第187回:スマート信者から見た「スバルR1」の魅力 こ、これは本年度“ベストワン”かも?

2005.01.21 エッセイ

第187回:スマート信者から見た「スバルR1」の魅力 こ、これは本年度“ベストワン”かも?

デザインや作り込みが命(?)の「R1」。5ドアハッチの「R2」より、全長110mm、ホイールベースは165mmも短い。
デザインや作り込みが命(?)の「R1」。5ドアハッチの「R2」より、全長110mm、ホイールベースは165mmも短い。

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テスト車は、オプションのレザー&アルカンターラセレクション。
テスト車は、オプションのレザー&アルカンターラセレクション。

■“4座のスマート”になるか!?

いやー、ビビりました。ハッキリ言ってビビりました。2005年、まだ始まったばかりだけど、小沢コージ的にはこれが本年度ベストワン! ……かも。ま、“買う買わない”は置いといて、最近これほど感激した国産車もありません。なんというか、商売を二の次にしたような“さむらいコンセプト”と、実物のあまりのカッコよさに感動!
走ってみた感じは結構不満タラタラなんだけどね。それを補って余りある思い切りの良さ! 久々にスバルというメーカーのユニークな社風とユニークなポジションに恐れ入った次第であります。

最初は我が「スマートK」の“次のクルマ”として見に行った面があるんだよね。たしかに大満足のスマートKだけど、正直「リアシートがあればなぁ」と思うこともすくなくない。それは荷物置き場に困るというより、ちょっとした人の運搬。自宅から駅への送り迎えなど、多少狭くても1人、2人乗せられたらいいのに、と思うことも多い。
そしたら「R1」は軽自動車としては断トツに短いうえ、一応リアシートが付いてるという。ムムッ! これは“スマートKの4シーター版”になるかも? 最大の争点はそこでした。

■スタイルも質感も「マジスゴイ」

で、いざ見てみた実物のなんともカッコいいこと。冷静に観察すると、全長は3.3mと普通の軽より10cmぐらいしか短くなってないから、実利は小さい。しかし、一見して短そうなボディと軽自動車の枠を感じさせないデザインはスゴイ! マジ“軽自動車のアルファロメオ”だと思いました。デザインだけで、ここまで欲しくなる軽は初めてよ。
実はスズキの「アルト・ラパン」にしてもダイハツ「ミラ・ジーノ」にしても、「カッコ優先」と言いつつ実用性にかなり配慮してある。品質的にもがんばってはいるけど、「やはりコストが……」という、軽特有の事情が見え隠れ。

ところがR1はマジスゴい! スタイルに加え、質感でも軽自動車であることを忘れさせてくれる。特に素晴らしいのは5万円高(ホントはHIDランプやUV カットガラスとセットで、もうちょい高い)の本革シート仕様。ホント、クオリティが高くて軽とは思えない。さらに、造形からしてR2とは全然違うインパネもカッコいい。表面には高品質なマッド仕上げが施してあるし、小さいけど作りのいいタコメーターなんかもステキだった。革張りのシフトノブもなかなかだし。


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後席に大人2人が乗ると……、あたりまえだけど狭い。
後席に大人2人が乗ると……、あたりまえだけど狭い。

■意外と広いリアシート

でね。肝心のリアシートだけど予想より広いのよ。無論、マトモにフロントシートに大人が乗ると床には足首すら入らない勢い。背筋は立ちっぱなしだし、身長 176cmの俺の首は曲がりっぱなし。だが、ちょっと譲り合えば、距離10kmぐらいなら大人2人でも耐えられると思った。無いよりスーパー(全然)増し!

唯一の難は走り。まずCVTのエンジン回転数の設定が高めなこともあって、エンジン音がうるさく、さらにロードノイズも大きい。またショートホイールベースの弊害を抑えるためか、足回りはかなり硬め。あと、ステアリングは構造的にはR2とほとんど変わらないらしいが、個人的には操舵が若干軽く、フィールが薄くなってる気がした。
でもね。爽快感は十分だし、見事、R1のポリシーを体現してる走りだと思う。だいたいにして、R1がアルファロメオだとすれば、これくらいの音、硬さは許容範囲だよね。全然OKよ〜。

荷室もあり。後席、助手席シートバックは可倒式で、倒すと荷室床面と同じ高さになり、長尺物を積むことができる。使い勝手も追求した。
荷室もあり。後席、助手席シートバックは可倒式で、倒すと荷室床面と同じ高さになり、長尺物を積むことができる。使い勝手も追求した。

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まあ、正直、“スマートの4座版”とはちょっと違う気がしました。やっぱスマートのキモは、2人乗りで全長約 2.5mと割り切った“潔さ”にある。全長を短くすることで、逆に環境を活かすというサムライ精神がいいのよ。R1も同じくサムライっぽいけど、コンセプトは明確に異なる。
ただ、R1は大元のスタイリング・アイデンティティを、あのスペースのなかでよく活かしきってるよね。あのカタチでよく4人乗れるよ! って感じ。軽自動車界でまさしく金字塔を打ち立てたと思う。こんなにカッコよくて思い切りのイイ軽自動車は現時点で他になく、過去もあんまりない。“軽”という枠を取り外しても十分にカッコいい。

おそらくスバルさんとしては「いまさら実用の軽でスズキ、ダイハツに対抗してもしょうがない」って戦略上の判断なんだろうけど、俺としてはなんとまあ思い切った、ステキなクルマを作ってくれたんだ! って想いでいっぱい。
ただ、唯一わからないのが、なぜR1を最初に出さなかったのかってこと。V35スカイラインもそうだけど、なぜスタイリングの優れた、インパクトのあるR1 やスカイライン・クーペを最初に出さないのだろうか。ハッキリいってR2やスカイラインセダンは折衷案。妥協で買うもの。スタイリングイメージを強調すべきだと思うのだが……。
でもまあホント、21世紀の日本車もまだまだ捨てたモンじゃないよね。スバルよ、もっともっとがんばれ〜!

(文と写真=小沢コージ/2005年1月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』