【スーパーGT 2005】 GT特別講座その2「予選方式=スーパーラップについて」

2005.07.07 自動車ニュース

【スーパーGT 2005】 GT特別講座その2「予選方式=スーパーラップについて」

全日本GT選手権(JGTC)から「スーパーGT」と改名した国内GTシリーズについてわかりやすく解説する特別講座。今回は、新しく導入された予選方式について触れてみることにしよう。

■スーパーGTの予選とは

決勝グリッド、つまりスタート順を決めるのが予選。限られた時間でもっとも速いタイムを出したものがポールポジションからスタートする、というのはレースの定石だが、そのグリッドを決める方法はレースやカテゴリーによって異なる。

スーパーGTには「GT500」と「GT300」という、エンジンパワーによって区分されたクラスが2つ存在するため、当然、各クラス別に予選順位を決めている。さらに、各クラスのマシンがいいコンディションでタイムアタックができるよう、予選の時間枠を区切るなど、さまざまな工夫が盛り込まれているのだ。

■アタックは1名だが……

予選は2回、決勝日前の午前と午後にそれぞれ1時間ずつのセッションが設けられている。1回目はこの1時間を3等分(各20分)し、GT500、GT300、そして両クラス合同の順で走行する。ここでクラス別ベストラップでトップ10に入ったマシンが、午後からの「スーパーラップ(SL)」進出の権利を得ることができる。

ただし、SL進出においては各マシンのドライバー2名が揃って予選1回目で予選基準タイム(各クラストップ3の予選タイム平均値の107%以内)をクリアしていることが必須条件。つまり、タイムアタック担当のドライバーはもちろんのこと、そのパートナーであるもうひとりのドライバーも遜色ないタイムを出すことが求められるというわけだ。

ちなみに、開幕戦ではNo.12カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ/井出有治組)がこのルールにより、SL進出のチャンスを逃した。先にアタックを行ったトレルイエはGT500クラスのトップ10に入るタイムをマーク。次いで井出もアタックを開始したが、その直後にエンジントラブルが発生、タイムを残すことができなかったのだ。

■「スーパーラップ」とは

ところで、SL=スーパーラップとは何なのか。これは予選で上位(各クラス12位まで)につけたマシンによる1発アタックのことで、このタイムによって上位グリッドが決まる。逆を言えば、SLに進出できなかったマシンは13位以降につくことになる。

予選1回目で各クラス上位10台がその出場権を得て、残りの各クラス2台、計4台を予選2回目で選出する。その際、SL前に各クラス15分間の走行が行われ、すでにSL出場権のあるマシンを除いた各クラス上位2台がこの権利を手にすることができる。

昨年までは予選1回目の不調を2回目で挽回、ということも可能だったが、SLが導入された今年は状況が一転。「朝から全開!」が、予選の第一関門となった。とはいえ、まだ一部のドライバーには逆転のチャンスが残っている。それが、SLなのだ。

■その都度内容が変わることも

このSL、各クラス12台計24台が順番に単独でアタックを行うのだが、コースインはGT300、GT500クラスの順。まず予選2回目にSL進出を決めた2台が、次いで、1回目のタイムの遅い順から(9位と10位)2台1組となってコースインする。
各マシンに与えられるのは4周。コースインに1周、タイヤのウォームアップに1周、そして1周のタイムアタックのあと、チェッカードフラッグが提示される。その後、クールダウンの1周を経てピットに戻ってくるというかたちだ。

ところで、2台1組でコースインすると書いたが、このとき先にコースへ向かうのは、2台のうちでタイムが速かったマシン。コースインにも優先権があるのだ。ただし、アタック中にスピン、コースアウトなどで一時的に停止状態になる原因をつくった場合は別で、対象車は、タイム無効でアタック終了となる。逆に他車が原因でアタック中断を余儀なくされた場合は、再度アタックのチャンスが与えられる。

ドライバーは1ラップアタックのため、計算に計算を重ねタイヤを温め、その“おいしい”部分をつくるなど、万全の体勢で臨む。

なお、SLは実施のたびに特別規則でその内容を定めることになっている。つまり、SL方式は、その都度変更される可能性がある。
今回説明したのは、第2戦富士でのSL方式。実際、開幕戦では、2台1組のコースイン時に、タイムの遅いマシンが先にコースインするかたちだったが、第2戦で先述した順へと変更された。2台のうち、僅かでも速かった方を優先したのは適切な判断だと思われる。

■SL、賛否両論!?

だが、このSLを巡っては、ドライバーやタイヤメーカーと大会主催者との間で考えに温度差があることも事実。開幕戦では、この新しい予選実施に関してドライバーから様々な声を聞くことができた。
「自分ひとりだけの走りをお客さんに見えてもらえる」「たった1周のために、どのようなアプローチをしてタイヤを温めていくか、頭を使ってアタックするのは楽しい」など、一発勝負を好意的にとらえるドライバーが比較的多かった一方で、「タイヤやマシンのコンディションがこのアタックにふさわしい状態なのか、疑問が残る」という意見もあった。実際、GT500クラスは夕方4時近くにSLが行われ、冷え切った路面で温まりきらないタイヤをコントロールしながらアタックを強いられる状況だった。

また、「SLのために、ファーストドライバーにあわせたクルマづくりに重点が置かれてしまい、予選中に決勝時のセッティングや様々なチェックをする機会が減るような気がする」と、片寄ったプロセスを心配するドライバーの声は、総合力による勝利が大きな割合を占めていたGTレースが、今後、予選重視へと動きを変える可能性をはらんでいるということを示唆するものかもしれない。

さらに、その予選を見る観客の感想にも耳を傾ける必要があるだろう。「去年までの予選では、残り10分を切って続々とマシンがコースインしていたので、“さぁ、いよいよアタックが始まる!”という期待感や盛り上がりがあったけれど、SLは様子がわかりにくい」「個別にアタックしている状態を映像やアナウンスでもっと教えて欲しい」と、まだ戸惑いがあるようだ。

SL導入によって、チーム、ドライバーは様々な対応を迫られた。そして観客にもその影響が及んでいる。かといって、今、このSLに対して評価を下すのは早急というもの。何かを変えることで何がどう変わるのかをもっと深く掘り下げることにより、今後のレースに新たな方向性を見つけていくことが重要なのだ。

次回は決勝レースとシリーズタイトルを巡る闘いについて触れることにしよう。

(文=島村元子)

【関連記事】
【スーパーGT 2005】 GT特別講座その1「スーパーGTってどんなレース?」:
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000016783.html

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1アタックで上位グリッドを埋める「スーパーラップ」方式を採用。F1でも同じような予選が行われているが、ドライバーが2名いる、クラスが2つあるなど、GTならではの要素が加味されている。(写真=KLM Photographics J)

1アタックで上位グリッドを埋める「スーパーラップ」方式を採用。F1でも同じような予選が行われているが、ドライバーが2名いる、クラスが2つあるなど、GTならではの要素が加味されている。(写真=KLM Photographics J)

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