【WRC 2005】チーム・クローズアップ「今季で撤退する王者、シトロエン」

2005.04.21 自動車ニュース

【WRC 2005】チーム・クローズアップ「今季で撤退する王者、シトロエン」

2005年の世界ラリー選手権(WRC)には6メーカーが参戦。いずれもワークスチームを組織し、厳しいラリーシーンで技術競争を展開している。
ドライバーの顔ぶれ、マシンの特徴を追いながら、各チームの体制をクローズアップするこの企画、スバルに次ぐ第2弾は、2003年にマニュファクチャラーズ、そして、昨2004年はマニュファクチャラーズとともにドライバーズタイトルをも獲得した「シトロエン・トタル」について。

■2005年を最後に徹底する老舗メイクス

現在のラリーシーンにおいてトップに君臨するシトロエン。その参戦の歴史は1934年、名車「トラクシオン・アヴァン」でスタートし、以降も数々のラリーで活動を続けてきた。

WRCへ本格参戦を始めたのは2001年からと比較的歴史は浅いのだが、早々に03年マニュファクチャラーズタイトルを獲得し、昨年はマニュファクチャラー部門とともに、エースのセバスチャン・ロウブが6勝を挙げてドライバーズ部門をも制覇した。

まさに、WRCにおいては異例のスピードで世界の頂点にのぼりつめたシトロエンだが、昨年のシリーズ終了後、それまで噂されていた撤退を発表する。
参戦コストの増加、自社ブランドの販売地域外でのラウンドが増えたことにより、同じPSAグループのプジョーとともに、05年のシーズンをもってWRCから退くこととなった。

つまり、今年のWRCはシトロエンにとって長年のラリー活動を締めくくる重要なシーズンで、有終の美を飾るためにもタイトルの連覇が必須となっている。

■王者ロウブと若手デュバルの最強コンビ

今年のチーム体制だが、長年チームを率いてきたジャン・クラウド・ボカールが今年2月に定年退職を迎えたため、現在はガイ・フリケリンがチームを率先している。
そして、ステアリングを握るのは、シトロエンで英才教育を受けてきたセバスチャン・ロウブ(フランス)と24歳の若手ドライバー、フランソワ・デュバル(ベルギー)だ。

95年にラリーを始めたロウブは、98年にサクソ・キットカー・トロフィーに参戦。以来、シトロエンのサポートを受けながら、フランス選手権やスーパー1600選手権で活躍し、01年からはワークスドライバーとしてWRCに参戦している。

そして、昨年は念願のドライバーズタイトルを獲得。今季も開幕戦モナコ、第4戦ニュージーランドを制覇している。抜群のスピードと抑えるべきところは抑える……というクレバーな走りが特徴で、安定感に関してはNo.1と言えるだろう。

一方、チームメイトのデュバルも無視できない逸材だ。ラリー経験はわずか6年に過ぎないが、00年のベルギー選手権や01年以降スーパー1600シリーズで活躍。03年からはフォードのワークスとしてWRCに参戦し、昨年はランキング6位に食い込んでいる。

05年、フォードから提案された4年契約を断り、今季限りで撤退するシトロエンに移籍、まさにデュバルにとっても今年は勝負の年だ。まだまだ荒削りな部分はあるものの、第4戦ニュージーランドで4位に入るなど、充分なパフォーマンスを持つ。チームにとっては頼もしいセカンドドライバーとなりそうだ。

■進化の止まったクサラWRC

このように王者ロウブ、若手デュバルの最強コンビで05年のシリーズに挑むシトロエンは、マシンにおいてもニューモデル「C4」を投入する予定だった。
が、WRCからの徹底が決まったことで後継車の開発をストップし、今季も引き続き「クサラWRC」で参戦している。

同モデルは98年に開発されたF2マシンがベースで、00年に「クサラT4」としてフランス選手権に登場。01年に「クサラWRC」として世界選手権にデビューした。

横置きトランスミッションの極めてオーソドックスなマシンとなっているものの、パドルシフトやリアスポイラーフィンを採用するなどトレンドを取り入れながら進化。その完成度は抜群で今季のモナコでロウブが3連覇を果たすなどターマックでは安定した速さを発揮している。

とはいえ、第2戦スウェディッシュではエンジン、第3戦メキシコではサスペンションにトラブルが発生するなどここにきて不安要素も……。
第4戦ニュージーランドでは進化したミシュランタイヤに助けられたものの、ライバル陣営がトレッドのワイド化やエクステリアの変更で空力性能を高めるなど開発を進めているだけに、進化の止まったクサラWRCで両ドライバーがどこまで踏み留まれるかが鍵を握ることになりそうだ。

(文&写真=廣本泉)


2004年に初タイトルを手に入れたフランス人、セバスチャン・ロウブ。1974年2月26日生まれの31歳。今年、ルマン24時間にもチャレンジする。


若手有望株のフランソワ・デュバルは、1980年11月18日生まれ、現在24歳のベルギー人ドライバーだ。

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