LOHASカーNo.1は、どのクルマ? (トヨタ・ベルタ)


月刊webCGセレクション2006年1月号

LOHASカーNo.1は、どのクルマ?



















現実的なダウンサイジング



トヨタ・ベルタ1.0X(FF/CVT)
……138万6000円

実は、「小さなエンジンを積んだコンパクトカー」は、エコカーの実力派である。目新しい技術が使われているわけではないが、地道に力を蓄えてきた結果、侮りがたい性能を有するようになった。エコロジーにもエコノミーにも、バランスのとれたスケールなのだ。


この価格でこのクオリティはたいしたもの

改めて見ると、ずいぶん立派になったものだなぁと思う。「ヴィッツ」の兄弟車である「ベルタ」は、つまり「プラッツ」の実質的な後継モデルとなるわけだが、4300mmの全長はそれより155mmも長く、スタイリングも、いかにも取ってつけたようだったプラッツとは違って端正にまとめられている。さらに圧巻なのが外板パネルの成型品質の高さで、たとえばボンネットあるいはバンパー部分のプレスラインなど、じっくり見るとこれが実に繊細な仕上がりなのだ。インテリアにしても印象は変わらない。この価格でこのクオリティ。まったくたいしたものである。

試乗したモデルは「1.0X」と呼ばれる最廉価モデル。価格は132.3万円である。これだけのサイズで1.0リッターとなると、走りのほうはあまり期待できない。そう思っていたのだが、実際はこれが思いのほかよく走った。タコメーターがないので正確にはわからないが、エンジンはそんなに高回転までは回らない設定。しかし、そのぶんトルクカーブは徹底的に低回転域に寄せてある。そんな特性にCVTはベストマッチ。街中でも、そして高速道路でも、常に全開にするまでもなく、しっかり速度を乗せてくれる。

もちろん、決して速いなどとは言わないが、少なくとも2名乗車までなら、そうそうストレスを感じずに済むはずだ。ヴィッツでは車内に露骨に入ってきた3気筒の安っぽいエンジン音も、遮音に違いがあるのか、だいぶオブラートがかけられた印象。こちらも特段静かだとは言うほどではないが、このクラスのクルマでは十分納得できる範囲だ。

乗り心地も、やはりヴィッツより角が丸められたようで、硬すぎず柔らかすぎずの良い按配である。目地段差を超える時のような速めの入力に対してのみ、ガツンッと直接的なショックが伝わることがあるが、剛性感の高いボディはそれを後まで引きずらない。ハンドリングについては、正直なところそれほど強い印象はないのだが、それはつまり大きな不満はないということである。おそらくタイヤ選択の問題だろう、高速域ではステアリングの座りはもっと良くてもいいとは思うが、直進性自体は不満のないものだった。








【スペック】
全長×全幅×全高=4300×1690×1460mm/ホイールベース=2550mm/車重=1000kg/駆動方式=FF/1リッター直3DOHC12バルブ(71ps/6000rpm、9.6kgm/3600rpm)/価格=132万3000円(テスト車=138万6000円/SRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ=6万3000円)




トヨタらしくツボを押さえた

591.4kmを走破したベルタ1.0Xの消費したガソリンは35.29リッター。よって燃費は16.8km/リッターとなる。「ワゴンR RR」より3割以上も良いとはちょっと驚いた。ものすごく乱暴な計算をすれば、約600kmで燃料代に約2千円の差がつくということは、6万km乗れば差は20万円である。ここまで乗るなら税金などの差額分も余裕で吸収できるということだ。

一方、次に登場する「シビックハイブリッド」との比較では、実は燃費に8%ほどの差をつけられた。しかし車両価格の差は約100万円もあるから、普通の使い方ではライフサイクルで見てもベルタの方がエコノミーなのは間違いない。ではエコロジー性はと言えば、排出ガスは同じ4つ星認定。しかも車重が軽く、つまりは使っている材料が少なく、またバッテリーのような処分に難儀するものが少ないということで、ここはベルタの勝ちと言ってもいいのではないだろうか? まあ少なくともシビックハイブリッド以下ではないだろう。

大きくなったサイズについては、最初は率直に言って肯定的にはなれなかったベルタだが、逆にこのサイズだからこそ、それこそシビックくらいのサイズのクルマからのダウンサイジングを現実的に考えられるとも言えるのかもしれない。実際のサイズはさほど小さくはないから言葉のアヤみたいな話だが、エンジンはこれだけ小さく、出費もドーンと少なくて済むのだから。おまけに内外装の仕立てもビンボー臭さとは無縁で我慢を感じることはない。このベルタ、まさにトヨタらしく今求められるクルマのツボをガッチリ押さえた1台である。

(文=島下泰久/写真=峰昌宏/2006年1月)




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