【FN2005】第6戦、井出が今季2度目の優勝、新人クインタレッリが2位の大金星!

2005.08.01 自動車ニュース

【FN2005】第6戦MINE、井出が今季2度目の優勝、新人クインタレッリが2位の大金星!

ポールポジションから好スタートを切り、後続をぐんぐん引き離したブノワ・トレルイエ。給油とタイヤ交換を終えて、コースに復帰した後は、勝利への道を突き進んでいた。だが、彼を待ち受けていたのは、失格という裁定だった……。

7月最後の日曜日となった2005年7月31日、山口県はMINEサーキットで開催された全日本選手権フォーミュラニッポン第6戦は、思わぬトラブルが勝利の行方を左右した。
中盤、トレルイエがピット作業違反によるドライブスルーペナルティを科せられた上に、その裁定を確認する間、走行を続けていたためにペナルティの未消化と判断され、失格扱い。やり場のない悔しさとともに戦列を去った。

優勝したのは、トレルイエの背後で逆転のチャンスをうかがっていた井出有治。2位にはルーキーのロニー・クインタレッリが参戦3戦目にして初表彰台を獲得し、3位は終盤、十分な追い上げを見せることができなかった本山哲だった。

■予選1回目トップのトレルイエがPP獲得

MINEのコースは、国内サーキットのなかでも路面のミューが低く、またレイアウトの特性から元々外国人ドライバーが得意とするところ。さらに、今季唯一2勝をあげている本山哲にとってもゲンのいいコースである。予選では、これらの選手の動向に注目が集まった。

予選1回目開始前に通り雨が降ったが、幸い、コースコンディションはドライのまま、全車スリックタイヤでアタックを開始した。とはいうものの、依然として灰色の雲が上空を怪しく覆っていたため、チームのなかでは序盤から積極的にニュータイヤでタイムアタックする様子も見られた。
しかしながら終わってみれば、残り10分でアタック合戦が始まり、その5分後にはベストタイムを更新するという、定石どおりの予選となった。

午後2時からの予選2回目は、午前よりも気温、路面温度がともに上昇。加えて、肌に張りつくような湿気を含んだ重い空気がサーキットを包み込んだ。その影響か、午後の予選でタイムを削ったドライバーは15人中僅か3人。しかも大きくポジションを変動させることなく、予選が終了した。

結果、ポールポジションを獲得したのは、ブノワ・トレルイエ。予選1回目の終盤でトップに立ち、その後、タイムを縮めて詰め寄ったチームメイトの井出有治を僅差で封じ込めた。3位には、“MINE最多勝男・MINEマイスター”の異名をとる本山哲がつけた。

4、5位にはアンドレ・ロッテラーとロニー・クインタレッリが続き、MINEと外国人ドライバーの相性の良さを証明することとなった。

■セーフティカー導入が生んだ接近戦

レースウィーク一番の暑さとなった決勝日。毎年“荒れる”といわれるMINEの一戦は、ご多分に洩れず3周目に2台のマシンが接触、セーフティカーが導入された。
ステアリングにトラブルを抱えていた予選9位の小暮卓史と、ロケットスタートを決めて大きく前進していた野田英樹のふたりが、第2ヘアピン手前で進路を塞ぎ、行き場を失ったリチャード・ライアンは完全にマシンを止めるというとばっちりを受けた。レースには復帰したものの、終盤にはマシントラブルで今季初リタイア。「いつもMINEはポディウムはおろか、入賞もできないんだ。来年はもうここに来ずに家にいるよ」と、相性の悪さにライアンも苦笑いするしかなかった。

このアクシデントによって、渾身のスタートを決めたトレルイエにとっては水をさされたかたちとなったが、7周目のリスタート以降もハイペースを持続。しかし、2番手の井出がじわりじわりとその差を縮め、一時は3秒以上あった差を30周目には1秒以下にした。

これを受け、トレルイエはひと足先にピットイン。燃料補給とタイヤ交換を済ませ、コースへと復帰した。対する井出は、マージンを稼ぐべく周回を重ねて49周終了時点でピットインを行った。そしてこの直前、トレルイエのピット作業に対し、ペナルティが提示されたのだが、その内容は冒頭のとおり。これでピットインで暫定的に後退した井出にかわり、クインタレッリがトップに立った。

■ノンストップか否か、注目のピット作戦は?

予選5位スタートのクインタレッリは、スタートで前車にラインを塞がれ、一時は7位まで後退したが、大半のマシンがピット作業を選択するなか、給油はもちろんのこと、タイヤ交換をせずに走り切るノンストップ作戦を遂行。最終的には速さにまさる井出に逆転を許したが、その後も隙あらば井出とのバトルに持ち込もうと、背後から気迫ある走りを見せた。だが、高い路面温度にタイヤも音をあげはじめ、クインタレッリはポジションキープへとスイッチ。手堅く走り切ることに集中した。

■残る表彰台の一角を巡る攻防戦、本山が制す

その後井出は、コンスタントなペースでトップを快走。最終的には約15秒という大量のリードをつくって、今季2勝目のチェッカードフラッグを受けた。

2位キープに徹したクインタレッリに対し、後方では土屋武士、本山、松田次生の3人が壮絶なバトルを展開。本山と松田はピット作業を完了し、追い上げモードだったが、土屋が行く手に立ちはだかった。この土屋もノンストップ作戦を実行。
3台のなかで一番ペースは遅くとも、抜きどころの少ないMINEはもともと得意とするコース。立ち上がりでうまく後続2台を抑えつつ、時折一触即発状態になるほどのハードな闘いを15周以上続けた。

だが終盤、プレッシャーをかけ続けた本山に対し、土屋が痛恨のブレーキングミス。本山と松田が立て続けに土屋を料理し、それぞれポジションアップを果たした。
これで気も新たに追い上げを開始したかった本山だが、松田も変わらぬペースで喰らいついてくるうえ、土屋との攻防戦を繰り広げる間に2位との差は14秒あまりへと開いていた。結局、クインタレッリの後塵を拝すことになり、3位でレースを終えた。

本山に続き、シーズン2勝目をあげた井出は、ポイントランキングでも2位に浮上。前回の鈴鹿はノーポイントに終わったが、「チャンピオン争いを考えると立場はまだ厳しいが、もっとレースウイークの流れを良くしていけば、結果も自然についてくる。これでまたチャンピン争いに残れた」と安堵した。

一方、シーズン途中参戦から3戦目にして2位の大金星をあげたクインタレッリは、「予選5位から上位を狙うため、ノンストップはいい作戦だった。厳しいレースだったけれど一度もミスなく走りきったよ」と笑顔を見せた。

次回第7戦は、シーズン2度目の開催となる富士スピードウェイ。前回は突然の大雨が勝敗を左右したが、8月最後の週末は、残暑厳しいなか高速スピードで繰り広げられる攻防戦を楽しみにしたい。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)


予選ではIMPUL勢が開幕戦以来の1-2-3位を獲得。左から、チームのボス、星野一義、予選2位の井出、同1位のブノワ・トレルイエと3位本山哲。


レース序盤いきなり小暮卓史と野田英樹が接触しクラッシュ。コースを塞ぐかたちで停止したため、セーフティーカーが導入された。リチャード・ライアンはギリギリのところでストップ、レースに復帰した。


2位表彰台獲得を喜ぶロニー・クインタレッリ(右)と近藤真彦監督。


レース前のピットウォーク時には、D1グランプリのデモ走行が行われた。興味深げに見入るのは、アンドレ・ロッテラー(右)。「(ドリフト走行)やれるかい?」と聞くと「やってみたことないよ」と笑っていた。

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