【スペック】全長×全幅×全高=4830×1855×1375mm/ホイールベース=2780mm/車重=1740kg/駆動方式=FR/4.4リッターV8DOHC32バルブ(333ps/6100rpm、45.9kgm/3600rpm)/車両本体価格=1039.5万円(テスト車=1047.9万円)

BMW645Ci(6AT)【ブリーフテスト】

BMW645Ci(6AT) 2004.04.03 試乗記 ……1047.9万円総合評価……★★★★★かつての「6」の文句ない流麗さを知るヒトには、いまひとつピンとこない(かもしれない)新型6シリーズ。独特の存在感があるBMWのニュークーペに、『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。


エグゼクティブの呪縛

万人が「カッコいい」と即答できないスタイル。誰もが「使いやすい」とは歓迎できない操作系。しかし否定的な発言をすると、エグゼクティブとしての資質が問われかねない、ウムを言わさぬ先進性。
ステアリングホイールを握れば、満載したハイテックを意識することなく、ドライブフィールから溢れでる高級感を楽しめる。コンピューター時代の、現代のビジネスマンの、二枚目の贅沢さを体現したハイエンドパーソナルカー。休暇中も仕事を忘れないアナタへ。



【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
2003年のフランクフルトショーでデビューした大型クーペ。クリス・バングルのディレクションのもとデザインされたスタイリングが斬新。ボディは、「アルミ」「スティール」「樹脂」を混在させた「インテリジェント・ライトウェイト・テクノロジー」を採用。車重の増加を最小限に抑えた。
エンジンは、当面、4.4リッターV8のみ。吸排気両バルブを可変化した「ダブルVANOS」を搭載。シリンダーへの混合気流入量を、バルブ開度でコントロールするバルブトロニックエンジンである。トランスミッションは、6AT、2ペダルMTたる「6段SMG」、コンベンショナルな6MTが用意されるが、最後の仕様は日本には入らない。
2004年のデトロイトショーで、コンバーチブルモデルが加わった。
(グレード概要)
6シリーズの日本への導入は、クーペが03年10月25日から先行予約開始、カブリオレは翌04年2月1日に発売された。いずれも、左/右ハンドルを選べる。ハイエンドクーペだけに、日本仕様は素のままでフル装備に近い。「ランフラットタイヤ」「大型ガラスサンルーフ」「パークディスタンスコントロール」「DVDナビゲーションシステム」「6連奏CDチェンジャー」などを標準で備える。夜間、カーブでも進行方向を照らす「アダプティブヘッドライト」ほか、現代のエクスクルーシブカーらしく「ノンスモーカーパッケージ」もオプションリストに載る。

5シリーズ同様、iDriveの下に「MENU」ボタンが設置され、機能のどの階層からも、つまりディレクトリーの深度を問わず、最初の画面(MENU)に戻れるようになった。





【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★
幾多の機能を、どうやってすっきりとしたインターフェースにまとめるかを追求した、いかにも21世紀のエクスクルーシブカー。追求しすぎた感のある7シリーズと比較して、後発の5/6シリーズは適度にこなれ、20世紀人にも使いやすい。東西南北、4方向にメニューが単純化されたiDriveを軸に、それぞれのファンクションを深化させる。一方でオーディオの音量、エアコンの温度、風量など、頻繁に使う機能はスイッチ、ボタン類として残された。
電子立国ニッポンのユーザーとして不満なのは、上下に狭いディスプレイ。ナビゲーションシステムの「初心者に対する優しさ」の面にも、あと一歩の感があるが、iDriveは、ソフトウェアによるアップデートの柔軟性も高そうだから、今後の進化に期待したい。
(前席)……★★★★
左右とも8wayのパワーシート。加えて、腰の後ろを押すランバーサポートの「出っ張り度合い」「上下」の位置も調整できる。運転席側は、3つのポジションをメモリーできる。絶対的なホールド性はほどほどながら、ガッシリしたつくりのシート。適度なクッションをもち、乗員の体がしんなり収まる。座り心地よく、快適。低い着座位置がスポーティ。
トンネルコンソールにある肘置きは、携帯電話置きと小物入れの二重底になっている。
(後席)……★★
シートクッションをやや凹ませ、頭上空間を稼ぐ。大柄なボディゆえ、「シボレー・カマロ」や「クーペ・フィアット」よりははるかに使えるリアシート。もちろん、パーソナルクーペの後席としては、だが。走行中は、あたかもオシリの下でタイヤが上下しているようで、落ち着かない。
(荷室)……★★★
ニュー6シリーズのスタイルを特徴づける視覚的に独立したトランクリッド。リアエンドは、鬼才クリス・バングルが、フランク・ロイドの建築「落水荘」からヒントを得たという、7シリーズと同じモチーフを採る。
床面最大幅125cm、奥行き100cm、高さ50cm。VDA法で450リッターというのは、車両寸法からすると物足りないが、2人の旅行用に間に合えば、ということなのだろう。




645Ciは、クルマ各部の素材を使い分けて軽量化を図った。構造部フロントがアルミ、キャビンから後ろがスティール。サスペンション類はアルミ、トランクリッド、フロントフェンダーが樹脂である。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
4.4リッターV8は、スムーズでトルキー。巡航時、スロットルペダルの上に足を軽く載せているだけで、微かな存在感を漂わせ、そして秘めたるパワーを感じさせ、ドライバーに「駆けぬける歓び」を与え続ける。もちろん、右足に力を入れれば、1.7トンのウェイトを軽々と躍らせる。
6スピードのトランスミッションは、スムーズ至極。クーペボディを優雅に走らせる。ステップトロニックを備えども、シーケンシャルシフトを使う必要を感じさせない、シフトプログラムのよさが印象的。
さらにシフター手前の「SPORT」ボタンを押せば、にわかにエンジン音高まり、スロットルレスポンス向上し、ステアリングのパワーアシストが控えめになる。つまり、手応えがシッカリする。「DDC(ドライビング・ダイナミック・コントロール)」の霊験あらたか。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
重量感ある落ち着きと、滑らかな乗り心地を絶妙にミックスした645Ci。しまった足まわりをもつが、路面からの入力は頑強なボディで受け止め跳ね返す、典型的なジャーマンライド。速度を上げるほどフラット感は増すが、立ちはだかるのは法の壁。
速度に応じて前輪の切れ角を変える可変式ステアリングギア「アクティブ・ステアリング」は、初めて道の脇のパーキングロットにクルマを寄せるときや、車庫入れ/出し時に、思いのほかハンドルが切れて「オッ!」とオドロクが、たちまち慣れる。ハンドルの重さは、低速時でも不自然なほど軽くなることはない。6シリーズのステアリングホイールフィールは、総じて「可変化による不自然さ」というテーマそのものを頭に浮かべることがない、質の高いものだ。コーナリング時にロールを抑える「ダイナミック・ドライブ」を標準で装備する。

(写真=林渓泉/2004年4月)

【テストデータ】

報告者:webCG青木禎之
テスト日:2004年1月16日−19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2414km
タイヤ:(前)245/45R18 96W(後)275/40R18 99W(いずれもブリヂストン ポテンザ RE050A)
オプション装備:アダプティブ・ヘッド・ライト(8.4万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(3):山岳路(1)
テスト距離:809km
使用燃料:116.7リッター
参考燃費:6.9km/リッター

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

6シリーズ クーペの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • BMW 440iクーペ Mスポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2016.8.23 試乗記 BMWがスペシャリティーモデル「4シリーズ」のエンジンラインナップを一新。各モデルに、モジュラー設計の新世代パワーユニットを採用した。最もパワフルな3リッター直6ターボが搭載された「440iクーペ」に試乗し、その実力を報告する。
  • 「BMW M2クーペ」に6段MT仕様が登場 2016.10.25 自動車ニュース BMWが3リッター直6ターボエンジンを搭載した高性能スポーツクーペ「M2クーペ」に6段MT仕様を設定し、予約受け付けを開始した。価格は7段デュアルクラッチAT仕様より25万円低い768万円。納車については2017年1月からの予定となっている。
  • BMW M2クーペ(FR/7AT)【試乗記】 2016.6.10 試乗記 最もコンパクトなBMW Mモデルとなる「M2クーペ」に試乗。その引き締まったボディーと、3リッターの直6ターボエンジンが織り成す走りは、われわれがBMWと聞いて期待するスポーティーさにあふれていた。
  • BMW、「120i」と「220iクーペ」に新世代エンジンを搭載NEW 2016.11.30 自動車ニュース BMWジャパンは2016年11月30日、「BMW 120i」と「BMW 220iクーペ」に新エンジンを搭載し、販売を開始した。今回、搭載された2リッター直4ガソリンターボエンジンは、最高出力184ps/5000rpm、最大トルク27.5kgm/1350-4600rpmを発生する。
  • 独BMW、7代目となる新型「5シリーズ」を発表 2016.10.19 自動車ニュース 独BMWが、7代目となる新型「5シリーズ」の概要を発表した。ボディーはアルミや高張力鋼板の多用により約100kgの軽量化を実現。ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、プラグインハイブリッドと、豊富にそろえられたパワーユニットも特徴となっている。
ホームへ戻る