。

(文=webCG本諏訪裕幸/写真=高橋信宏/2005年9月)

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