【スペック】全長×全幅×全高=4512×1923×1234mm/ホイールベース=2600mm/車重=1520kg/駆動方式=MR/4.3リッターV8DOHC32バルブ(490ps/8500rpm、47.4kgm/5250rpm)/価格=2354万1000円(テスト車=2541万9000円)

フェラーリ F430スパイダー(MR/2ペダル6MT)【試乗記】

快適の極みはF1譲り 2005.09.07 試乗記 フェラーリ F430スパイダー(MR/2ペダル6MT)……2541万9000円 「360モデナ」の後継たる「F430」に、オープンモデル「F430スパイダー」が加わった。F1テクノロジーがつぎ込まれた最新のフェラーリに試乗した。
【テスト車のオプション】
カーボンセラミックブレーキシステム=166万円/カラードアッパーダッシュボード=8万5000円/カラードロールバー=5万2000円/スペシャルカラードステッチ=4万2000円/カラードステアリングホイール=3万9000円/ナビゲーションシステム+ETC=57万7500円
 
【テスト車のオプション】
	カーボンセラミックブレーキシステム=166万円/カラードアッパーダッシュボード=8万5000円/カラードロールバー=5万2000円/スペシャルカラードステッチ=4万2000円/カラードステアリングホイール=3万9000円/ナビゲーションシステム+ETC=57万7500円
	 
写真をクリックすると、幌の開閉が見られます。
 
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オプションで166万円

ステアリングホイールには、左下にスタートボタン、右下には走行モード切り替えスイッチ「マネッティーノ」が赤く輝く。そして真ん中にはもちろん、鮮やかなイエローの円の中に鎮座する跳ね馬の紋章。裏側には2本のパドルが、今や当然のように備わる。

だから、「F430スパイダー」のコクピットに収まったときに見える光景は、どうもTVゲームっぽい。F1からフィードバックされた技術を使っているわけなのだが、形として表れるのは電子端末としての姿だから仕方がない。そのかわり、内装やダッシュボードの作り込みを見ると、以前と比べて明らかに上質さがアップしているのがわかる。シートはホールドのよさを保ちながらも、ふうわりとした感触で身体を包み込む。このへんは、ラクシャリー&プレミアムをテーマにした演出が成功している。

2005年3月にイタリア大使館で行われたF430発表会では、360モデナと比べて迫力を増したエクステリアが印象的だった。スパイダーの実物を見るのは初めてなのだが、やはりクーペよりもエレガントなイメージである。
試乗車はオプションも盛りだくさんで、ナビゲーションシステムとETCがついていたのは大いにありがたかった。幅の広いクルマで左ハンドルというのは、ETCの恩恵がもっともよく感じられる組み合わせなのだ。右リアのホイールを擦ることを思えば、安い投資である。ただ、カーボンセラミックブレーキのオプション価格は166万円で、これはさすがに伊達や酔狂では選べない。


 
フェラーリ F430スパイダー(MR/2ペダル6MT)【試乗記】の画像

 
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早朝は反社会的

ブレーキがコンパクトカー並みの値段であっても、運転の作法が特段変わるわけではない。スタートボタンを押すと、背後で快音が弾けてクルマの素性を声高に主張する。発進させるには、右のパドルを引いてメーターの中に表示されている「N」を「1」に変えればいい。あるいは、バックするならばセンターコンソール上の「R」のボタンを押す。ちなみに、そのすぐ手前には「オートモード」と「マニュアルモード」の切り替えスイッチがあるので、間違えないように注意する必要がある。

早朝の住宅街では、軽率にアクセルを踏むと反社会的との誹りを受けかねないので、ATモードにしてそろそろと進む。駆動系が暖まっていないせいか、サスペンションの動きが少々ギクシャクする。しかし、大通りに出てしまえばまったく神経を使わずにフツーに走れる。さほど幅も気にならないし、そこそこスピードが出れば変速ショックも驚くほど少なくなる。前のクルマがルームミラーを見てよけるものだから、仕方なく左のパドルを引いて右足に力を込めてみる。素晴らしい音色の咆哮に押されるようにしてかっ飛んでいくが、すぐに赤信号が行く手を阻む。

今回は名古屋までの往復というロングドライブでの試乗ができた。中央高速にのって目的地を目指すが、片道350kmという長丁場だ。ラクチンに行こうと思って、ATモードのままで運転することにする。流れにのって走っていると、どんどんシフトアップしてすぐに6速に入ってしまう。2000回転からスロットルを開けても平気で加速していくのだが、やはりリズムよく走るにはシフトダウンして回転を上げたくなる。ATモードでもパドル操作は有効なので、「シフトダウンして加速――しばらく巡航しているうちに勝手にシフトアップ」という繰り返しになる。こうなると、ATモードにしておく意味はないので、マニュアルモードに戻してしまった。


 

 

F1テクノロジーを試す

せっかくだから、F1由来のテクノロジーであるマネッティーノを試してみることにした。5つのモードの真ん中が「sport」になっていて、これがデフォルト。ひとつ上の「race」を選んでみた。これでダンパーの減衰力、ギアチェンジのスピードなどが変化するわけで、たしかにスポーティな走りになったような気が……した。正直なところ、実際にどれほどの運動性能の差があるのかはよくわからないのだが、こういうものは気分に作用すればそれでいいのだ。もうひとつ上のモードもあったのだが、これは「CST(コントロール・フォー・スタビリティ&トラクション)」をカットしてしまうものなので、危険を感じて自粛。

F1由来のテクノロジーはもうひとつ採用されていて、それが電子制御ディファレンシャルの「E-Diff」である。あらゆる条件下で、駆動力の伝達を飛躍的に高めるとの触れ込みだが、この機構の働きを実感したいならばサーキットへ行ったほうがいいのだろう。

トップの開閉は、もちろんスイッチ操作だけで行える。20秒ほどでフルオープンとなり、風の巻き込みを気にすることなくドライブが楽しめた。乗り心地、運転のしやすさ、快適なオープンモータリング。そういった部分において、360モデナに比べて明らかによくなっていることは容易に理解できた。コーナリング性能やパワー特性に関しても、格段に進化しているのは疑うことができないが、なにしろこのF430スパイダーは街乗りでもストレスなく楽しめてしまうクルマである。高性能の民主化がたどり着いた地点の遥かなることに、誰が驚きの念を持たずにいることができるだろうか。

(文=NAVI鈴木真人/写真=荒川正幸/2005年9月)

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