SUVってまだ流行ってるの? (ハマーH2)


月刊webCGセレクション8月号

SUVってまだ流行ってるの?






【スペック】
全長×全幅×全高=4830×2160×2050mm/ホイールベース=3119mm/車重=2903kg/駆動方式=4WD/6リッターV8OHV16バルブ(330ps/5200rpm、50.5kgm/4000rpm)/価格=882万円(テスト車=同じ)












下品に乗らず、自重して



ハマーH2 Type G(4AT)
……882万円

時代が変わったとはいえ、少数の人たちはクルマで目立つことを望んでいる。その代表が「ハマーH2」。現代のSUVブームにおいて、昔と同じく“違和感”を感じさせる存在だ。

人気を呼ばないわけがない

特に都心部において、「ハマーH2」の最近の増殖ぶりは甚だしいものがある。とりわけ週末の夜になると、繁華街には何台ものH2があふれ、視界の中にいっぺんに3台のH2が入ることまである。まあ、それは特殊な例だろうけれど、とにかく今、H2がホットな存在であることは間違いない。

熱い視線を浴びているその理由は、ここであらためてくどくど説明しなくたって、見ればわかるだろう。単純に、スッゲェからだ。幅も高さも2mオーバーとサイズそれ自体もデカいのに、直線と平面で構築された武骨で重厚なスタイリングは、それをさらに強調する。全面クロームのフロントマスクも圧巻。とにかくド迫力、とにかく目立つ。これより人目を惹くものなんてあり得ないだろうという、ある種の究極の姿がそこにはある。

しかもH2は、単にデカくて単に目立つというだけでなく、その存在感を裏打ちする確固たるヘリテイジをも備えている。ご存じの方も多いだろうが、ハマーはそもそも軍用車「ハンビー」をベースに民間用に仕立てた「ハマーH1」にて、その名を世に知らしめたブランドだ。H2は、そのハマーブランドを持つAMゼネラル社を買収したGMによって生み出されたわけだが、既にハマーは“本物の証”としてリスペクトされていた。大いに目立ってオーラがあって、しかもブランド性も際立っているH2が、人気を呼ばないわけがないのだ。















凄まじいまでの囲まれ感

ミーハーといわれようが、何しろ僕もハマーH2の姿に大いに魅せられていた1人。ようやくかなった初試乗の感想はといえば、その豪快さに頬が緩んで戻らないサイコーに楽しめるものだった。

よじ登るようにして滑り込んだ運転席は、当然ながら実に広々。助手席側のドアまでが異様に遠い。レザーシートが奢られてはいるものの高級感というよりは機能主義的な匂いを濃く感じるが、それもかえって気分を盛り上げる。唯一の不満は、ATセレクタ−周辺のシルバーパーツがアルミやステンレスではなく、単に塗装された樹脂製なところ。でも、そんなのは些細なことだと思ってしまうのは、すでにその雰囲気に魅せられているということなのだろう。3列目シートの片側は巨大なスペアタイヤに占拠されていて、これが視界を妨げてもいるが、もともと取り回しも視界もいいわけがないだけに、ここも容易に諦めがついた。

走りっぷりも、芸のない表現だがとにかく豪快だ。50.5kgmの大トルクを発生するV型8気筒OHVの6リッターエンジンは、アクセルを踏み込むやのけぞるような加速をもたらす。しかもアメリカンV8、それもSUV用とくれば徹底的なトルク型かと思いきや、回転もトップエンドまできわめてスムーズ。
ほぼ3トンに迫る巨体を突進させるのはほかでは味わえない快感だが、そこには正直後ろめたさも無くはない。下品に走らせるのは簡単だ。それだけに乗り手には自重できる心持ちが必要である。












今でも珍しい

シャシーは、ボディとフレームが別々の昔ながらのSUVの方式を踏襲している。よって乗り味は、最新のオンロード派SUVに較べるとユサユサと揺すられる感があって、シャープさなんてものも期待できない。しかし車重があるだけに動きは重厚で、むしろその騒音や振動の遮断性のよさなどメリットの方が際立っている。なによりも、いかにも強固な骨格の中にいることを感じさせてくれる、凄まじいまでの囲まれ感はただただ圧巻だ。

もちろん、街中に入れば自然とペースは落ちる。車体は大きく見切りもよくないから周囲にはとても気を遣う。いつもの道も車線が狭くなったかのようだ。だいいち、こんな巨体を一体どこに停めればいいのか。そういうことに困らない人でないと、H2を手に入れるのは無理だ。けれど、だからこそステイタス性が維持されるという部分は確かにあるわけだ。大き過ぎて取り回しが……、なんて軸で論評するのは筋違いというものなのだろう。

今やクルマでちょっと目立ってやろうなんて、そんなに簡単なことではない。ブランド輸入車は街にあふれ、他の人との差別化に最適だったはずのそれらブランドのSUVも、もはや珍しい存在ではなくなっている。
そうなったらどこへ向かえばいいのか。そのひとつの答えが、このハマーH2であることは間違いない。

(文=島下泰久/写真=郡大二郎/2005年8月)




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