2005年、webCGはこの4台にZokkon! (レクサスIS250)


月刊webCGセレクション12月号

2005年、webCGはこの4台にZokkon!












「メイドに“おもてなし”される気持ちよさがわからへんのですか」
「いや、僕はもう少しアダルトな女性が好きなんで……。」









秋葉のメイドカフェより上手なおもてなし



レクサスIS250 バージョンS(FR/6AT)
……436万5000円

8月のレクサス日本上陸は、日本のプレミアム自動車市場を大きく揺るがす事件だった。「IS」は、実質的には「アルテッツァ」後継ながら、メルセデスの「Cクラス」やBMW「3シリーズ」と真っ向から戦うべく投入されたモデルである。

スタッフ(近藤)の主張
「ISは、メイドカフェ的なおもてなしのクルマである」

島下泰久の反論
「走りの歓びをおろそかにして“おもてなし”って言われても……」


ディベート編

──「2005年はレクサスの年でしょう? ISというレクサスとしてイチから開発されたクルマを通して、新しいブランドを一気に浸透させよういう歴史的な事柄に、立ち会えるというだけで幸せってもんやないですか!」
島下:それだけですか? 歴史的イベントだというのはわかりますけれど、肝心なのはクルマの魅力じゃないですか。

──「レクサスを買うという行為は、クルマを買うというだけの意味やないんです。“レクサスのある生活”を買うということなんです」
島下:その生活って一体何ですか? ISからそれが見えるとは思わないけどなぁ。

──「たとえばBMW3シリーズやとクルマだけが突出してしまうやないですか。でもISやと、そうはなりません。レクサスには“おもてなし”があるんです」
島下:でも、それは付加価値じゃないですか。肝心な走りの歓びは、おそらく強く意識しているはずのBMWには、やっぱり叶わないですよね。新しい3シリーズ、いいですもん。

──「レクサスは走りも突出してないんですよ。確かにスポーティやけど、基本はどんな時にでも心地よく乗れるということなんです」
島下:けど、乗り心地は良くないですよ。足がハッキリと硬い。長距離は正直疲れます。

──「日本では、クルマでそんな長距離移動はしいひんでしょう? それより、思うにレクサスは、日本の心やと思いますよ」
島下:あんなイタリア製のソファでおもてなし……とか言ってるのに?

──「クルマに近付くとポワッとライトが灯って、乗り込むと間接照明でやさしく迎えてくれる。あれはまさにメイド。『お帰りなさい、ご主人さま♥』ですよ。まさに今年の日本を象徴するにふさわしいクルマですよ、レクサスは」










【スペック】
全長×全幅×全高=4575×1795×1435mm/ホイールベース=2730mm/車重=1580kg/駆動方式=FR/2.5リッターV6DOHC24バルブ(215ps/6400rpm、26.5kgm/3800rpm)/価格=405万円(テスト車=436万5000円/プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)=27万3000円/クリアランスソナー=4万2000円




島下泰久のマトメ

レクサス開業が2005年の日本の自動車業界にとって最大のニュースだったことは間違いないだろう。「マツダ・ロードスター」も「スズキ・スイフト」も確かにクルマとしてよくできてはいたが、日本社会全体に巻き起こしたムーブメントの大きさでは、まったく比較にならない。一般の人々に2005年を象徴するクルマを聞けば、まずレクサスという答えが返ってくるはずである。

とりわけ報道が過熱したのが、その“おもてなし”の部分だ。それらは店鋪スタッフのホテルでの研修等々、とりわけ店鋪のソフトウェアに偏ったものだったが、実はレクサスの言う“おもてなし”は、単に接客の話だけには留まらない。何よりもクルマそのものが備える“おもてなし”の演出。これこそが、本質なのだ。

たとえば、あのスタートボタンを押したあと、エンジン始動とともにメーターの針が躍り、ナビが立ち上がると同時に準備完了を伝えるべくピアノのワンフレーズが響くという一連の儀式。これだけでも普通はうっとりだが、実はそれは序の口なのだ。レクサスオーナーズデスクとG-Linkの働きは絶大で、たとえば目的地が決まっているなら、走り出す前にナビを設定する必要すらない。事前に自宅やオフィスのPCからオーナー専用のサイトで設定しておけば、乗り込むとすでにナビの設定は完了している。

あるいはとにかく走り出してからサポートセンターをブルートゥース対応の携帯電話で呼び出して、口頭で自車の目的地設定を頼むこともできる。目的地の記憶が曖昧なら、たとえば『○○町にあるイタリア料理屋で名前は確か……』なんて具合に検索してもらうこともできるという具合だ。

こうした充実したテレマティクスによる“おもてなし”こそ、実はレクサスの最大の武器だ。輸入車では、仮に同種の発想があったとしても、少なくとも当面は同レベルのサービスは不可能だろう。いったんこれに馴染んでしまうと、“レクサス教”から抜けることは難しそうだ。

最後に今一度、話をISに戻す。実はあの硬い足は確信犯のようだ。チーフエンジニア氏は試乗会でこんなことを仰っていた。
「しなやかにしたら、トヨタと変わらないと言われますから」

スタイリングのためにキャビンが狭くなるのを厭わない。足が硬いのもわざとやっている。それらを礼讃する気はないが、それだけ割り切って性格づけされているのがISというクルマである。個人的にはGSの深みのある乗り味のほうが好みだが、それと同じような色ではインパクトがないのも確か。好き嫌いがハッキリ出るのも躊躇しない挑発的なクルマづくりは、プレミアムブランドとしては大正解だろう。

メイドのように誰にもかしづくが、実は万人に好かれようとはしていない。このあたり、トヨタとは違う。秋葉のメイドカフェよりも、やはりと言おうか、一枚も二枚も、いや三枚も四枚も上手なレクサスである。

(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2005年12月)




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