【スペック】全長×全幅×全高=4415×1740×1410mm/ホイールベース=2540mm/車重=1445kg/駆動方式=4WD/2リッター水平対向4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(320ps/6400rpm、43.0kgm/4400rpm)/価格=460万9500円(テスト車=474万4215円/MD/CDレシーバー=9万4500円/6スピーカーセット=4万215円)

スバル・インプレッサS203(6MT)【試乗記】

まだ見えぬプレミアム 2004.12.29 試乗記 スバル・インプレッサS203(6MT)……474万4215円STiの手になるインプレッサのコンプリートカー「S203」。ワークスチューンで最高出力320psを誇るそれは、従来のスポーティ一辺倒ではなく、プレミアム路線を目指してつくられたという。『webCG』記者のリポート。

インプレッサがプレミアム?

「インプレッサS203」は、「インプレッサWRX STi」をスバルワークスたるSTiがチューニングしたコンプリートカー「Sシリーズ」の最新モデルだ。最高出力320ps/6400rpm、最大トルク43.0kgm/4400rpmという、日本車ばなれしたスペックを誇り、価格は460万9500円。555台の限定販売である。
数値を見ると、2002年に400台限定で販売した「インプレッサS202 STi version」(320ps、39.2kgm)に近いが、しかし、スポーツ一辺倒のクルマではない。高性能であることに加え、見て乗って味わえる高い質感などの“プレミアム”を付与した「グローバルスポーツセダン」というのがSTiの主張である。

いきなりプレミアムとかグローバルスポーツといわれても、元がインプレッサだけにピンとこないのが正直なトコロ。スペックから想像される化け物じみた速さと、上質感を両立できるのか疑問だったが、乗ってみて「ナルホド」と思わせるプレミアムが与えられていた。

実のあるモディファイ

エクステリアの変更はすくなく、高速性能に配慮してフロントアンダースポイラーやリアスポイラー(2段調節式)を装着するのみ。ニブく光る鍛造ホイールに組み合わされるのは、ノーマルより一回り大きい、235/40ZR18インチのピレリ「P ZERO CORSA」である。見た目は地味だが、エアロパーツは軽量&高剛性のドライカーボン製で、フロントゼロリフトを実現。ホイールとタイヤは、ノーマルに比べて1本あたり約1.5kg軽いなど、実のあるモディファイが行われた。

グレートーンの落ち着いたインテリアで目を引くのは、レカロと共同開発したバケットシート。座面と背面にドライカーボン製シェルを採用したバケットシートに、ダイヤル式のリクライニング機構を与えたものである。シェルはモータースポーツ用というだけあってホールド性は高く、おしりと背中にヒタっとフィットして接触面で体を支えてくれ、疲れ知らずで座り心地はよい。ショルダーの張り出しが大きく乗り降りに不便だし、一部カーボン剥きだしの見た目はやや無骨だが、機能的にはドライバーズカーのシートとして最高位にあると思った。ちなみに、レカロ社はインプレッサ専用品として、シート単体を55脚限定で発売。価格は55.5万円である。

足もエンジンも別モノ

走り出すと、スペックに表れないS203のプレミアムが理解できる。まずエンジンが別モノだ。吸排気系やECUの変更に加え、軸受けにボールベアリングをもつ大径ターボチャージャーを採用。低回転からトルクが滑らかに立ち上がり、パワーが衰えることなく8000rpmまであっという間に吹けあがる様は、まるで4リッター級の多気筒エンジン。絶対的な速さはいうまでもないが、たとえば暴力的なspec.Cの加速感とは一線を画す。

乗り心地もイイ。スプリングは強化品、ダンパーに「タイプRA」と同タイプの、減衰力4段可変式のストラットを装着するが、足がしなやかに動くダンピング設定により突き上げに鋭さはなく、ボディはフラットに保たれる。車重が重いせいか、軽量なspec.Cのように波状路でユサユサ揺すぶられることもない。
まさにオンザレールのハンドリングにも驚く。リアスタビライザー径を拡大して回頭性を上げたS203は、ステアリングホイールの動きにピッタリ反応。しかし、安定感を失うことがない。ノーマルのインプレッサはアンダーステア傾向である一方、前後の荷重移動に敏感で、特に高速域でちょっと緊張するが、S203は安心して曲がりを楽しめた。

まぁ、いろいろ書きつらねたけれど、S203のプレミアムは、運転時の感覚に依存する傾向が強く、文字でお伝えするのはムズカシイ。STiは、試乗車で全国のディーラーを行脚するそうなので、機会があったら是非乗っていただきたい。S203には、乗ってはじめてわかるプレミアムがあると思う。

(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2004年12月)



スバル・インプレッサS203(6MT)【試乗記】の画像
足まわりに、STiのベストセッティングはひとつ。減衰力4段可変式ダンパーは、走る条件や、ドライバーの好みに合わせて微調整するためだという。

足まわりに、STiのベストセッティングはひとつ。減衰力4段可変式ダンパーは、走る条件や、ドライバーの好みに合わせて微調整するためだという。
名前だけのOEM品ではない、レカロのカタログラインナップにも載るバケットシート。2005年に欧州のある自動車メーカーがニューモデルに採用する、とのウワサがある。

名前だけのOEM品ではない、レカロのカタログラインナップにも載るバケットシート。2005年に欧州のある自動車メーカーがニューモデルに採用する、とのウワサがある。
ブレーキローターの熱変形を抑えるため、アウターベンチ式ローターを開発。制動力やコントロール性は、これまでと同様に高い。タイヤは排水性を考慮して、トレッド中央に従来にはない溝を掘った専用品。こちらも、ピレリの商品ラインナップに加わるとか。

ブレーキローターの熱変形を抑えるため、アウターベンチ式ローターを開発。制動力やコントロール性は、これまでと同様に高い。タイヤは排水性を考慮して、トレッド中央に従来にはない溝を掘った専用品。こちらも、ピレリの商品ラインナップに加わるとか。
エンジンは、手作業でピストンやコンロッドの重量を測定。クランクシャフトのバランス調整を行ったうえ、量産車と別ラインで組み立てられる。まるでレースカーだ。

エンジンは、手作業でピストンやコンロッドの重量を測定。クランクシャフトのバランス調整を行ったうえ、量産車と別ラインで組み立てられる。まるでレースカーだ。


スバル・インプレッサS203(6MT)【試乗記】の画像
関連記事
  • スバル・インプレッサスポーツ1.6i-L EyeSight(4WD/CVT)【試乗記】 2017.3.8 試乗記 新世代のプラットフォームを採用した「スバル・インプレッサ」の1.6リッターモデルに、清水草一が試乗。その走りや乗り心地を、2リッターモデルとの比較も交えながら詳しくリポートする。
  • スバル・インプレッサスポーツ2.0i-S EyeSight(4WD/CVT)【試乗記】 2016.12.9 試乗記 フルモデルチェンジした「スバル・インプレッサスポーツ」に試乗。新世代プラットフォームと直噴化された水平対向エンジンがもたらす走りや、最新の運転支援システムの使い勝手を、2リッターの4WDモデルで確かめた。
  • スバル・インプレッサG4 1.6i-L EyeSight(4WD/CVT)【試乗記】 2017.5.10 試乗記 “素のグレード”の出来栄えにこそ、そのモデルの実力が表れる。スバルのCセグメントセダン「インプレッサG4」のエントリーモデル「1.6i-L EyeSight」に試乗。その走りや装備の充実度、静的質感などを通して、スバルの最新モデルの地力に迫る。
  • スバル・インプレッサG4 2.0i-S EyeSight(4WD/CVT)【試乗記】 2017.3.21 試乗記 新型「スバル・インプレッサ」のセダンモデル「G4」に試乗。販売の主力となっているハッチバックモデルではなく、あえてマイナーなセダンを選ぶ理由はあるのか? 2リッターエンジン+18インチアルミホイールの上級グレードで検証した。
  • スバル・インプレッサ プロトタイプ(4WD/CVT)【試乗記】 2016.9.10 試乗記 発売が間近に迫った新型「スバル・インプレッサ」。そのプロトタイプにクローズドコースで試乗。スバルのこれからを担う次世代プラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム」や、直噴化された「FB20」型エンジンの出来栄えを確かめた。
  • スバル・インプレッサスポーツ1.6i-L(4WD/5MT)/インプレッサG4 2.0i-S(4WD/CVT)【試乗記】 2012.1.23 試乗記 スバル・インプレッサスポーツ1.6i-L(4WD/5MT)/インプレッサG4 2.0i-S(4WD/CVT)
    ……184万8000円/266万7000円

    初代のデビューから20年の時を経て「スバル・インプレッサ」が4代目に進化。最新型の仕上がりを、巨匠 徳大寺有恒はどう評価する?
  • フォルクスワーゲンhigh up!(FF/5AT)【試乗記】 2017.5.17 試乗記 「フォルクスワーゲンup!」が初のマイナーチェンジ。内外装ともにリフレッシュされた、“末っ子”の使い勝手をテストした。走らせて一番快適だったのは、小さなボディーとは結びつかない意外な場所だった。 
  • レクサスLC【開発者インタビュー】 2017.5.5 試乗記 一台のニューモデルという枠を超えて、これからのレクサスの方向性を指し示すという重要な役割を担うことになる「レクサスLC」。欧米のプレミアムブランドに立ち向かうための戦略を、開発を担当した落畑 学さんに伺った。
  • ケータハム・セブン スプリント(FR/5MT)【試乗記】 2017.5.1 試乗記 「ロータス・セブン」の魅力を今日に伝える「ケータハム・セブン」に、“オリジナル・セブン”の誕生60周年を祝う限定モデル「セブン スプリント」が登場。クラシカルなデザインとプリミティブな走りがかなえる唯一無二の魅力に触れた。
  • アバルト595コンペティツィオーネ(FF/5AT)【試乗記】 2017.4.26 試乗記 マイナーチェンジでデザインや装備が改められた、ホットハッチ「アバルト595コンペティツィオーネ」に試乗。「スポーツ性能を限界まで高めた」とうたわれる走りの質を、ワインディングロードで確かめた。
ホームへ戻る