【WRC 2005】チーム・クローズアップ「長年の活動に終止符を打つラリーの名門、プジョー」

2005.07.05 自動車ニュース

【WRC 2005】チーム・クローズアップ「長年の活動に終止符を打つラリーの名門、プジョー」

2005年の世界ラリー選手権(WRC)には6メーカーが参戦。いずれもワークスチームを組織し、厳しいラリーシーンで技術競争を展開している。
ドライバーの顔ぶれ、マシンの特徴を追いながら各チームの体制を紹介する同コーナー。今回は2005年を最後にWRCから撤退する「マールボロ・プジョー・トタル」に注目だ!

■“名門復活”のラストチャンス

マールボロのスポンサードでお馴染みのプジョーは、輝かしい実績を持つラリーの名門だ。1950年代〜70年代にかけてはサファリラリーなどアフリカの耐久イベントで猛威をふるい、80年代にはモータースポーツ部門のプジョー・スポールを設立し、ヨーロッパを舞台とするスプリントのWRCで活躍。特にグループB時代の85年にはミドシップ4WD「205T16」で8勝を挙げ、マニュファクチャラーズ、ドライバーズ両部門でタイトルを獲得している。

そして、99年からは名車「206WRC」を投入。翌00年から02年にかけては3年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得し、再び黄金期に入った。

しかし、昨2004年はニューマシン「307WRC」にトラブルが続出し、苦戦の展開に。さらに参戦コストの増加、自社ブランドの販売地域外でのラウンドが増えたことにより、同じPSAグループのシトロエンとともに05年のシーズンをもってWRCから退くことを発表した。

シトロエンでは07年からの復帰が検討されているものの、世界ツーリングカー選手権へ向けてマシンを開発するプジョーにとっては、まさしく今年がWRC最後のシーズンとなりそう。長年のラリー活動に終止符を打つプジョーにとって、今シーズンは“名門復活”をアピールできるラストチャンスとなっている。

■速さのグロンホルム、安定感のマルティン

チーム体制だが、長年チームを率いてきた名将、コラード・プロベラ氏に代わって第3戦メキシコからはジャンピエール・ニコラ氏がチームを率先している。ドライバーは37歳のフィンランド人、マーカス・グロンホルムと30歳のエストニア人、マルコ・マルティンだ。

87年にWRCでデビューしたグロンホルムは、プライベーターとして苦戦。97年にはトヨタ・ワークスのTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)のサテライトチームで「カローラWRC」を駆るものの、その後しばらくは勝利に恵まれることはなかった。

しかし、プジョー・ワークス入りを果たすと、00年のスウェディッシュでついに初優勝。そして同年、念願のドライバーズ・タイトルを奪取すると、02年には2度目のチャンピオンに輝いた。

昨年はマシントラブルに悩まされ、今季も第1戦モンテカルロ、第2戦スウェディッシュと出遅れたものの、第3戦メキシコからは3戦連続で表彰台を獲得。一発の速さに関してはシトロエンのセバスチャン・ロウブ、スバルのペター・ソルベルグらを凌ぐパフォーマンスで、豪快なコーナリングが特徴となっている。

一方、97年のWRCデビューとなるマルティンもプライベーターとして苦戦を強いられてきたドライバーだ。その後はフォード、スバルでワークスマシンを駆るものの、目立った成績を残せていなかった。
が、フォード移籍後の03年ギリシャで初優勝し、昨年は3勝を挙げてランキング3位に。そして、今季はプジョーのNo.2ドライバーとして、ここまでての全ラウンドでポイントを獲得している(第8戦終了時点)。安定感に関してはトップレベルの実力で、サバイバルラリーに強いドライバーと言えるだろう。

■ポイントはピレリタイヤの熟成

このように豪華な顔ぶれで最後のシーズンに挑むプジョー。その意気込みは並々ならぬもので、マシンに関しても「C4」の開発をストップし旧型「クサラWRC」で挑むシトロエンとは対照的に、プジョー陣営は開幕戦モンテカルロからニュースペックの307WRCを投入している。

同モデルは04モデルを改良した進化バージョンで、05年のレギュレーションにあわせてボディをワイド化。これによりコーナリングスピードとスタビリティが向上し、エンジン面に関しても軽量化を追求したようだ。

さらに、問題を抱えていたギアボックスも一新され、耐久性も向上。エアロパーツに関しても拡大されたフロントバンパーにあわせてダクト形状を変更するなど、空力面でも改良されている。

こうしてマシンの熟成を図り、パフォーマンスを高めてきた307WRCだが、第4戦ニュージーランド以降はミシュランからスイッチしたピレリタイヤに苦戦。路面温度の低い午前中のステージで好タイムを叩き出すものの、リピートステージ専用タイヤを持つミシュラン勢に対し、ピレリ勢は路面温度の高い午後のステージではタイヤの消耗に悩まされているのが現状だ。

とはいえ、そんな我慢の展開にもかからず、マニュファクチャーズ部門では首位シトロエンの5点差、ランキング2位につけている(第8戦終了時)。ドライバー、マシンともにポテンシャルが高いだけに、タイヤのパフォーマンスが高まればトップ争いを展開することだろう。

(文=廣本泉/写真=プジョー)


エースドライバーのマーカス・グロンホルム。1968年生まれのフィンランド人。2000年、02年のラリーチャンピオンである。


フォードから移籍したマルコ・マルティンがNo.2を務める。1975年生まれのエストニア人。2003年アクロポリスで初優勝し、以後通算5勝をマークしている。

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