第181回:スーパーカーとは刷り込みである!「ランボルギーニ・ミウラ」に初チョイ乗り

2004.12.20 エッセイ

第181回:スーパーカーとは刷り込みである!「ランボルギーニ・ミウラ」に初チョイ乗り


第181回:スーパーカーとは刷り込みである!「ランボルギーニ・ミウラ」に初チョイ乗りの画像
このミウラは1970年式の「P400 MIURA S」でレアな売り物。約2200万円だそうな。高いのか安いのか?
このミウラは1970年式の「P400 MIURA S」でレアな売り物。約2200万円だそうな。高いのか安いのか?
長さ4370mm、全幅1760mmとワイドで、高さは1050mm。ホイールベースは2500mm。カーデザインの鬼才マルチェロ・ガンディーニが作った、カウンタック以前の傑作である。
長さ4370mm、全幅1760mmとワイドで、高さは1050mm。ホイールベースは2500mm。カーデザインの鬼才マルチェロ・ガンディーニが作った、カウンタック以前の傑作である。

■これぞスーパーカー!

いやー、久々に感動! 久々にシビれました。「ランボルギーニ・ミウラ」に生涯初試乗! 一部誤解してる人もいるみたいだけど、この手のクルマってジャーナリストだろうがナンだろうが、そうそう乗れないのよね。今回だって撮影の合間に駐車場でチロっと乗っただけ。でも、非常にコーフンいたしました。この世界に入ったばかりの時の緊張感をちょっと思い出したくらい。

なにが感動って、まずエンジンがガラス越し、頭のすぐ後ろで回ってることだよね。4リッターV12のデカさもさることながら、なんでこんなに近いの! ってくらいに近い。ミウラはエンジン横置きのミドシップだから、縦置きよりもド迫力で目の前に迫ってくる。
で、キャブレターだから音が最高なのよ。♪ウォンウォーンバリバリバリバリバリ……っていうか、ウゥーン、ドルドルドルドルドルドルドルドル……っていうか。上手くいえないけど、ここまでエンジンを身近に感じて走ったことは、ほとんどないんじゃないでしょうか。それから前後にカバっと開き、見るだけで驚きのボディ構造もイイ。

■インパクトと刷り込み

でね、スーパーカーってつくづく料理と同じだなぁと思った。論理的に作られたレーシングカーとは微妙に違う。ある種、天才料理人がクルマを新鮮に「味わわせるため」に作られたもの。つまり確信犯。
たまに出張でフランスの星付きレストランなんかに行くと、素材をボン! と出してきて、「えっ?」と思わせる皿とかあるのよ。フランス料理なのに、いきなり生のマグロが醤油めいたようなタレと一緒に出てきたりさ。驚きと共に人間の5感を刺激する。

実はクルマって、俺たちのなかでは勝手な固定観念が作られつつあって、エンジンは大抵前にあるとか、ペダルの重さはこれくらいとか、シートはこんなもんとか、ある種のイメージができ上がっている。大抵のクルマでは、まずそれは打ち破られない。
だけどね、カウンタックはもちろん、ミウラはミウラで俺のなかのなにかを壊してくれました。それが気持ちイイ。


第181回:スーパーカーとは刷り込みである!「ランボルギーニ・ミウラ」に初チョイ乗りの画像
ミドに横置きされるエンジンは、「400GTV」由来の3929ccV型12気筒。ミウラSは、最高出力375ps/7700rpm、最大トルク39.6kgm/5500rpmを発生した。
ミドに横置きされるエンジンは、「400GTV」由来の3929ccV型12気筒。ミウラSは、最高出力375ps/7700rpm、最大トルク39.6kgm/5500rpmを発生した。
『Autocar』、1970年8月号に掲載されたロードテストによると、ミウラSの最高速度は172mph(約275km/h)。静止状態から時速60マイルまで6.7秒で加速し、0-1/4マイルのタイムは14.5秒と記されている。
『Autocar』、1970年8月号に掲載されたロードテストによると、ミウラSの最高速度は172mph(約275km/h)。静止状態から時速60マイルまで6.7秒で加速し、0-1/4マイルのタイムは14.5秒と記されている。

その他、フロントウィンドウが妙に近い感じとか、下からまっすぐ生えたペダルの操作感とかも新鮮さの塊。あと圧倒的な低さね。乗るとまた、外から見るのとは違った感覚が得られる。スーパーカーは見るもの! って話もあるけど、乗っても楽しいなぁと思いました。長時間乗ったらどうかわかんないけど。

それから、スーパーカーってつくづく“刷り込み”だとも思った。なんだか高校生のときに戻り、好きだった制服姿の女の子に会ったような甘酸っぱさがある。それはハッキリ言ってセクシーな瞬間。冷静なフリはしてたが、妙にドキドキしててさ。エンストしたらダサいぞ! ってのもあったけど。ガハハ。

おそらくスーパーカー世代なら、この手のクルマはどんなに冷めた男でもなんかしらの思い出がある。団塊の世代が吉永小百合に持つ特別な思い入れみたいなもんかな? よくわかんないけど。
とにかくスーパーカーというのは永遠の刷り込みだと思いました。死ぬ前に乗っても感動するだろうね。たぶん。

(文と写真=小沢コージ/2004年12月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』