第193回:日産ティーダ大ヒット&ノート発売で感じた 日本人のクルマ観の変化(その2)

2005.02.17 エッセイ

第193回:日産ティーダ大ヒット&ノート発売で感じた 日本人のクルマ観の変化(その2)

■「日産はガイシャメーカーになる」と思ってた!?

ただ、売れるとは思ってなかったけど、俺的にはティーダ、なかなかイイなぁとは思ってたわけです。デザインは自然だし、なによりリアシートがいい。広くて豪華で、大型セダンをチョイスするより賢く感じられる。なんつうか、その昔、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」を選んでたような優越感があるわけですよ。みんなが「マークII」に乗ってる時代、センスでちょっと差を付けられるという。個人的には妙に路面の継ぎ目でギクシャクするところや、ステアリングが引っぱられるような感触がキライだったけど、それ以外は全然イイ。

しかし、あのデザインといい、5ドアボディといい、正直、日本人に受け入れられるとは思わなかったのも事実。なんせ最初にティーダを見たとき、「日産はとうとうガイシャメーカーになるつもりなのか?」と思ったくらい。そう、「日本のメーカーなんだけどノリは輸入車メーカー」という。
具体的に言うと、もはや日本人を特定したクルマ作りはせず、ワールドワイドに商品を作る。「日本で売れなきゃ、それはそれでOK。別に世界で売るからいいよ!」……的な割り切りをする会社になったと。ティーダはそれほどぶっ飛んでる商品だと思ってました。

ところがどっこい、しっかり日本人の心を掴んでたんですね。っていうか俺がまだまだわかってなかったみたい。今の日本人がちゃんとクルマを見て、感じて、自分なりに選んでいるということを。もはやジャンルに縛られる人はあまりいないようなのだ。

■日産版「ホンダ・フィット」!?

ところが見て、乗るとわかりましたね。簡単に言うとマーチのロングホイールベース版。写真でイメージするよりボディは長く、特にリアドアは違和感を感じるくらい長かった。そして全体のフォルムを、マーチよりもグッと実用的にしてある。なんつーかなぁ。マーチ、キューブの最大の不満点であるリアシート、ラゲッジの狭さをほどよく解消してあるのだ。もっと簡単に“日産版ホンダ・フィット”ともいえる。

ただね。最近の日産が凄いのはフィットに必要以上に引っ張られずに、まったく別の世界観を築いていること。しかもそれが2種類あって、“小さな高級車”がティーダで、”ヤングファミリー向けオシャレ実用車”がノート。だいたいそういう位置関係。

そしてさらに凄いのは、それが見事お客の心を掴んでることだよね。最近の日産はやはりデザイン・コンシャスなイメージ。そういう意味では、フィットみたいな “万能グルマ”より“小さくても余裕ある高級車”のが似合ってるし、“オシャレなファミリーカー”も悪くない。だからこそティーダが月1万台近く売れちゃうわけだし、ノートもイケるような気がします。

ま、今回のことはつくづく日本人のクルマ嗜好の広がりを感じさせますな。昔のように杓子定規にスポーツカー、セダン、ミニバン、コンパクトカーなーんてジャンルで考えてちゃ、売れるクルマは作れない。その時代の感性に合わせて作らねば。
その点、最近の日産さんは自由形。かなりヤルような気がします。

(文と写真=小沢コージ/2005年2月)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』