輸入車も<お買い得>で選ぼう! (アウディA6 3.2 FSIクワトロ「クワトロ25thリミテッドモデル」)


月刊webCGセレクション11月号

輸入車も<お買い得>で選ぼう!




「装備の充実度」
……
「装備の特別度」
……
「装備の必要度」
……
(写真=宮門秀行)




プレミアムだって、激安はうれしい



アウディA6 3.2 FSIクワトロ「クワトロ25thリミテッドモデル」(4WD/6AT)
……720万円

アウディは、A4とA6に「クワトロ25周年リミテッドモデル」を設定。合計500台の限定モデルとした。装備充実のA6は、「プレミアムなお買い得車」の成功例となるか。

3万5000台売る秘策とは?

「なーんだ、一緒のことを考えていたのか」
アウディA6に設定された限定車“クワトロ25周年リミテッドモデル”を見て、思わずそう口をついて出た。というのも、実はその発表のたった3日前、東京モーターショーのために来日していたアウディAGの代表、ヴィンターコルン氏と話す機会があり、その時にこう聞かれたのだ。
「日本でアウディを3万5000台売るには、何から手をつければいいと思うか」

そして実は、僕はこう答えていた。
「手っ取り早いのは限定車じゃないですか? エンジンなどは変更しなくてもいいので、装備を充実させて価格を抑える。それからボディカラーは、日本人の好きな白で」
それからわずか3日で、まさにそのまんまの限定車を作って送り出してくれるとは……なんてハズはないのだが、あまりに考えていた内容と近いものが登場しただけに、心底驚いたという話である。















ベース車の20万円高

全体的に見た場合、決して好調とは言えない昨今の輸入車市場において、アウディはほぼ唯一、圧倒的な勢いで販売を延ばしてきた。そして今年、年間登録台数1万7000台を公約に掲げてのスタートとなったわけだが、今年上半期の実績は7552台と、ちょっと足踏みしている。いや、これだって前年同期比20%増という立派な数字なのだが、彼らはやはり、それでは満足できないようだ。

そこで、なのかはどうかはわからないが、アウディがA6とA4に設定した日本専用の限定車が、このクワトロ25周年記念限定モデルである。その内容は特別仕様車のセオリー通り。まずベースとなった3.2FSIクワトロには、以下の装備が追加されている。

・18インチタイヤ&5スポークアルミホイール
・スポーツサスペンション
・本革スポーツシート
・マルチファンクション&ティプトロニックパドルシフト付き本革巻き3本スポークスポーツステアリングホイール
・前後席シートヒーター

それでいて価格は720万円と、ベース車の20万円高に抑えられている。20万円では18インチのタイヤ&ホイールだって簡単には買えないのだ。価格に対する装備の充実ぶりを真正面から測れば、これが非常に買い得なのは疑いようがない。









【スペック】
全長×全幅×全高=4915×1855×1435mm/ホイールベース=2845mm/車重=1790kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(255ps/6500rpm、33.6kgm/3250rpm)/価格=720万円(テスト車=同じ)

ベース車:
アウディA6 3.2……700万円

特別装備
●5アームアルミホイール(8J×18)+245/40R18タイヤ
●スポーツサスペンション
●本革スポーツシート
●マルチファンクション&ティプトロニックパドルシフト付本革巻き3スポークスポーツステアリングホイール
●シートヒーター(フロント/リア)


スポーティではあるけれど……

では実際、それらは20万円のエクストラと引き換えに手に入れるにふさわしい内容なのか。率直に言って18インチのタイヤ&ホイールにスポーツサスペンションは、ルックスには良くても走りっぷりにはネガティブに作用している。とにかく闇雲に硬く、路面のうねりや段差をすべて忠実に拾って煽られる乗り味は、いくらスポーツ仕立てと言っても、このクラスのサルーンに望まれるものではない。

しかし、その他の装備は、どれもあって嬉しいものばかりと言える。本革スポーツシートのピンと張った表皮の感触は悪くないし、Dレンジからでも即座に使えるアウディのパドルシフトは日常走行でもとても有用。だいいちこの2点だけでも、普通にオプション装着すれば、すぐ20万円くらいにはなるに違いない。

よって、この乗り心地をスポーティだと好意的に解釈できるならば、このクワトロ25周年リミテッドモデル、良い選択になると言ってもいいかもしれない。仮に僕個人がA6を狙っていたとしても、乗り心地に悪態をつきつつ結局コレを選ぶと思う。


お買い得車と悟られない

それにしても、アウディのような高付加価値性こそを売りにしているはずのプレミアムカーまで、お買得であるというアピールが求められるとは、思わず考えさせられてしまうところである。同じように、最近ではメルセデスも特別仕様車に積極的。もはやプレミアムカーだろうが何だろうが、大上段に構えて待っているだけでは商売にならないのが今のご時世なのだ。

その意味で、このクワトロ25周年記念限定モデルが、特別仕様車であることを示すステッカーやら何やらを一切付けていないのは正解である。ユーザーの自尊心を満足させ、そしてプレミアムなイメージを維持するには、お買得仕様であることを世間に悟られるのはマイナスだからである。販売状況はまだ手元にないのだが、少なくともその内容、そしてそうした配慮の行き届く様を見る限り、このモデルは限定車の成功例のひとつに挙げてもよさそうな気がするのである。

(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2005年11月)




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