【FN2005】第5戦鈴鹿、速さとチーム力を武器に、本山が荒れたレースを制す

2005.07.04 自動車ニュース

【FN2005】第5戦鈴鹿、速さとチーム力を武器に、本山が荒れたレースを制す

ヘビーウェットで幕を開けたレースは、セーフティカーが2度も入る波乱の展開となった――2005年7月3日、三重県・鈴鹿サーキットで行われた全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第5戦の決勝は、雨の影響でサバイバルレースと化し、その中で自らの走りを遂行した本山哲が今季2勝目をマークした。

無給油で走り切った小暮卓史が2位、予選で後方に沈んだリチャード・ライアンが粘りの走りで3位を獲得。
4、5位には山本左近、ロニー・クインタレッリのルーキーふたりが入り、山本は初入賞、クインタレッリは2戦連続入賞を果たした。

■本山が今季初PP、雨の予選では新人クインタレッリがトップに

今シーズンのフォーミュラ・ニッポンは、多かれ少なかれ雨の影響を受けるレースが続いている。今回は梅雨前線が停滞し、金曜日の合同練習では午前中がウェットコンディション。そして土曜日の予選は、予選1回目のみドライとなり、2回目はスタートを見透かされたように雨粒が落ちてきた。
チームもそれぞれ展開を先読みし、なかには予選1回目に新品のスリックタイヤを全4セットすべて投入するチームもあらわれるなど、短い時間の中で勇猛果敢にグリッドの好位置確保を狙った。

予選1回目、開始15分に本山が1分46秒901のタイムでトップに立つ。早くも2セット目のニュータイヤを装着してのタイム更新だった。その後、ピットにマシンを戻し、足まわりを変更。チェックのためにユーズドタイヤでの試走を済ませ、あらためて3セット目のニュータイヤを装着してアタックに入った。
ところがその矢先、本山は勢い余り、デグナーカーブで痛恨のコースアウト。タイヤバリアにマシンを激しくヒットさせストップ。これで予選は赤旗・中断となった。
このアクシデントで走行のチャンスを失った本山だったが、予選1回目は暫定トップのまま終了した。予選再開後、残り時間10分で同様にコースアウトするマシンが出るなど、タイムアタックが難しい状況となったためだ。本山を先頭に、2番手にはルーキーの平中克幸、3番手に井出有治がそれぞれ続いた。

午後3時からの予選2回目を前に、ついに雨が落ちてきた。時間を追うごとに雨脚が強まり、全車レインタイヤを装着。これで予選1回目のタイムを更新することは極めて困難な状態となった。
よって、本山の今季初ポールポジション獲得が事実上決定。水しぶきをあげながら通過するマシンの中で、速さを見せたのはリチャード・ライアンや平中、そしてロニー・クインタレッリら。とりわけクインタレッリは滑るマシンをスムーズにコントロールさせながら、確実にペースアップ。ついに終盤にはトップタイムを叩き出し、そのまま予選終了となった。
ドライ、ウェットともスピードと安定感を確保する平中に対し、ライアンやクインタレッリのふたりは、ドライコンディションで苦汁をなめていた。“天候次第”という不確定要素が、決勝の行方を握るのでは……。そんな予感がする予選内容だった。

■オープニングラップでセーフティカーが

本降りの雨で迎えた決勝レース。ウォータースクリーンに包まれたマシンの中から、絶好のスタートを成功させたのは井出有治。フロントローの本山、平中は出遅れる。
その後方では、雨を得意とするアンドレ・ロッテラーが後続車を警戒してラインを変更。だが、マシンが接触したため、態勢を崩してスピン。前回、雨の中で優勝をさらったブノワ・トレルイエを巻き添えにしながらストレートエンドのガードレールに突っ込んだ。これでセーフティカーがコースイン、3周後にレースは再開した。

逃げる井出、追う本山に続いたのは、混乱のスタートをすり抜けた小暮卓史。4番手に後退した平中は懸命に小暮をプッシュするが、トップ3台のペースが速く、差が詰まらない。膠着した状態が続く中、折り返しを過ぎてトップの井出がピットイン。これを機に、レースの流れが少しずつうねりを見せ始めた。

■ピットインから始まった激しい攻防戦の行方は……

井出のピットインは予定外のもの。左リアタイヤをスローパンクチャーさせたため、4本すべてを交換。あわせて給油を行ない、19秒でピットを後にした。これで本山がトップに立ち、小暮との差も20秒を超え、もはや安泰かと思われたのだが、ピットとの通信で給油が必要と判明。さらにペースアップし、後方とのマージン拡大に努めた。

残り10周の時点で本山がピットイン。2位との差は26.2秒。マシンがストップし、再び動き出すまでの時間はわずか4.5秒あまり。実質3秒程度の給油作業で加えたガソリンの量はおよそ6リッター。トップのままレース復帰を狙ったが、ピットロード出口を通過、1コーナーへのアプローチへと差し掛かる前に、小暮がこれをかすめていった。

■2度目のセーフティカーにより、最後はスプリントレースに

ところがこの直前、後方のマシンが最終コーナーでスピン。破損パーツを落としてストレートを通過した。さらに、タイヤ交換後、怒涛の追い上げを見せて4位に浮上していた井出がシケインで前車・平中に追突。ダメージが少なかった井出はそのまま最終コーナーを通過したが、平中は運悪くエンジンストップ。このストレートとシケインでのアクシデントにより、またもセーフティカーがコースインした。

態勢を整えるために時間を要し、残り5周を前にセーフティカーのライトが消滅。決戦の勝敗はスプリントレースに委ねられることとなった。と同時に、井出は10秒ピットストップのペナルティを取られ、ライバルたちが爆音とともに1コーナーへと消えていく中、自らはピットイン。事実上、トップ争いから脱落した。

■小暮のミスをつき、本山が執念の逆転に成功

セーフティカー導入で、接近戦となったトップ争いは、逃げる小暮に背後から本山がプレッシャーをかけ続けた。小暮は自己ベストタイムを出しながら懸命に走ったが、セミファイナルラップのデグナーでフロントタイヤをロックさせる痛恨のミス。本山がたたみかけるように小暮をかわし、再びトップを奪い取った。

こうなるとあとは本山の真骨頂。貫禄ある走りで小暮をシャットアウト、今季2度目となる優勝を果たした。小暮は今季最高位の2位を獲得、3位にはライアンが入った。序盤、ライアンは中位グループに甘んじていたが、レース離脱者が続出する中で粘り強く、また後方からの攻撃を封じ込んで上位へ浮上。井出の後退も加勢し、貴重な3位獲得となった。

これまで異なるウィナーが名乗りを上げていたが、シーズン2度目の鈴鹿で本山が2勝目を達成。折り返し戦で頭ひとつ抜け出した。次の舞台となる美祢は、もともと外国人ドライバーが好むコースでもあるが、本山が得意とする場所でもある。荒れるレースとしても知られる美祢の決戦は、後半戦のターニングポイントとなるだろう。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)


優勝した本山の走り。


スタートでアウト側を走っていたアンドレ・ロッテラーがイン側に切り込み松田次生と接触。マシンはコントロールを失いブノワ・トレルイエに激突、ロッテラーとトレルイエの2台は接触したままコースを外れガードレールに激突した。このアクシデントによりペースカーが導入された。


ルーキーながら初めて表彰台圏内を走行していた平中克幸に、序盤トップを独走し給油などピット作業で後退した井出有治がシケインで仕掛ける。が、両車は接触し平中はエンジンストールしリタイア、井出は10秒ストップのペナルティを受けポイント圏外でのゴールとなった。


前戦富士でKONDO RACINGからスポット参戦し、ルーキーながらチームに今季初ポイントをプレゼント、第5戦鈴鹿からは正式にチームに加わったロニー・クインタレッリ。予選2回目のウエットセッションではトップタイムを記録した。

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