【WRC 2005】チーム・クローズアップ「勝利数歴代2位のフォード」

2005.08.01 自動車ニュース

【WRC 2005】チーム・クローズアップ「勝利数歴代2位のフォード」

2005年の世界ラリー選手権(WRC)には6メーカーが参戦。いずれもワークスチームを組織し、厳しいラリーシーンで技術競争を展開している。
ドライバーの顔ぶれ、マシンの特徴を追いながら各チームの体制を紹介する同コーナー。今回は9月にシェイクダウン、そして11月のラリー・オーストラリアでの実戦投入を目論み急ピッチで新型の開発に取り組んでいるフォードに注目だ。

■06年型フォーカス開発中

1901年、デトロイト近郊のグロスポイントで争われたレースで、創設者のヘンリー・フォードが優勝。以来、様々なフィールドで数多くのタイトルを獲得してきたフォードは、まさにモータースポーツ界のサラブレッドだ。

トップフォーミュラのF1で10回のコンストラクターズタイトルを獲得。さらにラリーシーンにおいても、モンテカルロ、サファリなどWRCの設立以前から数多くの勝利を手に入れてきた。1973年にWRCが発足してからも常に最前線で活躍し、その勝利数は現在(2005年WRC第9戦終了時点)、ランチアの74勝に次ぐ48勝で歴代2位につけている。

昨年の中盤までは、2004年を最後にWRCから撤退することが確実視されていたものの、今季も活動を継続。しかも、トップマネージメントが打ち出した計画は4年にわたる長期的なプランで、それにもとづいてすでに06年型のフォーカスWRCが開発されている。
9月にはテスト走行、11月のラリー・オーストラリアにはニューマシンを投入する予定で、まさにフォードは今日のWRCにおいて目の離せない存在となっている。

■苦しい状況のなか、ガルデマイスターが健闘

しかし、そんなフォードも今季は苦戦が続いている。体制に関しては従来どおり、マルコム・ウィルソン率いる「Mスポーツ」がチーム運営に当たっているのだが、2006年モデルの開発に専念するため、今年の活動予算を縮小。
そのため、マルコ・マルティン、フランソワ・デュバルの“二枚看板”がそれぞれプジョー、シトロエンに移籍し、その穴を埋める人材にしても、高額なトップドライバーは諦めなければならなかった。マシンに関しても、昨シーズンで使用したフォーカスWRC04をそのまま投入するなど、苦しい台所事情を背景に我慢のラリーを強いられている。

まさに、フォードにとって2005年は“繋ぎの1年”といえるのだが、その苦しいシーズンにステアリングを握っているのが、フィンランド出身のトニー・ガルデマイスターとチェコ出身のロマン・クレスタだ。

ガルデマイスターはセアトのワークスとして2000年のシリーズで活躍するものの、その後はチームに恵まれず低迷続き。だが今季はフォード加入のチャンスを活かしてモナコで2位、スウェディッシュで3位、ギリシャで2位に入賞するほか、すべてのラリーでポイントを獲得し、ランキング4位につけている(9戦終了時点)。

一方、チームメイトのクレスタは、シュコダからワークス参戦した経験を持ってはいるが、どちらかといえば潤沢な資金を持ち込む“お客さん”ドライバー。今季の最高位もイタリア、キプロスの6位に留まっている。

そのほか、彼らワークスにノミネートされているドライバー以外にも、ベルギー出身のアンソニー・バルンボルドやスバルのエースとして活躍するペターの兄、ヘニング・ソルベルグなど多くのドライバーが3台目、4台目のフォーカスをドライブ。数多くの“お客さん”を抱えることで少ない活動予算に対応しているのである。

■トップクラスの安定感を持つ旧式モデル

活動予算の削減で、苦しい状況に立たされているフォード。前述したとおり、マシンに関しても「フォーカスWRC04」がそのまま使用されているのだが、その戦闘力は決して低いものではなく、いまもなお高いパフォーマンスを披露している。

もともと同マシンは2002年にプロドライブからMスポーツへ移籍したクリスチャン・ロリオーの力作「フォーカスWRC03」の改良版で、優れた空力パッケージと充分なストロークを確保した足まわり、そして、徹底的な低重心&軽量化が特徴だ。

高回転型のエンジンはややピーキーな特性となっているものの、マシンの完成度は高く、安定感に関してはトップレベルの水準。事実、耐久ラリーとなったアクロポリスでは数多くのライバル車が脱落するなか、ガルデマイスターが2位入賞を果たし、今季3度目の表彰台を獲得している。

残念ながらドライバーのラインナップに恵まれず、優勝する可能性は低いように見えるが、ラウンドや展開によっては今後も表彰台を獲得することだろう。

(文=廣本泉)


フォードは、2002年モンテカルロから現地点(2005年第9戦アルゼンチン)まで、全戦でポイントを獲得しているレコードホルダーだ。今年第6戦キプロスで50戦連続得点を祝うのは、チーム代表のマルコム・ウィルソン(中央)、ドライバーのトニー・ガルデマイスター(右)とロマン・クレスタ。(写真=フォード)


徹底した低重心・軽量化を進めた「フォーカスWRC03」。その改良版「WRC04」を継続投入し、厳しい台所事情のなか踏ん張りを見せている。(写真=フォード)

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