未発表車まで見せちゃう……マツダの「若手編集者工場見学会」

2004.11.12 自動車ニュース
 

未発表車まで見せちゃう……マツダの「若手編集者工場見学会」

マツダは毎年、自動車専門誌の編集者を本拠地の広島に招いて、研究所や工場見学、スタッフと交流を図る「若手編集者工場見学会」を開催している。2004年のメインイベントは、開発拠点たる三次研究所の衝突安全実験施設と、宇品第2工場の復活セレモニーだった。『webCG』記者のリポート。


試乗車&参加者の足となったクルマたち。左から2番目が「ロードスタークーペ」。
 

■なんとも大らか

三次研究所は、広島市から北東約60km、中国地方のほぼ中央に位置する、山に囲まれたのどかな町にある。「ロードスター」や「RX-8」、グロバルカー「アクセラ」「アテンザ」も、ここで開発された。
マツダの本拠地といえば広島だが、われわれが降り立ったのは、愛媛県は松山空港。そこからマツダ車に試乗を兼ねて分乗し、瀬戸内海を渡る「しまなみ街道」、山陰地方の山々を走る高速道路をぬけ、300km以上離れた広島県三次市へ向かった。


側面衝突時のダメージシミュレーター(写真=マツダ)
 

道中は、4車種を乗り換えるて運転したり同乗したりする。「アクセラ」「アテンザ」「デミオ」らの世界戦略車はもちろん、マツダ自慢の「RX-8」と「ロードスター」も用意されており、リポーターは運よく「ロードスタークーペ」のステアリングを握ることができた。1.8リッター直4+6MTを積む「TypeS」である。
相変わらず……といってはナンだが、トルキーなエンジンは使いやすい一方、雰囲気は実用車風。スポーツカーらしくはない。“ロードスター”(オープン)なのに“クーペ”のネーミングも、ちょっと意味不明ではある。しかし、さすがはロードスター。乗るとやっぱり楽しいクルマだった。ちなみに、自動車専門誌の編集者、つまりクルマ好きが集まっただけあり、試乗車のなかで人気が高かったはいうまでもない。


対歩行者の安全性に配慮した「衝撃吸収ボンネット」のシミュレーター(写真=マツダ)
 

三次で見学したのは、衝突安全開発、いわゆるパッシブセーフティーについて。ダミー人形でダメージを測定するお馴染みのシミュレーターに加え、ゴムボールを「アクセラ」のボンネットに発射してダメージを測定し、衝撃を吸収しやすい構造を模索する実験施設を拝見した。こうして開発されたのが、いわゆる「衝撃吸収ボンネット」である。
公開実験では、ボンネット中央のもっとも弱い部分に発射されたが、歩行者が都合よくぶつかってくれる(?)とはかぎらない。また、Aピラーなど、構造的に頑丈にせざるをえない部分もある。マツダでは歩行者保護性能を高める方法として、外へふくらむエアバッグなど、様々な方策を模索しているという。


ゴムボールが「アクセラ」のボンネットにぶつかった瞬間(写真=マツダ)
 

といったハナシも興味深いが、個人的にもっとも面白かったのが、観光バスでテストコースをめぐる“三次研究所ツアー”(?)。自動車メーカーの研究所はマル秘が多く、ビジターは入ることもできない。そうでなくとも、開発中のクルマや実験車両は、普通、隠される。
が、三次はバレバレ。カモフラージュしてはいたが、デビュー前(当時)の「ベリーサ」が走っている。オーバルコースでは、比較テストか、「ブレーキ」と書かれたアクセラに続いて、欧州プレミアムカー数台がすっ飛んでいき、東京モーターショーに出たコンセプトモデル、ミドルセダンのスポーティバージョンが駐車場から出て行った。
三次市の印象と変わらない、なんとも大らかな研究所だ。


宇品第2工場のセレモニーで、壇上に立った井巻久一代表取締役社長兼CEO(中央)(写真=マツダ)
 

■なんとなく微笑ましい

一夜明け、訪れたのはマツダの生産本拠地として復活した宇品第2工場、通称「U2工場」。同工場は、マツダ車の販売不振により、2001年9月に閉鎖されていたが、環境への配慮や組み立てラインをより簡便にするなどの改善を図り、このたび、めでたく復活を遂げた。
工場で行われた復活セレモニーには、井巻久一代表取締役社長兼CEOをはじめ、労働組合の関係者や工場の従業員が参加。復活第1号車となる「デミオ」をラインオフした。


工場見学の1コマ。写真は、組上がったエンジンのテストユニット。ロータリーは静粛性が高く、ワインをいれたグラスを回転するエンジンに乗せるパフォーマンスでも、ワインにさざ波がたつのみ。(写真=マツダ)
 

工場の閉鎖や復活は企業再編の一環、、つまり効率化などを追求した結果である。一方、セレモニーの後に見学した「RE工場」は、効率とは反対の世界(?)だった。RE工場とはもちろん、マツダが誇る世界唯一のバンケルユニット組み立て工場である。
シンプルでパーツ点数のすくないロータリーエンジンのラインは約70mと、一般的なレシプロ(直列やV型)エンジンのライン長(100m以上)より短い。しかし、トロコイド(おにぎり型の回転部分)やハウジング(おにぎりのケース)の切削、表面加工を施す手間がかかり、組み立てに人の手を多くかけているため、組み立てにかかる時間も長いという。



 

わざわざ手間をかけるには、ブランドイメージ&アイデンティティの堅守といった理由はあるのだろうが、工場には三次研究所と同様、なんとなく大らかな雰囲気が漂う。こんなユニークで楽しげなマツダ。2日間の見学で、「ロードスタークーペ」や「RX-8」が生まれたワケが、ちょっとわかったような気がした。

(webCGオオサワ)



 

マツダ:
http://www.mazda.co.jp/

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