燃料電池、ディーゼル、ハイブリッド……京都〜名古屋エコな旅

2005.08.10 自動車ニュース

燃料電池、ディーゼル、ハイブリッド……京都〜名古屋エコな旅

実用化に向けて開発が進む燃料電池車や、日本未導入の欧州ディーゼルモデル、あるいは巷で活躍中のハイブリッドカーなどエコカーが一堂に会したイベント「ビバンダム・フォーラム&ラリー2005」が、2005年6月8〜9日に開催された。

■タイヤメーカーによるエコなイベント

世界的なタイヤメーカーである仏ミシュランは、1998年以来、「チャレンジ・ビバンダム」というイベントを各国で開催してきた。環境に配慮した、プロトタイプモデルを含む様々なクルマを集め、その性能をテストしながらラリーを行う、というユニークな試みは、フランス、アメリカ(カリフォルニア)、ドイツ〜フランス、再びカリフォルニアと場所を移し、2004年10月には中国・上海へと渡った。

今回、わが国へとやってきたのは、そのコンパクト版といえる「ビバンダム・フォーラム&ラリー2005」。上海から間もないこともあったが、今年2月に京都議定書が発効したこと、そして愛知で環境をテーマとした「愛・地球博」が開催されていることにかこつけて、いつもより小規模ながらエコカーキャラバンが催された。

会の初日は、タイトルのとおり、学者、有識者をはじめ、メーカーや関係官庁から代表者を招いての「フォーラム」の日。1997年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議(京都会議)がまさに開かれた国立京都国際会館で、「持続可能(サステイナブル)なモビリティ」をテーマに丸1日ディスカッションが繰り広げられた。

■燃料電池車は“夢のクルマ”なのか?

地球温暖化の主因とされる温室効果ガス、二酸化炭素(CO2)について、日本は排出量世界第4位である(1位アメリカ、2位中国、3位ロシア)。
そんなCO2大国であるわが国において、民間消費のCO2発生量の48%をガソリンと軽油の消費が、国全体のCO2の19%を自動車による輸送がそれぞれ占めているという。我々が普段何気なく乗っている自動車が環境に大きな負荷を与えているということはいうまでもないだろう。
また燃料である石油(化石燃料)の枯渇も、数十年後に迫っているといわれ、既存の内燃機関を利用した自動車が変革を迫られていることも周知の事実だ。

ではどのような技術が開発されているかといえば、水素を利用した燃料電池車がまずあがるだろう。しかしロードテストが各国で行われているとはいえ、実用化までにはまだまだ時間がかかるといわれている。フォーラムに出席した自動車メーカー各社は、市販化の時期を明言することはなかったが、「2010年には実用化に踏み切らなければならない」と述べながらも、さらにもう10、20年要するかもしれないという見方を示唆した。

つまり、「水しか排出しない“夢のクルマ”である燃料電池車がそのうちやってくる」という希望的観測は危険だということだ。その夢が現実となる前に、石油がなくなり、温暖化は進んで、地球はのっぴきならない状態に陥ってしまうかもしれないからだ。

■“極太”トルクのディーゼルに感心

2日目は「ラリー」の日。既存&開発中の技術を取り入れたエコカーに乗る機会が与えられた。

自動車メーカー、テクノロジーサプライヤー、エネルギーサプライヤーらとミシュランが手を組み、集まった車両は47台の乗用車と4台のトラック、計51台。燃料電池車をはじめ、ハイブリッド、LPG(液化石油ガス)、電気、CNG(圧縮天然ガス)、ディーゼルと、様々なパワーソースを持つ各車に分乗し、一路「愛・地球博」の会場へと向かった。

1台の試乗時間は20分程度と短かったが、日本未導入のディーゼルモデル「BMW 530d」のステアリングを握ったときには“スゴイ”と感心してしまった。
3リッター直6ディーゼルターボエンジンを搭載した5シリーズは、51.0kgmもある“極太”トルクがもたらすズバ抜けた加速力の持ち主で、それでいながらCO2排出量は208g/km(MTでは184g/km)と、「530i」の3リッター直6ガソリン比で16g/km優れている。これだけパフォーマンスとエコを両立させた同車が日本で手に入らないとは残念なことである。

■「持続可能なモビリティ」とは

石原慎太郎都知事の派手な“アンチディーゼル・キャンペーン”が、日本におけるディーゼルの立場を弱いものにしたことは衆目の認めるところ。
その後、少なくとも乗用ディーゼルエンジン搭載車は生きる道を失い、また2005年10月に導入される、世界一厳しいといわれる排出ガス規制「新長期規制」により、前述の530dのような外来車種が入り込む余地も事実上なくなった(日本の規制に向けた調整に時間と費用がかかるためだ)。

地球環境がある特定の(夢のような)技術により劇的に改善する、と信じるには時期が尚早すぎるしあまりに危険だ。
今回のラリーに参加した様々な動力源を持つ自動車が、それぞれの利点を活かしながら共存し、と同時に消費者が都合にあわせてパワーソースを選べるという社会こそ、「持続可能なモビリティ」につながるのではないだろうか。そう考えると、科学的に見えて実は感情的な日本のディーゼル対策には「?」がつく。

(文=webCG 有吉/写真=ミシュラン)

燃料電池、ディーゼル、ハイブリッド……京都〜名古屋エコな旅の画像

京都会議が開かれたゆかりある場所で「フォーラム」開催。日本政府や欧米の関係団体、自動車&部品メーカーからの代表者や学者、有識者らが集まってのディスカッションは、丸1日かけて行われた。

京都会議が開かれたゆかりある場所で「フォーラム」開催。日本政府や欧米の関係団体、自動車&部品メーカーからの代表者や学者、有識者らが集まってのディスカッションは、丸1日かけて行われた。

会場内には、各社の環境技術をディスプレイしたコーナーが設けられた。

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開発中の燃料電池車「ホンダFCX」のカットモデルを前に説明を聞く、高円宮妃殿下。(写真=webCG)

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2日目、京都を出て琵琶湖畔の彦根を経由、愛知の「愛・地球博」会場まで、約170kmにも及ぶエコキャラバンがスタートした。

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「コモンレール」燃料噴射システムなどディーゼルエンジンの重要部品を手がけるボッシュ・オートモーティブ・システムが輸入した日本未導入車「BMW 530d」。

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こちらは変り種(!?)、ベンチュリーの電気自動車。0-100km/h加速4.5秒とか!!

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燃料電池車はもちろん、ハイブリッド、LPG(液化石油ガス)、電気、CNG(圧縮天然ガス)、ディーゼルと様々な動力源が集まった。写真はナチュラル・ガス・ビークル、つまり天然ガス車。

燃料電池車はもちろん、ハイブリッド、LPG(液化石油ガス)、電気、CNG(圧縮天然ガス)、ディーゼルと様々な動力源が集まった。写真はナチュラル・ガス・ビークル、つまり天然ガス車。

同じ環境をテーマとしたイベント「愛・地球博」の会場がラリーのゴールとして選ばれた。

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