第192回:日産ティーダ大ヒット&ノート発売で感じた 日本人のクルマ観の変化(その1)

2005.02.17 エッセイ

第192回:日産ティーダ大ヒット&ノート発売で感じた 日本人のクルマ観の変化(その1)

■今はお決まりなし!?

俺に言わせると、一時期までの日本人のクルマ選びは音楽選びと同じだった。
まずはジャンル選びが重要なワケよ。とりあえずフォークソングが流行ったらフォークじゃなくっちゃいけなくて、次はニューミュージックでJポップが来て、さらにR&Bとかラップという具合。
一番の問題は、そのカテゴリーじゃなきゃトップクラスのヒットは見込めないこと。つまり今「メチャクチャ出来のいいフォークソング」が出来ても売れるワケじゃない。まずはR&Bっぽかったり、ラップじゃないといけないという、微妙な縛りがある。クルマもつい最近まではそうだった。

おそらく1980年代ぐらいまでは、セダンかクーペであることが、ヒットの必須条件。高級なら高級なだけ良かった。価格の制限はあったけど。
その次はパジェロに代表されるクロカン4WDブームが来て、お次は「スバル・レガシィ」に代表されるステーションワゴンブーム、さらにミニバン、だんだん小さくなって今はコンパクトカーが売れてるって感じ。でね。俺がこのノートに乗って感じたのはそのサイクルが一段落し、一連のロジックが通じなくなっているということ。そう、もはやジャンルは関係ない。「いいクルマならばそれなりに売れる」時代が来ているのだ!

今はなき日産のコンサヴァ・コンパクトセダン「サニー」。(写真=日産自動車)
今はなき日産のコンサヴァ・コンパクトセダン「サニー」。(写真=日産自動車)
現代の日産コンパクト「ティーダ」。(写真=日産自動車)
現代の日産コンパクト「ティーダ」。(写真=日産自動車)

■「5ドア嫌い」じゃなくなってる!?

それにまず気付いていたのはトヨタ。今も自信を持ってセダンやミニバンを売り切ってるよね。でね。実はここ数年、日産もその“極意”を会得してきてる気がするのよ。それも全方位的に。ある分野ではトヨタを超えている場合もあるんじゃないでしょうか。

それを最初に感じたのは「Xトレイル」。あれはクロカン4WDブームが完全に下火のなかで発売し、爆発的とは言わないまでもヒットを飛ばし、そのジャンルではトップに輝き、世界的にも好成績を収めた。
お次は個性的なマーチ、さらにメチャクチャ尖がったキューブがヒット。でね。先日出たティーダ、そして今度のノートでさらにその「ジャンルに捉われないクルマ作り」が確立されたという気がする。

っていうかさ。個人的にはティーダがそれほど売れるとは思わなかったわけです。Xトレイルは単発のヒットだったし、マーチもキューブもユニークなクルマ作りがなされてるとはいえ、コンパクトカー全体が売れてるなかでのヒット。その後、スカイラインが国内に限ってはいまいち売れなかったこともあって、「日産が心底復活した!」と思えない部分があった。
だからティーダに対しても懐疑的だったわけです。見た目はキレイだけど、ジミだし、日本車っぽくないし、「サニー」ってビッグネーム捨てちゃったし、だいたい5ドアハッチバックだったしさ。「日本で5ドアハッチは売れない」というのは、それまでの定説じゃないですか。

ところがどっこい2005年1月の販売台数を見てビックリ! 1位「カローラ」の9740台に続いて、2位のティーダは9705台!! 3位の「フィット」に対し、実に2000台ほど引き離しております。
そう、いつの間にか日本人のクルマ観は変化していたんですね。ジャンルは関係なく、その時代にあったデザイン、使い勝手、価格のものを素直に選ぶという。いやはや……参りました。

(文と写真=小沢コージ/2005年2月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』