【スペック】全長×全幅×全高=4890(テスト車4965)×1940×テスト車1860(テスト車1890)mm/ホイールベース=2850mm/車重=2370(テスト車2440)kg/駆動方式=エンジン縦置きフルタイム4WD/4.7リッターV8 DOHC32バルブ(235ps/4800rpm、43.0mkg/3600rpm)/価格=445万2000円(テスト車=549万3600円)

トヨタ ランドクルーザー 100 ワゴン VXリミテッド(5AT)【ブリーフテスト】

トヨタ ランドクルーザー 100 ワゴン VXリミテッド(5AT) 2005.06.08 試乗記 ……549万3600円総合評価……★★★世界中で人気を誇る、トヨタの本格クロカン「ランドクルーザー」。マイナーチェンジした最新モデルの乗り味やいかに?
別冊CG編集室の道田宣和

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独り我が道を行く

“砂漠のクラウン”あるいは“もうひとつのクラウン”、 かつてこのクルマの前身である「ランドクルーザー80」がデビューした時、『CAR GRAPHIC』や筆者自身が大いなる尊敬といくばくかの皮肉を込めて贈った言葉だ。今ならさしずめ“砂漠のセルシオ”と言い換えるべきか? 武骨なクロスカントリー系4WDには不釣り合いなほど充実した装備と徹底してコンフォート志向のセッティングに感嘆の声を上げつつ、まさにそれ故の違和感を覚えてのことだった。
そのランドクルーザー(現在は“100”に移行している)がマイナーチェンジしたのを機に久々にステアリングを握った。結論から言えば、今や一転してヨーロピアンテイストに宗旨替えしたクラウンと対照的に、あくまで従来路線を貫き、個々の熟成はあっても全体としてはその延長線上にあることが確認された。目を世界に転じると、ことの是非は措くとして、このジャンルでは後発の「BMW X5」や「ポルシェ・カイエン」がオンロードでのハンドリング面を中心に新たな地平を拓いていることと、方向性そのものが異なるのだ。逆に独り我が道を行く、そんなところが中東あたりで絶大な人気を得ている理由なのかもしれない。

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
トヨタのみならず日本のクロカン四駆(SUVでは響きが軽すぎる)を代表し、その頂点に立つのがこのクルマ。同じランドクルーザーでも弟分「プラド」とは別格の“陸の王者”である。近頃の軟弱なSUVと違って、本格的なラダーフレームを有し(単に高負荷に耐えるだけでなく、上屋のボディバリエーションを容易に作れる)、220mmのロードクリアランスを確保。車種によりリアLSD(リミテッド・スリップ・デフ)が付加されるフルタイム4WDはむろんのこと、長大なサスペンションストロークやAHC(アクティブ・ハイト・コントロール)と呼ばれる車高調整装置等々を与え、悪路走破性を高めている。AHCとセットオプションの“スカイフックTEMS”可変ダンパーは主としてオンロードでの走行を充実させるのが目的だ。
全長×全幅×全高=4890×1940×1860mm、車重2370kgの堂々たるサイズで、いまやアメリカではレクサス店から高級SUVとしても販売されている「ランクル100」。当然それなりのパワーが要求されるため、DOHCガソリンV8を搭載する「ワゴン」にはセルシオのそれを上まわる4.7リッターの排気量が与えられ、ややトルク重視型に振った結果、235ps/4800rpmのパワーと43.0mkg/3600rpmのトルクを発生するに至った。ちなみに、商用車登録の「バン」には196ps/3200rpm、44.0mkg/1200〜3200rpmのディーゼル直6SOHCターボが積まれる。
(グレード概要)
「砂漠のクラウン」は価格の点でも横綱級で、シリーズ最廉価のワゴンVXでも403万2000円する。というよりグレードの数そのものが少なく、かつその価格差が小さいのだが。車種はワゴンVX、VXリミテッド(445万2000円)、同Gセレクション(495万6000円)、バンVXリミテッド(443万1000円)、同Gセレクション(493万5000円)の5種。ギアボックスはいずれも5ATのみが組み合わされる。中核となるグレードはVXリミテッドで、VXはリミテッドからリアLSD等を省略したもの、逆にGセレクションはAHCや電動ムーンルーフ等を標準装備としたものだ。



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写真をクリックするとシートアレンジの倒れる様が見られます。

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【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
基本設計が変わっていないだけに、豪華で盛り沢山な装備を持ちながらどこか古典的な懐かしさが漂う。たとえば、メーターは自発光指針式のオプティトロン、オーディオはステアリングスイッチ付きと充分に現代風だが、その一方でAHCやTEMSのコントロールは小さくやや遠くて一瞥性や操作性に多少の難があった。今ならさしずめCCDカメラで代用しそうなバンパー直前/フロントサイドの確認は、ボンネットに屹立した物理的なミラーに依っている。
(前席)……★★★★
さすがに外寸幅が2m近くある恩恵で居住空間は余裕たっぷりだ。ATセレクターのほかにそれと同じくらい立派なトランスファー(副変速機)レバーが生えるセンターコンソールは巨大だが、それでも腰回りのスペースは充分である。現代のクルマとしては傾斜が緩いウィンドシールドのなせるわざか、胸元や頭上のゆとりが乗り手をホッとした気分にしてくれる。これと同程度かもしくはさらに幅の広いアメリカ車の場合、スペース効率が悪くてもっとずっと狭いのが通例だから、現地でも好評をもって迎えられるはずだ。
(2列目)……★★★★★
「乗せられる」ならここが一番だ。なにしろ、前席以上の広さと静かさと快適さなのだから。ウェストラインが低く、昔の家屋のように高い天井と相俟って開放感は抜群だし、乗り心地や静粛性も前席を凌ぐほど。おまけにフロアが真っ平らで気持ちがいい。着座位置は高めだが、大きく開くドアと本格的なステップやアシストグリップの存在が助けとなり、またAHCによるアクセスモード(フロントが50mm、リアが40mm低くなる)もあるから乗降性は案外悪くない。
(3列目)……★★★
定員はこの席を含めて8人乗り。つまり、サードシートとしては異例の3人掛けというわけだ。しかも、チップアップばかりか完全デタッチャブル(リムーバブル)である。これにもリクライニングが備わるが、さすがに中央席のベルトはない。スペースそのものもこの手のエクストラシートとしてはまずまず。とまあ、一見いいことずくめのようだが、実際には前席や床との間隔が狭く、真に寛ろげるというには程遠い。
(荷室)……★★★★
3列のシートをそのままにした、8人乗りでのトランクは奥行きが少なく、1リッタークラスのハッチバックにも及ばない。ところが、サードシートを取り外すだけでもかなりのものだが、セカンドシートまで畳んだときの収容力たるや実に驚くべきものがある。なにしろ例外的な幅の広さと天井の高さだから、パネルバンも顔負けだ。フロアも文字通りのフラットで使いやすく、上下2分割式のテールゲートも便利である。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
さすがはセルシオ譲りのV8というべきか、静かなことこのうえない。パワーも充分なのはメーター読みの100km/hが“Dレンジ(5速)”でわずか1900rpmと、レブリミット5200rpmの3割強しか回っていないことでも分かる。恐らく世界で最も粛々と走る4WDの1台に違いない。
エンジンもさることながら、予想外だったのはウィンドノイズやロードノイズも、よくできた乗用車並みに抑えられていることである。したがって、高速巡航は得意科目のひとつで、その気になればへたなスポーティカーを凌ぐほどのペースで走ることができる。
ただし、問題はやはり巨体なりの燃費。東京を起点に、中央高速と東名を使って冨士山の西麓まで足を延ばしたこの日は、トータル303kmの走行で58.87リッターのプレミアムガソリンを消費。平均5.1km/リッターに終わった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
ロック・トゥ・ロック3.3回転、リム外径390φのステアリングホイールは軽いことは軽いものの、ダルでスローでいささか旧態依然としている。TEMSは“コンフォート”が2ポジション、 “スポーツ”が2ポジションの計4ポジション用意されているが、惜しいことに端的に言っていずれも「帯タスキ」の感が免れない。前者だと乗り心地はソフトで一見安楽そうだが、すくなくとも運転する身にとっては特に高速でリアアクスルを軸としたノーズの上下動が気にならざるを得ず、上述の雲を掴むようなステアリングにも災いされて速いペースに見合う十全な自信が得られない。一旦ヨーが出始めるとマスが大きいだけに、振幅が拡大しそうな気配がなくもない。オプションでVSC(動的車両安定装置)が付いているとはいえ、それ以前の問題として「気持ち悪い」のは事実である。
一方、スポーツモードにすると、低速では途端にゴツゴツとしたハーシュ(荒さ)が顕在化し、ときにはボディの微かなビビリが看守されることもある。コンフォートとスポーツの間には“ノーマル”に相当するポジションがなく、結構ギャップが明確なのだ。ついでに言えば、ブレーキは全輪ベンチレーテッドディスクだが、約2.5トンにもなる車重は重荷らしく、ワインディングロードを飛ばすとフェードの兆しが認められた。望むだけのパワーを手に入れた今、次なる課題はそれにマッチした足回りの開発が急務となろう。すくなくとも現代のラクシュリー4WDを目指すかぎりは。

(写真=峰 昌宏)

【テストデータ】

報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2005年5月26日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:822km
タイヤ:(前)275/65R17 114S(後)同じ(ダンロップAT2)
オプション装備:AHC(アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンション)&スカイフックTEMS(27万8250円)/VSCアクティブTRCシステム(5万2500円)/SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)&SRSカーテンシールドエアバッグ(8万9250円)/電動格納式メッキドアミラー(レインクリアリング・ヒーテッド機能付き)&メッキアウトサイドハンドル(2万1000円)/フロントバンパープロテクター&ルーフレール(7万3500円)/本革巻き+本木目4本スポークステアリングホイール&本革巻き+本木目シフトノブ(5万2500円)/クールボックス(6万8250円)/ランドクルーザー・スーパーライブサウンドシステム(G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きEMV+音声ガイダンス機能付きカラーバックガイドモニター+MDプレーヤー一体AM/FMマルチ電子チューナーラジオ+マルチCDオートチェンジャー+電話用ショートポール式アンテナ+TV/FMダイバシティガラスアンテナ+ステアリングスイッチ(ハンズフリー)+7スピーカー(40万6350円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:303.0km
使用燃料:58.9リッター
参考燃費:5.1km/リッター

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