LOHASカーNo.1は、どのクルマ? (ホンダ・シビックハイブリッド)


月刊webCGセレクション2006年1月号

LOHASカーNo.1は、どのクルマ?






















ディーゼルの立つ瀬はほとんどない



シビックハイブリッドMXB(FF/CVT)
……219万4500円

昨今は「ハイブリッドこそ、一番エコなクルマ」とも思われている。ハイブリッドシステムにおいて世界をリードする日本の、最新ハイブリッドカー「ホンダ・シビック」でその真実を検証した。今回用意した4台の中では一番の好結果が期待される。

もっとハイブリッド意識を与えてほしい

ここまでエコカーの話を引っ張っておいてナンだが、ハイブリッド車が日本で、あるいは北米でも売れているのは、何も皆が突然エコに目覚めたからではないはずだ。実際のところ最初にあったのは、おそらくこれまで未体験の新しい種類のクルマへの興味のようなものだろうし、さらに今ではそこにエココンシャスな今っぽい自分を演出する小道具のような価値も見出されているに違いない。もちろん、話はそこに終わらずに、そこで味わった新しい感覚のドライビングフィールに惚れ込んだり、あるいはエコノミーであったりエコロジーへ貢献していることの気持ち良さに気付いたりして、ハイブリッド党になっていくという例も、きっと多いのだと信じたい。

そういう観点から見ると、新旧シビック ハイブリッドのアピール度はやや弱い。外観、実際の走行フィーリング、エネルギーモニターのような視覚に訴える要素など、様々なところで新しい概念の乗り物であることを濃厚に味わわせてくれる「トヨタ・プリウス」と比べると、シビック ハイブリッドはあまりにも真っ当な、我々の頭の中にある概念通りのクルマである。ただしそれも、すこぶるつきに良くできた。

3ナンバーサイズのボディはガッチリ強靱。着座位置低めのシートに身体を預け、剛性感たっぷりのステアリングを切り込むと、適度に引き締まったサスペンションは最低限のロールを許しながら、ノーズを思い通りにインへと引き込む。圧巻はその時のリアの追従性の高さで、寸分の遅れもなくボディ全体がすぐに旋回態勢へと入る。この引き締まった操縦感覚は、まるでスポーツカーだ。

自慢のハイブリッドシステム“IMA”も、もはや非力な印象は微塵もなく、踏めば踏んだ分だけ、すぐに分厚いトルクが湧き出して、気持ち良く速度を高めていく。それはもちろん、それでいいのだが、ハイブリッドに対する一般的な期待からすると、贅沢な物言いだが、あまりに普通に良過ぎるともいえる。せめてモーターアシストが効いている時には、それを強調する音なりをかすかに聞かせるだけで、随分印象は違うのではないだろうか。現状では、それどころかロードノイズその他の音が下まわりから盛大に入り込んで、せっかくの上質な走りっぷりをスポイルしている。明確にハイブリッドを意識させるのが、回生システムと油圧ブレーキの協調ぶりが今ひとつのブレーキのタッチと、モーターアシスト/充電の状況を知らせるLEDメーターだけでは寂しい。











【スペック】
ハイブリッドMXB:全長×全幅×全高=4540×1755×1435mm/ホイールベース=2700mm/車重=1260kg/駆動方式=FF/1.3リッター直4SOHC8バルブ(95ps/6000rpm、12.5kgm/4600rpm)+モーター(20ps/2000rpm、10.5kgm/0-1160rpm)/価格=219万4500円(テスト車=同じ)


高速道路でも優位

それでも肝心要のエコ性能の面では、ハイブリッドの恩恵をまざまざと見せつけた。走行距離591.7kmに対して使ったガソリンは32.67リッター。燃費は実に18.1km/リッターに達したのだ。気持ちの良い走りにいい気になって相当なペースでカッ飛ばしたにもかかわらず、この好燃費。しかも計算式によるCO2排出量も最小と、エコ性能はまことに素晴らしい。

ところが燃料代は、今回唯一のディーゼルエンジン搭載車である「プジョー307SW HDi」に僅差で負けてしまった。燃費そのものはシビックハイブリッドのほうが2割近く良かったのに、軽油の安さのせいでひっくり返されてしまったのだ。

それにしても、この結果には興味深いものがある。ハイブリッドで遅れをとったヨーロッパのメーカーは、ハイブリッドのメリットは市街地でしか出ないと言っているのに、高速巡航区間の長かった今回の旅程でも、ハイブリッドはこれほどまでの高効率性を示したのだから。しかもフィーリングはきわめて洗練され、NOxやPMといったエミッションでも優位とくれば、ディーゼルの立つ瀬はほとんどない。今回の結果だけでそう結論づけるのはもちろん無理だが、少なくともヨーロッパ勢の思っていた以上に、ハイブリッドの進化が急だということは間違いないだろう。

時代にスマートに抗うのがシビックだと思っている僕からすれば、ちまたで騒がれているように、シビックがハッチバックでなければならないとは特に思わない。ただし、ホンダがどうだと胸を張るワイド&ローのフォルムは、最初に挙げたように今、プリウスこそキているのだとしたら、ちょっと古いのではと感じる。ハイブリッドシステムの走行フィーリングも含めて、ホンダは自分達の作りたいクルマと世間が求めているものの間にあるギャップについて再考する必要があるのでは? これが、いかにも玄人好みのその走りを体感して思ったことである。

(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2006年1月)






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