第197回:コージのロールス日記(その3)ロールスはなぜサイコウなのか?

2005.03.14 エッセイ

第197回:コージのロールス日記(その3)ロールスはなぜサイコウなのか?

「ロールスロイス・シルバースピリットII」
「ロールスロイス・シルバースピリットII」
「シルバースピリットI」のカタログから、ロールスがつくられる“雰囲気”をお楽しみください。
「シルバースピリットI」のカタログから、ロールスがつくられる“雰囲気”をお楽しみください。

■やっとわかった“楽しいワケ”

つっくづく、「ロールスロイス」サイコウです!
正直、燃費は3〜4km/リッターだし、集中ドアロックは壊れるし、時々、エアコンから消しゴムのカスみたいのも出てくるんだけど、とりあえずサイコウです。
なぜか。乗ってると“時間の過ぎ方”がまったく違うんだよね。その昔、ハーレーで通勤してる人がいて、なんでこんなんで通勤してんの? って聞いたら「乗ってるときは時間を忘れられるんですよ」って言ってたけど、まさにその通り。ロールス、時間忘れられます。

でね。それはたしかに、ピストンスピードの遅さすら感じる、超ゆったり回転の6.75リッターV8エンジンにだったり、バカみたいにウッディなインテリアにだったり、運転中に目の前を飛んでる銀色の天使にだったりするんだけど、こないだ最大の理由に気がついた。

俺の気持ちが違うんだよね。現代日本でロールスに乗る、そのちょっとアホらしいぐらいの劇画的設定もナカナカだけど、なにより俺に精神的余裕がある。つまり、ロールスに乗るとき=オレがヒマなときだから楽しいのだ〜! やっとわかった〜。


第197回:コージのロールス日記(その3)ロールスはなぜサイコウなのか?の画像
オジサンがウッドパネルを削り、オバサンがシートを縫う。すべてがハンドメイドなロールスの工場。かつては、ベントレーやアストンマーティンも、全行程ほぼ手作業だった。
オジサンがウッドパネルを削り、オバサンがシートを縫う。すべてがハンドメイドなロールスの工場。かつては、ベントレーやアストンマーティンも、全行程ほぼ手作業だった。

第197回:コージのロールス日記(その3)ロールスはなぜサイコウなのか?の画像

■“その気”になろう

だってさ。ロールスで「クルマバカ」取材に行ったら、取材相手様にどう思われるかわからないから乗れないし、行き先に駐車場がなさそうなときにも乗れない。バタバタ忙しく、クルマに乗るなり、いきなりシフトノブを PからDに叩き込み、ソク、アクセルベタ踏みってときも、恐くって乗れない……。

「楽しい」ってなにより俺の気持ちの問題なのね〜と、いまさらながら気付いた次第であります。でもこれって非常に大切なことで、酒を飲むときにメンツが大切なように、たとえばフェラーリ買ったとか、メルセデス買っただけじゃ、人はそうそう幸せにはなれない。「モノより思い出」じゃないけど、自分がどう思えるか、どういう時間を過ごしているかが大切なのだ。逆に言えば、その気になれば軽自動車でも楽しめるってことよ。

で、当面の俺の問題は、結局、ロールスにはほとんど乗れないってこと。平日はおろか土日も含めて、仕事、仕事は沢山あります。今の時代にそりゃ幸せ、幸せなこと……なんだけどねぇ……。

(文と写真=小沢コージ/2005年3月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』