【スペック】120i:全長×全幅×全高=4240×1750×1430mm/ホイールベース=2660mm/車重=1390kg/駆動方式=FR/2リッター直4 DOHC16バルブ(150ps/6200rpm、20.4kgm/3600rpm)/価格=366万5000円

BMWウィンターエクスペリエンス2005【試乗記】

放っておくのはもったいない 2005.04.09 試乗記 BMW 120i(6AT)……366万5000円FRレイアウト以外つくらず、前後重量配分を50:50に採り、優れたハンドリングを個性の一つとするBMWが、長く雪に覆われる北海道は旭川で、雪上ドライビングイベントを開催した。


BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】
BMWドライビングトレーニングでチーフインストラクターを務める、こもだきよしさん。

BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】

クワトロに完敗?

FRレイアウトが基本、スポーティなハンドリングをもつBMW。一部4WDモデルもあるとはいえFFはつくらず、「MINI」は完全にブランドを分けるほど、徹底してFRにこだわっている。
販売も好調、2005年度は5万台超の販売台数を目指すBMWだが、全国的に売れているワケじゃなかった。“雪に弱い”とされるFRだけに、降雪地域はセールスがキビシイのである。たとえば、北海道での年間販売台数はたったの100台あまり。スポーティを標榜するプレミアムブランドのライバル、「クワトロ」こと4WDが武器のアウディに、大きく水をあけられているという。

その状況をなんとかしたい……ということで企画されたのが、今回の「BMWウィンターエクスペリエンス2005」。雪と氷に覆われた、北海道士別のブリヂストンテストコースで「1シリーズ」に乗り、“FRは雪に弱くない”ことを体験してもらおうという企画である。

トレーニングプログラムでは、BMW推奨のシートポジション、ステアリングホイールの回し方など、基礎から教えてくれる。

BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】
転倒するカメラマンが続出した、超ツルツル路面での発進。ブレーキをパっとリリースするだけでホイールスピンしてしまうほどの低ミュー路だが、FRでも発進・停止できる。むしろこうなると、4WDもへったくれもない。

BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】
DTCモードで走行中、リアが流れてDSCが復帰したときの図。右フロントにブレーキがかかっているのが、おわかりいただけるだろうか?

BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】

50:50と電子デバイス

イベント本番の前夜、雪上におけるFRのメリット、デメリットを解説する講義が、BMWドライビングレッスンで講師を務めるこもだきよし先生によって行われた。雪でもアスファルトでも、タイヤがグリップしていれば安定して走れるのは当然のこと。先生によれば、BMWは全車、エンジンをフロントミドにマウントするなどして、前後重量配分をほぼ50:50とするため、あらゆる状況でタイヤを有効に利用できるという。1シリーズの前後重量配分は、ややフロントが重いが、多くのFFは重量の6〜7割がフロントにかかるから、かなり性格は違うといえる。

これに加えて雪上で威力を発揮するのが、輸入車の多くが標準搭載する、いわゆるアクティブセーフティデバイスである。1シリーズは、アンダー&オーバーステアを防止する「DSC」(ダイナミックスタビリティコントロール)を装備し、常にクルマの挙動を監視。スロットル&4輪独立ブレーキ制御によって、ホイールスピンやアンダー&オーバーステアを防いでくれる。
ただし、氷のようなツルツル路面では、DSCが効き過ぎて発進すらままならないこともある。そんなときは、センターコンソール上のスイッチで、ある程度まで挙動の乱れを許す「DTC」(ダイナミックトラクションコントロール)モードに変更すればいい。

BMWらしいトコロが、スイッチを3秒以上長押しすると、ABS以外の制御をオフできることだ。クルマづくりの考え方の違いから、メルセデスベンツやトヨタなどは、基本的に完全オフすることはできないが、BMWは完全なドライバー任せを許してくれる。サーキットなど使える場所は限定される(というか公道で使っても、ウデ自慢にはならないでしょう)とはいえ、“駆けぬける歓び”を標榜するメーカーならではの特徴である。

雪上での安心感は、スタッドレスタイヤの進化によるところも大きい。BMWは、スタッドレスもランフラット「ブリヂストン ブリザック」シリーズを装着する。写真は、雪上で空気を抜いてのデモンストレーション中。

BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】
パンクしても、ちゃんと走る。タイヤがつぶれると雪上でホイールが回転せず、にっちもさっちもいかない。

BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】


BMWウィンターエクスペリエンス2005【短評】

巧みで嬉しいセッティング

頭に入れるだけで走れるなら、誰でもシューマッハやソルベルグ。理屈どおりにいくのかしら? と思いつつ乗ってみると、意外にも(?)結構走れてしまった。

最初に試した定常円旋回では、DSCをオンにしているかぎり、クルマの動きはステアリングホイールの動きどおり。限界に達すると「ゴゴッ……」と、自動的にブレーキをかける音が響き、クルマが元のラインに引き戻してくれるので、無茶をしないかぎりなにも起こらない。

DTCモードは、雪道に慣れたヒトや腕に覚えのあるドライバーには、かなり楽しいモードだと思った。DSCはちょっとしたアンダー、オーバーステアも修正するため、運転者の意図とズレも生じるし、動きはゆっくり歯がゆい。一方、DTCは一般的なドライバーが“ドリフト”を十分意識できる程度まで、クルマをダイナミックに走らせることができるし、「ヤバいかな!?」と思ったときには「ゴゴッ……」と、ちゃんと修正してくれるから安心。アクセルオフとステアリング操作でクルマの向きが自由に変わる、BMWのハンドリングをドライバーに感じさせながら最後は守ってくれる、巧みで嬉しいセッティングだ。

もちろん、これだけで「FRバンザイ!」なんて言うつもりはない。でも、「BMWに乗りたいなぁ……」と願っているのに、雪だけを理由に踏みとどまってしまうのは、ちょっともったいないと思う。ドイツにも雪は降り、路面はツルツルになるのに、FRだけを作り続けるメーカーがあるという事実も、“FRは雪に弱くない”ことを示すには十分、合理的な理由たりえるのではないだろうか。

(文=webCGオオサワ/写真=高橋信宏/2005年5月)


【DSCとDTC】
BMW1シリーズが登載するアンチスピンデバイス「DSC」は、低ミュー路面でどう働くのか? 実際の動きを、動画でご覧ください。DSCの場合は作動時の変化がわかりやすいように、意図的に無理なスロットル操作をしています。

【ミラーバーンにおける発進と停止と雪上パイロンスラローム】
定常円旋回に加えて用意されていた、ミラーバーンにおける発進と停止と雪上パイロンスラローム。トラクションコントロールとDSC(DTCの人もいた)、雪上で1シリーズが「どう走るのか?」をご覧ください。


【スタッドレス・ランフラットタイヤの威力】
パンクしても、一定速度である程度走れる「ランフラットタイヤ」。BMWはスタッドレスもランフラットを装着する。「5シリーズサルーン」に装着した。

(動画撮影&編集=カネヨシ)

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