第180回:祝!梁瀬次郎さん米国自動車殿堂入り!祝賀会で“賞”の本質を考える

2004.12.20 エッセイ

第180回:祝!梁瀬次郎さん米国自動車殿堂入り!祝賀会で“賞”の本質を考える

以前取材させていただいたとはいえ、突然の握手攻撃! 会長、ありがとうございました。
第180回:祝!梁瀬次郎さん米国自動車殿堂入り!祝賀会で“賞”の本質を考える

■『Automotive Hall of Fame』

いやー、おめでとうございます。俺も長らく(って15年ぐらいか)この業界におりますが、久々につられて晴れがましい気分にさせていただきました。えっ、ナニ? 誰かの誕生日? 宝くじでも取った!? って違います。本日はあの日本輸入車業界の父、ヤナセの創始者たる、梁瀬次郎さんの米国自動車殿堂入り祝賀会であります。

「米国自動車殿堂」ってのは、メジャーリーグで言うなら「野球殿堂」、日本の野球界で言うならば「名球会」みたいなもんで正式名は『Automotive Hall of Fame』。要するに、アメリカのクルマ業界に貢献した偉人たちをたたえるものだ。メジャーリーグでイチローが最多安打記録を刻んだバットや、野茂が日本人として初のノーヒットノーランを達成したグローブが展示されるような場所。非常に晴れがましいものがあります。
正直さ、日本にも独自の自動車殿堂ってのがあるんだけどスケールが違うんだよね。過去の殿堂入りは、ヘンリー・フォードにトーマス・アルバ・エジソン、ルドルフ・ディーゼル、エンツォ・フェラーリなどなど。日本人も既に4人入っており、たとえば本田宗一郎さんなど、どうみても世界の自動車偉人。

ところがよく見ると実にシブい人選も行われている。たとえばトヨタ自動車からは、創業者系の豊田佐吉さんでも喜一郎さんではなく、“合理化の鬼”豊田英二さん。さらに高品質化の “タグチメソッド”を造った田口玄一さんや、“Zカーの父”元日産自動車の片山豊さんなどなど。梁瀬次郎さんにしても日本じゃ有名だけど、アメリカの一般大衆は知らないと思う。
というのもさ。当たり前だけど「米国のクルマ業界に貢献した人」なのよ。「世界のクルマ偉人」ではなくて。そこんところにアメリカならではの中華思想を感じさせるわけで、梁瀬次郎さんも、「日本にアメリカ車を普及させた」というのが主な受賞理由なのだ。

おんとし88歳! お元気です。
第180回:祝!梁瀬次郎さん米国自動車殿堂入り!祝賀会で“賞”の本質を考える

■なにより“人”

とはいえ、アメリカのメジャーリーグもそうだけど、ホント、人を良く見てるよね。政治力、知名度などよりも、“その人がいかにがんばったか”、当たり前だけど“業績”を評価している印象がある。
もしや貰う人よりあげた人が目立ちたいんじゃないの? という風になりつつある国民栄誉賞ではなく、「密かにがんばった人をクローズアップ」することで、「現在がんばっている人に勇気を与える」。つまり“未来”に繋がっている気がするのよ。

たしかに賞はその人のものなんだけど、同時に周りに勇気を与えるものであって欲しい。そういう意味では日本の賞はなにかとズレがちな気がする。意外性がないし、夢が無い。イチローが国民栄誉賞を辞退したのも当然だよね。彼は既に十二分に称賛を浴びているのだから。

ってなわけで梁瀬次郎様、今回は本当におめでとうございます。心から祝福させていただきます。

(文=小沢コージ/2004年12月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』