【WRC 2005】チーム・クローズアップ「ラリー界の名門、スバル」

2005.03.30 自動車ニュース

【WRC 2005】チーム・クローズアップ「ラリー界の名門、スバル」

2005年の世界ラリー選手権(WRC)には6メーカーが参戦。いずれもワークスチームを組織し、厳しいラリーシーンで技術競争を展開している。
そこで今回はドライバーの顔ぶれ、マシンの特徴を追いながら、各チームの体制をクローズアップ。まずは「世界ラリー選手権50勝」まであと一歩のところに迫ったスバル・ワールド・ラリー・チーム(SWRT)を取り上げてみた。

■50勝に迫る日本の名門メーカー

第2戦スウェディッシュ・ラリーで今季初優勝を獲得し、第3戦メキシコでも連勝を果たしたスバル。WRCにおける通算勝利数はこれで46勝となり、国産メーカーとしては最多勝記録を更新中だ。まさにスバルはラリー界の名門で、今シーズン中のV50達成が注目を集めている。

ちなみに、スバルのWRC挑戦はイギリスのコンストラクター「プロドライブ」社とともに1990年にスタートした。
マシンは「レオーネ」の後継車として89年にデビューした「レガシィ」で、93年のニュージーランドで初優勝。「インプレッサ」へスイッチした翌94年には3勝を挙げており、95年にはコリン・マクレーのドライバーズタイトルとともに、コンストラクターズタイトルも獲得した。

以降もスバル+インプレッサの快進撃は続き、96年、そしてWRカーに切り替わった97年もコンストラクターズ部門を制覇。01年には初のGDBベースのマシン「インプレッサWRC2001」でリチャード・バーンズがドライバーズタイトルを獲得、マイナーチェンジ後の03年には「インプレッサWRC2003」でペター・ソルベルグがドライバーズタイトルを手に入れた。

昨04年はマイナートラブルの発生やクラッシュなどでタイトルを逃したが、それでもソルベルグが4勝し、そのパフォーマンスを証明している。


ペター・ソルベルグ

■ソルベルグを中心に経験の異なる2名を起用

2005年のSWRTの体制だが、今年もスバル+プロドライブのダッグは健在で、引き続きデビッド・ラップワースがテクニカルディレクターとしてチームを率先。そして、エースドライバーとして5号車のステアリングを握るのがノルウェー出身のソルベルグだ。

96年にラリーを始め、98年のスウェディッシュでWRCにデビューしたソルベルグは、翌99年にフォードへ加入すると00年後半にはスバルへ移籍。以降、スバルの若手ドライバーとして成長を重ね、03年には念願のドライバーズタイトルを手中に収めた。
そして、「タイトルを奪還するために、あらゆるミスを払拭するように努めていきたいね」と語るように、今季はすでに3戦中2勝を挙げ、ランキングでもトップに浮上。まさにソルベルグはチャンピオン候補の最右翼で、彼の動向がタイトル争いを左右することだろう。


ステファン・サラザン

一方、セカンドドライバーとして6号車をドライブするのがフランス出身のステファン・サラザンだ。
もともと、フォーミュラ・ルノー、フランスF3、国際F3000とフォーミュラ・レースシーンで活躍してきたドライバーで、99年にはミナルディでF1にデビュー。同時にラリーでもその才能を発揮し、95年にラリーデビューを果たすと本格的なラリー活動を開始した。

昨年は、フランス選手権でチャンピオンを獲得したほか、ドイツで9位、コルシカで6位、さらにカタルニアでは4位入賞を果たすなどWRCでも素晴らしいパフォーマンスを披露している。今季はモンテカルロ14位、スウェディッシュ13位と下位に留まっているものの、得意のドライ・ターマックでは上位に進出することだろう。


クリス・アトキンソン

そして、サードドライバーのクリス・アトキンソンも無視できない存在と言える。ラリー歴わずか5年、25歳の若手ドライバーながら、03年、04年のアジア・パフィシック選手権(APRC)でスーパー1600クラスのチャンピオンを獲得。
WRCデビュー戦となった今季のスウェディッシュでは19位、続くメキシコではリタイアに終わったものの、参戦2戦目となる初挑戦のメキシコではSS1で3番手タイム、レグ1で総合5番手につけるなど、ルーキーとは思えないパフォーマンスを発揮した。
まだまだ経験不足は否めないものの、トップドライバーになりうる逸材だけに今後の動向に注目したい。


「インプレッサWRC」

■正常進化を遂げたニューマシン

続いてSWRTの最新モデル「インプレッサWRC2005」の特徴を紹介しておこう。

基本的に昨年モデルの進化バージョンで、大きな変更点がないように見えるものの、新レギュレーションにあわせてボディ幅を1800mmまで拡大。迫力あるフォルムに変貌したほか、整流効果が高いというフロントバンパー、ホイールハウス内の乱気流を引き抜くフロントフェンダーを採用するなど、空力効果を考慮してエクステリアが煮詰められているようだ。

さらに、ウォーターインジェクションを各気筒にレイアウトすることで理想の噴射を目指し、ターボチャージャーもハウジングが1サイズアップするなどエンジンユニットに関しても進化している。

そのほか、各パーツの軽量化、足まわりの最適化を図るなど、マシンを徹底的に熟成することでパフォーマンスが向上。事実、初投入となったメキシコでも圧倒的な速さと安定性を見せつけてデビューVを達成した。

シェイクダウン時にはオーバーステアに苦しむ場面も見られたが、ベストなセッティングが見つかれば得意なグラベルはもちろん、ターマックでもライバル陣営を引き離す強力なマシンとなるだろう。

(文&写真=廣本泉)

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