第190回:「クライスラー300C」に試乗!わかりやすさがアメリカン!?

2005.02.04 エッセイ

第190回:「クライスラー300C」に試乗!わかりやすさがアメリカン!?

■直球デザイン

うーむ、やればできるじゃないですか、アメ車君! エラい大きく括った表現ですけど、今までのクルマはなんだったんだ〜? ってくらい「クライスラー300C」はよかった。

最初はあんまり期待してなかった。ショーで見たかぎり、スタイリングはワザとらしくクラシカルだし、グリルの質感もいまいち。インテリアにしても樹脂の質感は大したことなく、いまどきの国産車、ドイツ車と比べると多少難アリ。でもね。実際乗ると、いわゆるアメリカンフルサイズカーの魅力がたっぷり詰まってました。

まずスタイリング。グリル周りは多少コピー商品っぽい感じがするけど、外に出して見ると非常に魅力的。カースタイリングには「わかりやすさ」も重要だとつくづく実感させられます。
全体のフォルムはとても伸びやか……といえば聞こえはいいけど、明らかにアメ車らしい“ムダ”を感じさせるカタチでもある。だけど、シンプルなぶん「デカい」という魅力が素直に伝わってくる。特にキャビン下の厚みのあるボディがいいんだろうなぁ、力強い。

その昔、とある作家さんが「セダンがカッコよく見えるためには、ある程度のサイズが必要」って言ってたけど、それを思い出しましたね。それに比べて、今のキャデラックの「アート&サイエンス」デザインはヒネくれ過ぎてる気がする。手をかけすぎてるというか。

ホイールベースは3m超、全長5mオーバーの堂々たる巨体。
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1960年〜70年代にレース界を席巻した、クライスラー「HEMI」エンジン。ビッグネームの復活です。
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■アバタもえくぼ?

でね、乗るとまたイイ。特に、久々復活(なのにほぼ新作に近い)した「HEMI」5.7リッターV8 OHVを搭載する「300C 5.7HEMI」は、とにかくエラそうなのよ。走りが。
乗ってるかぎり、極端に言うと感じるのはエンジン音のみってほど静かで、滑らかで、圧倒的。足まわりはけっこう硬めなんだけど、路面の振動はほとんど入ってこないし、大きなウネリもかなり抑えられてる。おそらく18インチで扁平率60っていう、超ドーナツ形状タイヤが効いてるんだろうなぁ。ゴム部分を薄くするだけがタイヤの進歩じゃない!
それから、実は旧型メルセデスE譲りというシャシー。これまた圧倒的に効いてます。

タイヤは225/60R18インチ。「クロスファイア」の極太リアタイヤ(255/35ZR19インチ)と較べれば、カワイイ?
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【スペック】
300C 5.7 HEMI:全長×全幅×全高=5020×1890×1490mm/ホイールベース=3050mm/車重=1860kg/5.7リッターV8 OHV(340ps/5000rpm、53.5kgm/4000rpm)/価格=567.0万円
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一方、ステアリングフィールはただひたすら滑らかなだけで、ほとんどなにもないんだけど。でもね、それこそがアメ車なのよ。唯一の難といえば、おもっ苦しいブレーキ。これまた、たしかにアメ車っぽくもあり、真剣に踏めば効くんだけど、余りにダル。まぁ、乗ってれば慣れちゃうんだろうけどさ。

ってなわけで「PTクルーザー」にしろ、ミニバンの「ボイジャー」にしろ、最近のクライスラーは“己が個性”を十分に理解した商品づくりをしてる気がしました。今後も期待させていただきます!

(文と写真=小沢コージ/2005年2月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』