第179回:世界の「GT4」ついに発表!俺の身近な“天才クン”の話(その3)

2004.12.20 エッセイ

第179回:世界の「GT4」ついに発表!俺の身近な“天才クン”の話(その3)

実在のレーシングカーがわんさか並べられてました。これは1999年にルマン24時間レースに出場した、「トヨタTS020」。もはや自動車メーカーも、まったく無視できない存在なのよね。
第179回:世界の「GT4」ついに発表!俺の身近な“天才クン”の話(その3)

■子供にクルマの楽しさを!

前回からの続き)
あとさ、個人的に一番感動したのは「For Boys」、つまり免許を持たない少年向けのソフトウェア配布計画だよね。今回彼は少年用に噛み砕いたGTを、世界に無償で提供することを発表したのだ。同時に各メーカーや媒体の協力も要請した。
なんというタイムリーな企画でありましょうか。というのも、俺たちクルマ業界に共通する根源的な悩みが、若者のクルマ離れ。これは正直、あのトヨタ自動車でも完全には解決できない大問題なのだ。家電メーカー他と組んで立ち上げたWillブランドせよ、「bB」「イスト」の類にせよ、すべてこの手の対策。具体的にはクルマがつまんないとか、日本は走る場所がないとか、いろいろ要因が取りざたされているのだが、とりあえず超難題である。

こちらは「日産R92CP」
第179回:世界の「GT4」ついに発表!俺の身近な“天才クン”の話(その3)

タマゴと鶏どっちが先か知らないけど、今のミニバン偏重現象やスポーツカー不振も、まったくこのせいといえなくもない。極端にいって現在の日本、スポーツカーを好んで買うのは俺たちスーパーカー世代が最後。それはまさしく少年期に「クルマへの楽しさ」を刷り込まれたがゆえに他ならない。
ところが今のところ、現在の少年たちにそういう影響を与える場がない。「クルマって楽しいよ」「カッコいいよ」「魅力的だよ」とアピールする場がない。特に日本は壊滅的。俺たちクルマ媒体関係者からみれば、まさに死活問題だ。
それを少年少女たちに影響の大きい、ゲームという媒体で行おうという。なんという素晴らしい発想! グレイトな計画! クルマ業界としては諸手を上げて賛成すべきであーる。っていうか、反対する人なんかいないでしょう。

ってなわけで彼はおそらくゲーム界、クルマ界、そして我らがGTの10年後、いや20〜30年後まで考えている。自分たちを育ててくれた業界というものに対して、恩を返し、育てるようにゲームをつくっているのだ。まあ、もはや“世界最大のクルマ媒体”とも呼べるメディアの使命といえなくもないが。

納車されたばかりの「フォードGT」と山内一典クン。買ったんだってさ〜、いいな〜。
第179回:世界の「GT4」ついに発表!俺の身近な“天才クン”の話(その3)

ハッキリ言って、空恐ろしい男である。そういえば、発表会に現ナイキ社長のマーク・パーカー氏が来て、「マイフレンド」とやっていたが、それもまあうなずける。
でね、ちょっとイイ話なのが、彼自身、実は単なるカメラ好きだったりすることなんだよね。フォトモードは実に素晴らしい発想なんだけど、彼のなかでは「自分の趣味の延長」に過ぎない部分もある。
とにもかくにも偉大な男というのは、単純に見える部分もあります。イチローが単なる野球小僧なようにさ。とにかくこれからもがんばってほしいもんですよ、山内一典クン。

(文と写真=小沢コージ/2004年11月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』