リリース間近、日産の先進技術を目のあたりにする(後編:四輪アクティブステア、VCRピストンクランクシステム)

2005.04.23 自動車ニュース

リリース間近、日産の先進技術を目のあたりにする(後編:四輪アクティブステア、VCRピストンクランクシステム)

市販間近といわれる先行開発技術を見学するために、日産の追浜総合研究所を訪ねた『webCG』記者。リポートの2回目は、特に運転が好きなドライバー必見の、走行/動力性能技術を2つ紹介する。

■危険回避と運転しやすさ 〜 四輪アクティブステア&可変ステアリングギア

「フーガ」にも採用されたリアアクティブステアを改良したのが四輪アクティブステア。すなわち、車速に応じて前後輪の舵角を制御する技術である。
日産には「HICAS」という四輪操舵技術があったが、これとは違い、後輪が逆位相に動くことはない。前輪は方向転換、後輪は高速安定性という役割を持ち、基本的に同位相に動く。

さらに可変ステアリングギアも組み合わせられるのが特徴。低速ではクイックに切れるステアリングがハンドル操作の負荷を低減、安定性確保のため高速ではスローになるというものだ。
この二つの技術により、高速道路での緊急危険回避や、駐車時の取りまわしのしやすさなどを両立したという。

「ステアリングをちょっと切るだけでもアシストがわかる。パイロンの緊急回避では修正舵が明らかに少なく、低速のUターンは通常よりハンドル操作が楽」とコメントするのは、同行した『NAVI』の青木副編集長。

■省燃費で高出力 〜 VCRピストンクランクシステム

クルマの心臓、エンジンの技術がVCRピストンクランクシステムだ。
簡単に言うと、エンジンの圧縮比を可変とすることができる仕組み。通常、圧縮比は高いほど熱効率がよくなり、燃費・出力が向上する。しかし高圧縮にすると、高負荷時にノッキングが起こりやすくなるという危険があるため、通常はある程度のマージンを取って低くしてあるという。

VCRピストンクランクシステムでは、ピストン上死点の位置をリアルタイムに変動させることで、理想とされる「高負荷時に低圧縮」「低負荷時に高圧縮」に近づけることができるという。すなわち、省燃費・高出力という相反する性能を兼ね備えることができるわけだ。

さらに、ピストンの動きが理想的なサインカーブになることで、上下動が落ち着きフリクションが減少。二次バランサーがいらなくなるなど、低振動化することもメリットの一つである。実験中の4気筒エンジンでは、V6エンジンに迫る振動レベルを見せている。
過去に他社も可変圧縮比エンジンを開発研究したが、振動低減までを考慮したものはなかったという。

構成部品の点数が増えることで重量増は避けられないが、出力の向上などでトータルな性能としては十分おつりがくるとのことだ。

燃費向上は、スポーティカーだけでなく、ファミリーカーにも有効な技術。実用化は4年後ぐらいといわれており、次期モデルへの採用に期待がかかる。

■クルマの電気化だけじゃない

日産は、2015年までの20年間で、日産車が関わる事故の死亡・重傷者の数を半減し、実質ゼロをゴールとする「ビジョンゼロ」という計画を掲げている。

今後も安全技術を中心に、環境やITSなどさまざまなテクノロジーが現れるに違いない。そんな技術の中で、リポーターが一番興味を持ったのが、VCRピストンクランクシステムだった。性能の魅力ももちろんだが、「電子制御」全盛の時代に、この技術が“機械”であることに好意を持ったのだ。
無論コンピュータ制御は入るが、文字通りメカニカルな動きを目の当たりにして、「クルマの電気化」とは違う路線の研究になぜか安心した。
進化しすぎると、昔が懐かしくなる……わけではないが、ピュアな“クルマ”としての機能ももっともっと磨いて欲しいと思うからだ。

(文=webCG本諏訪裕幸/写真=高橋信宏)

・【前編】:燃料電池、ハイブリッド、カメラシステム
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000016623.html

リリース間近、日産の先進技術を目のあたりにする(後編:四輪アクティブステア、VCRピストンクランクシステム)の画像

試乗車は、四輪アクティブステアを搭載した「スカイライン」。

試乗車は、四輪アクティブステアを搭載した「スカイライン」。

右奥側が従来部品、左がマルチリンク式の部品。コネクティングロッドの形が大きく違うことに注目。

右奥側が従来部品、左がマルチリンク式の部品。コネクティングロッドの形が大きく違うことに注目。



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