第204回:「トヨタ・ハリアーハイブリッド」試乗 もはやこれは“医薬系ドラッグ”だ!!

2005.03.30 エッセイ

第204回:「トヨタ・ハリアーハイブリッド」試乗 もはやこれは“医薬系ドラッグ”だ!!

■キモチ良すぎる

いやー、ちょっとヤバイ、ヤバイっす「ハリアーハイブリッド」。この加速、どうにもキモチ良すぎます。
なんていいますかねぇ。今までのどっかんターボやオーバー4リッター級の大排気量スポーツカーをコカインやヘロインなどの古典的なドラッグとすると、ハイブリッドSUVの加速感はいわば“医薬系ドラッグ”。元々治療向けの精神高揚剤として生まれたものを、健常者が多量に服用し、ドラッグとして使うパターン。想像でしか語れないんだけど、風邪薬が妙に効きまくり、頭がヤケにスッキリするような感じなのであろう。
要するに今までにない透明感のある加速が味わえるのよ、このクルマ。

多少は想像してたのね。ハリアーハイブリッドの北米名は「レクサスRX400h」。つまり3.3リッターV6ガソリンユニットに、前後合わせて173kWの電気モーターが加わり、重なると4リッターオーバー級の加速力が味わえるという図式。きっと「巨人に後から手で押される」というか「サーフィンで波に乗った瞬間」のような、プリウスの加速感をさらに強くしたフィーリングが得られると思ってたワケ。
そしたらその通りだったんだけど……なんか違うんだよなぁ。なんというか、想像してたよりもっと“ヤバイ”。プリウスの加速が「波に乗るよう」だとすると、今度は明らかに「ターボ」。それもタイムラグがなく、どの速度域でも、思えばすぐに追加加速が得られる「夢のハイテクターボ」なのだ。

プリウスと同様、燃費やハイブリッドシステムの状況を示すモニターを装備。
プリウスと同様、燃費やハイブリッドシステムの状況を示すモニターを装備。
表示は頻繁に切り替わり、クルマがモーターで走っているのか、ハイブリッド状態なのかがすぐわかる。
表示は頻繁に切り替わり、クルマがモーターで走っているのか、ハイブリッド状態なのかがすぐわかる。

■まさしくターボ

実際、ハリアーハイブリッドの加速システムは基本的にプリウスと同じで、発進時や低速域はバッテリーに十分電力が貯まっていれば電気自動車として作動。電力が足りなくなるか、加速がもっと欲しくなると「二段ロケット点火!」って感じでエンジンが滑らかに始動する。
で、ハリアーの場合、その追加エンジンが211馬力の3.3リッターV6だからたまらない。ベースの電気自動車状態でも、出力を足すと235馬力もあるわけで、しかも今回は新開発のリダクションギアが加わってるから加速力3割増し!(想像ね) つまり合わせて450馬力オーバー級!! のパワーが得られるわけなのよ。ま、一部計算通りにはいかないだろうけど、なんともゴージャスな加速力。パワーの断続もトヨタ独自の滑らか制御が入っており、滑らか至極でした。

そう、繰り返すけどこの加速フィーリングは、まさしく電気自動車+ハイテクな“ターボ”って感じ。ただしターボチャージャーではなく、状況によって3.3リッターV6、またはモーターをパワーブースターとして使ってるわけで、電気自動車の透明感とガソリンエンジンの爆発力が自在に味わえる。これぞまさしく“新時代のドラッグスター”! ハリウッドスターがこぞって乗るのも頷けるよ。

メーターの一番左に、ハイブリッドシステムの出力・回生をキロワット表示で示す「パワーメーター」を装備。最高200kw(約272ps)まで表示される。
メーターの一番左に、ハイブリッドシステムの出力・回生をキロワット表示で示す「パワーメーター」を装備。最高200kw(約272ps)まで表示される。

第204回:「トヨタ・ハリアーハイブリッド」試乗 もはやこれは“医薬系ドラッグ”だ!!の画像

第204回:「トヨタ・ハリアーハイブリッド」試乗 もはやこれは“医薬系ドラッグ”だ!!の画像

■快楽か、環境か

一方、ハンドリングは結構フツー。背が高めのSUVだし、特にステアリングフィールがいいとか、乗り心地がフラットということはない。ベース車のハリアー通り、いたって乗用車的なSUVだ。
というか合計400馬力オーバー級のパワーを受け止め切れず、時々思っているよりコーナリングラインをオーバーする。でも、それまた行き過ぎると今回導入した車両姿勢制御「VDIM」とリア電動式のハイテク4WD「E−Four」によって、見事修正しちゃうんだけどさ。

とにかく今回はハイテクハイブリッドを“環境”ではなく“快楽”に使ったという感じ。まさしく医薬系ドラッグです。燃費に関してもゆっくり理性的に走った時はコンパクトカー並みらしいけど、アクセルベタ踏みで快楽的に走ればあんまり良くないってハナシ。まあ、あれだけの加速力だから当然なんだけどね。

ってな具合にトヨタのハイブリッドも完全に第2段階に突入! この能力を環境にふるか、快楽にふるかは作り手次第。実際、今後トヨタはこのハイブリッド技術を今年導入の高級車ブランド、レクサスの目玉として使うって話だし、スバルやフォードのほか、ポルシェにまで技術供与するというウワサもある。
そのワン&オンリーな技術の重要度はますます高まってるわけよ。ホントに大変な“お宝テクノロジー”を作り上げちゃったもんです、トヨタさん。マジ、 2010年達成目標の“世界販売シェア15%”獲得には、欠くことのできないスーパーウェポンだよね。トヨタのハイブリッド!

(文と写真=小沢コージ/2005年4月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』