【天国から、お久しぶり】アイルトン・セナの実像(後編)

2005.08.18 自動車ニュース

【天国から、お久しぶり】アイルトン・セナの実像(後編)

ご先祖様の精霊を迎え供養する日本の伝統行事、お盆にちなみ、自動車業界に多大なる功績を残した偉人たちをお迎えする「天国から、お久しぶり」。ホンダエンジンでタイトルを勝ち取ったこともあってか、日本では絶大な人気を博したアイルトン・セナ。伝説のドライバーとして語られがちだが、その実像は……。

■日本での人気

(前編からのつづき) 悲しげな光を湛えた瞳に甘いマスク、そしてストイックなまでに栄冠を希求する姿勢や完璧ともいえるドライビング・テクニックで世界中のファンから愛されたセナだが、特に日本人の間では、ホンダとの結びつきが深いこともあって絶大な人気を博していた。

その反動か、セナ・ファンは宿敵アラン・プロストに冷たい視線を送っていたようにも思える。セナと同じマクラーレン・ホンダに在籍していた当時、「ホンダは自分を冷遇している」などと発言したほか、1990年には“去る”ようにしてフェラーリに移籍したことも、日本人ファンの反感を増幅させる一因となった。

当時、駆け出しだった私に真相は分からないものの、後年プロストは、英国のベテランジャーナリスト、ナイジェル・ルーバックに対し、「チームメイトだった頃、セナのピットはチームスタッフでごった返していたのに、僕のところにはメカニックがふたりしかいなかった」と独白しているので、彼の主張もやっかみとばかりはいえないだろう。


F1での生涯成績は、出走数161回、タイトル獲得数3回(1988、1990、1991年)、勝利数41回(歴代3位)、ポールポジション獲得数65回(歴代1位)、ポイント数614点(歴代3位)、ポール・トゥ・ウィン数29回(歴代2位)。
F1“最多記録”のほとんどはミハエル・シューマッハーのものになってしまった今日、セナのポールポジション(PP)記録はいわば“最後の砦”。PP獲得率約40%という数字は、1950、60年代のドライバーの記録より低いが、近年ではダントツの高さを誇る(シューマッハーは約28%)。

■人間臭い姿

もっとも、非ヨーロッパ人のセナが、同じ非ヨーロッパのホンダと手を組んでヨーロッパ社会のF1を席巻しようとしたのは分からない話ではない。そうした観点から、自分の“政治力”を駆使することも、F1ではよくある話だ。

カリスマティックな風貌がそうさせるのか、セナの場合はすべてを美談でまとめ、伝説化しようとする傾向が目につくが、あくまでも勝負に拘泥する人間臭い姿のほうが、セナの実像に近いのかもしれない。
もっとも、仮にそうだとしても、私が今後もセナ・ファンであり続けることには変わりないだろう。

(文=CG副編集長 大谷達也/写真=CG)

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