【スペック】フィアット・バルケッタ: 全長×全幅×全高=3895×1655×1275mm/ホイールベース=2275mm/車重=1110kg/駆動方式=FF/1.8リッター直4DOHC16バルブ(130ps/6300rpm、16.1kgm/4300rpm)/価格=292万9500円(テスト車=同じ)(M)

フィアット・バルケッタ/ヒュンダイ・クーペ【試乗記】

ラクシャリー、ハイパワーばかりが輸入車じゃない 2005.03.17 試乗記 フィアット・バルケッタ(FF/5MT)/ヒュンダイ・クーペ(FF/4AT)「輸入車の祭典」JAIAは、「日陰のモデル」に触れるチャンスでもある。地味ではあるが、日本車に足りない部分をカバーしてくれている2台のクルマ、「フィアット・バルケッタ」と「ヒュンダイクーペ」に、NAVI編集委員鈴木真人が試乗した。

良くも悪くも、変わっていないフィアット・バルケッタ(FF/5MT)……292万9500円

輸入車の中で、高級セダンとかスーパースポーツならば目を惹くし、売れ筋のお買い得車の情報ならばいくらでもある。その狭間にあって、うっかり見過ごしてしまいそうな2台を、今回は取り上げることにした。JAIAというのは、こういったモデルに触れることができるという意味でも貴重な催しなのだ。

まず「フィアット・バルケッタ」である。1995年デビューということで、さすがにここ数年は存在感が薄くなっていた。10年ぶりのマイナーチェンジだからさぞや大幅にリファインされたのかと思いきや、変わったのはほぼ外見だけである。目につくのは、フロントに大きく口を開ける「シングルフレームグリル」だ。こういうのがデザイントレンドらしいのだが、バルケッタまで威圧的な顔にしなくても……と思ってしまう。名前(バルケッタとは小舟の意味)のとおり、サイドから見ると船の舳先を思わせる形状だったのが、すっかり現代的というか、スポーティというか、要するにありきたりのものになってしまったのだ。

しかし、いったん運転席に滑り込んでしまえば、顔つきのことなどすぐに忘れてしまう。インパネにボディと同色のパネルを使うというクラシカルな演出は最近ではさまざまなクルマで見られるが、このバルケッタや「クーペ・フィアット」あたりが先駆けだったはずだ。やはり、この眺めはスポーツカー然としていてうれしい。「クーペカブリオレ」全盛の中、手動のソフトトップを守り抜いているのも潔い。フロントスクリーンも比較的立っていて、開放感を楽しむことができる。

ほんのチョイ乗りだっただけに、走りに関しては大したことは言えないが、ホイールが15インチから16インチに拡大されたことで極端な変化が生じているようには思えなかった。クイックなハンドリングは以前のままで、ワインディングロードでは気分よく走れるだろう。

つまり、何も変わっていないのだ。高速道路をカッ飛び、雨の日もクーペと変わらない室内環境を確保したいというのなら、バルケッタは選択肢から外れるだろう。しかし、光と風を感じながらドライビングで汗を流したい向きには、依然として魅力を保っているはずだ。変わらなかったことで、バルケッタはニッチなマーケットでの価値を得たのである。

カッコと価格が魅力的ヒュンダイ・クーペ(FF/4AT)……220万5000円

「ヒュンダイクーペ」は、なかなか浸透しないヒュンダイブランドの中でも、ことさらにマイナーなモデルである。目標販売台数は、年間でわずか200台なのだ。実は、今回のマイナーチェンジを迎えるまで、一度も試乗したことがなかった。したがって、旧モデルと比較してのインプレッションはできないことを最初にお断りしておく。

今回のマイナーチェンジでは内外装のデザイン見直しが主な変更点だという。フロントバンパーやリアコンビネーションランプの形状を改め、内装では部分的に本革を使用したシートが採用された。それ以外では、ESPが標準装備となったことが大きな変更点である。マイチェン前は199万円という価格が大きなウリだったが、税込み表示となったこともあって大台を超えてしまった。

ヒュンダイのフラッグシップ「XG」では、正直言って内装の質感に不満を覚えてしまった。しかし、このクーペは乗ってみてガッカリすることはない。スポーティさとそこそこの高級感が演出されていて、好ましい室内空間となっている。2.7リッターV6エンジンは175psと控えめなスペックであり、アクセルを踏み込んでも爆発的な加速が得られるわけではない。しかし、この種のクーペはスポーティであっても決して「スポーツカー」ではない。カッコ重視のクルマなのだから、十分な動力性能である。

どこをとっても飛び抜けた性能があるクルマではないが、なにしろこのセグメント自体が著しく縮小しているから、選択肢が増えるのは歓迎だ。マニュアルトランスミッションが選べるのもいい。「セリカ」に憧れていたのになくなってしまった、とお嘆きの方などには安心して勧められる。ちょっと値上がりしたとはいうものの、依然として価格は魅力的である。

(文=鈴木真人/写真=峰昌宏(M)、荒川正幸(A)/2005年3月)

(M)

(M)
(M)

(M)
【スペック】
ヒュンダイ・クーペ: 全長×全幅×全高=4395×1760×1330mm/ホイールベース=2530mm/車重=1390kg/駆動方式=FF/2.7リッターV6DOHC24バルブ(175ps/6000rpm、25.0kgm/4000rpm)/価格=292万9500円(テスト車=同じ)(A)

【スペック】ヒュンダイ・クーペ: 全長×全幅×全高=4395×1760×1330mm/ホイールベース=2530mm/車重=1390kg/駆動方式=FF/2.7リッターV6DOHC24バルブ(175ps/6000rpm、25.0kgm/4000rpm)/価格=292万9500円(テスト車=同じ)(A)
(A)

(A)
(A)

(A)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

クーペの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • ヒュンダイ・クーペ FX (FF/6MT)【ブリーフテスト】 2007.7.31 試乗記 ……260万2350円
    総合評価……★★

    他社のクーペとスペックだけで較べると、思わず「安い」と呟いてしまいそうな、「ヒュンダイ・クーペ」。その実力を試す。
  • 日産ノートe-POWER X(FF)【試乗記】 2016.11.21 試乗記 外部充電機能を持たないシリーズハイブリッド車ながら、静かで加速のよい“EV風味”を持つ「日産ノートe-POWER」。200万円を切る手ごろな価格で実現した“ワンペダルドライビング”がもたらす走りとは? 中間グレードの「e-POWER X」に試乗した。 
  • フォルクスワーゲン・ザ・ビートル R-Line (FF/7AT)【レビュー】 2016.11.9 試乗記 フォルクスワーゲンのブランドアイコンモデル「ザ・ビートル」に新グレードの「ザ・ビートル R-Line」が追加された。限定車以外では始めて、ブルーモーションテクノロジーを採用した1.4リッターTSIエンジンを搭載し、燃費も上々。では、一番“おいしい”ポイントは? 他グレードとの比較を試みた。
  • アストンマーティン・ヴァンキッシュ(FR/8AT)【試乗記】 2016.11.8 試乗記 アストンマーティンのフラッグシップクーペ「ヴァンキッシュ」に試乗。6リッターのV12自然吸気エンジンを搭載するヴァンキッシュには神性すら漂う。人生の最後にはこんな車に乗るに相応(ふさわ)しい男になりたいものである。
  • アウディR8 V10プラスクーペ5.2 FSIクワトロ(4WD/7AT)【試乗記】 2016.10.13 試乗記 「アウディR8」の上級グレード「V10プラスクーペ5.2 FSIクワトロ」に試乗。610psを発する5.2リッターV10自然吸気ユニット搭載のスーパースポーツは、われわれに何を訴えかけてくるのだろうか。
ホームへ戻る