【スーパーGT 2005】 GT特別講座その1「スーパーGTってどんなレース?」

2005.06.04 自動車ニュース

【スーパーGT 2005】 GT特別講座その1「スーパーGTってどんなレース?」

昨2004年まで11年にわたり全日本GT選手権(JGTC)と呼ばれていた日本国内最高峰のグランド・ツーリングカーレースは、2005年から「スーパーGTシリーズ」と改名した。
国内モータースポーツ界ではフォーミュラ・ニッポンを上回る人気のGTレース、そもそもどんなレースなのか? モータースポーツライター、島村元子“講師”がわかりやすく解説する。いまさら聞けないあんなことが、ここで明らかに……。

■GTはわかりやすい〜前口上〜

世界ではF1を頂点としたフォーミュラカー・レースが盛んだが、日本ではGTの方に人気が集中している感がある。その理由のひとつに、多種多様な、“目に馴染みのある”マシンが参戦している点があげられる。

F1でも各チームがオリジナルのシャシー(車体)を開発しているが、正直、ひと目見てどれがどのチームのマシンなのか、見分けることは容易ではない。
もちろんカラーリングが異なり、かつ大小の差異は散見される。しかし、例えば昨今のF1では、レギュレーションによりマシンのカタチが厳密に規定されているため、乱暴な言い方をすれば、素人目にはどれも同じに見えてしまうのだ。
加えて、フォーミュラカー自体にはサーキットでしかお目にかかれないため、フォーミュラはとっつきにくいということもあるだろう。

これに比べると、「スーパーGT」に参戦するGTカーは、見かけこそ派手だが基本は街なかで見かける“ハコ車”、つまり各マシンの違いも一目瞭然で、極めてわかりやすい。
メーカー同士が激しい競争を繰り広げながら勝利を目指し、結果として市販車の販売やイメージアップを図りたいのだから、より個性的なマシンが登場しやすい環境にもある。

ここでは、その「スーパーGT」を、もうすこし詳しく解説していきたい。

■「GT500クラス」「GT300クラス」ってナニ?

「GT500クラス優勝は……」「GT300クラスのポールシッターは……」
GTのレースリポートで必ず目にする「500クラス」「300クラス」とは何か?

500と300の違いは、出場するマシンのエンジンパワーにある。およそ500psのエンジンを持つマシンはGT500クラス、300psであればGT300クラスに所属する、というわけだ。

GT500クラスには、「トヨタ・スープラ」「日産フェアレディZ」、そして「ホンダNSX」といった、各社のスポーツカーが名を連ねる。これらマシンは、いわゆるワークスという自動車メーカー直結のチームやその支援を受ける有力チームにより仕立てられ、サーキットで最速を目指す。

このほか、「ランボルギーニ・ムルシエラゴ」や「マクラーレンF1 GTR」などという、めったにお目にかかれないような究極のロードゴーイングカーなども参戦中だ。

一方、大半がプライベーターとなるGT300クラスには、「トヨタ・セリカ」「同MR-S」「スバル・インプレッサ」「マツダ・RX-7」「日産フェアレディZ」「ホンダNSX」などの国産車に加え、世界の耐久レースでお馴染みの「ポルシェ911GT3R」や「968」、さらに「フェラーリ360モデナ」などの外国車が勢揃い。
また300クラスでは、独自の視点から開発、製造されたGTカーも出走。自動車用品店として知られるオートバックスに属するオートバックススポーツカー研究所(ASL)がリリースする「ASLガライヤ」、コンストラクターの東京R&Dが設計し、イギリス・ヴィーマック社が製造した「ヴィーマックRD350R」など、個性豊かな容姿を披露している。

■「Z」と「NSX」の「500」と「300」、どこが違う?

ところで、ZとNSXは、なぜGT500とGT300の両クラスに参戦できるのか。なぜ同じシャシーが異なるクラスに存在できるのか?

答えは単純明快、“馬力に差”があるからだ。でも同じマシンなら馬力も一緒なのでは? とさらなる疑問がわくが、これについてはスーパーGTの規則の一部を紹介しなければならない。

GTカーは市販車をベースにしたレーシングマシンであり、当然、特別な改造がなされているのだが、各クラスの規定に合わせたマシンを用意すれば、同じ車両でも両クラスに参戦が可能なのだ。

エンジンは、同じメーカーであれば異なる車種に搭載されているものを積めるし、エンジンを縦置きにすることも、位置を変更することもできる。
チューニングやエアロパーツを使ったドレスアップなどで、“スワッピング”という言葉を耳にしたことがあると思うが、スーパーGTでは、エンジンをスワッピングするというわけ。

例えば、フェアレディZの場合、GT300は市販車と同様のV6 NAエンジンだが、GT500はV6ツインターボエンジンを搭載。NSXでもGT500だけがツインターボエンジンを採用している。早い話、ルックスは市販車の流れを汲みながら、中身は生粋のレーシングカーなのである。

今回の講義はこれにて終了。次回は、スーパーGTのマシンがどのようなレースを繰り広げているのかについて触れたい。

(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)





海外でも開催される日本のGTシリーズ。F1も行われるマレーシア・セパンはお馴染みのヴェニューだ。(写真=トヨタ自動車)




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