LOHASカーNo.1は、どのクルマ? (プジョー307SW HDi136)


月刊webCGセレクション2006年1月号

LOHASカーNo.1は、どのクルマ?






















エコ性と走りを両立できる



プジョー307SW HDi(FF/6MT)
…………1万7115ポンド(約359万4150円)

最後に登場するのは、ディーゼルエンジンを搭載する「プジョー307SW HDi」。一時期は(今でも一部)悪役として有名だったそのユニットは、欧州においては次世代の主役として進化を続けている。今年、メルセデス・ベンツも日本上陸を予定する、その新世代ディーゼルユニットを検証する。

燃費だけでなく、エミッション性能も高い

世界の多くの自動車メーカーがこぞってハイブリッドの開発に乗り出したのは、はたしてハイブリッドこそが次世代パワートレインの主役と認められたからかと言えば、そう断定するのはまだ早い。彼らが重い腰を上げたのは北米という大きなマーケットに配慮したから。ヨーロッパ勢が本音で次の世代を担うと考えているのは、メルセデス・ベンツによる今秋からの導入というニュースで注目した方も、きっと多いことだろう、そうディーゼルエンジンである。

90年代中盤に生み出された新世代ディーゼルエンジンが掲げる長所とは、すなわちクリーン性とハイパワーだ。そう聞くと、かつてのそれこそ“排出ガスが汚くて遅い”ディーゼル車を知る人は、それは逆なんじゃないかと思うかもしれない。しかし技術革新が急ピッチで進められてきた最新のディーゼルは、昔のアレとはまったくの別物といっていい。

今回連れ出したボッシュオートモーティブシステム所有の「プジョー307SW HDi」が搭載するのは、そんな最新の直列4気筒ディーゼルターボユニットである。その一番の特徴は、コモンレール式燃料噴射システム。これは1650barという高圧で燃料を噴射することで、燃焼効率の飛躍的な向上を実現するというものである。燃焼効率の向上は、まず当然パワーアップに繋がる。低圧過給型のターボチャージャーとの組み合わせによって実現したのは、最高出力136ps/4000rpm、最大トルク32.6mkg/2000rpmという強力なスペックである。

さらにこれはエミッション性能の向上にも大きく貢献している。307SW HDiがクリアしているユーロ4規制では、NOx+HCの排出量は1990年代初頭に較べて78%減。PM、すなわち粒子状物質も87%減を達成している。このPM低減には、標準装備されたDPF(ディーゼル粉塵フィルター)の効果も当然大きい。そしてさらに、ディーゼルエンジンは燃費に優れることからCO2排出量もガソリン車以上の低減を期待できるというわけである。










【スペック】
全長×全幅×全高=4428×1762×1580mm/ホイールベース=2708mm/車重=1510kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブ・コモンディーゼルターボ・インタークーラー付(136ps/4000rpm、32.6kgm/2000rpm)/価格=1万7115ポンド(欧州仕様/約359万4150円)



燃料費は安いのだが……

実際その走りっぷりは、アクセルをひと踏みしただけで驚きをもたらす。6段MT仕様のこの307SW HDiは、ギアを入れて走り出すと、その瞬間から図太いトルクでグッと力強く車体を引っ張り、その後も回転が高まるのを待つまでもなく、即座に加速態勢へと移るのである。余裕の低回転域トルクのおかげで100km/h走行時のエンジン回転数は1800rpmほどと低く、全開時に多少カラカラという音が聞こえてくる以外はエンジン自体も十分に静かなため、速度域が上がるほどに車内の静粛性は際だってくる。しかも、そこから右足に軽く力を入れるだけで、背中をグイッと押されるかのような加速を開始する抜群のツキの良さまでみせるのだ。
この粘り強いトルク特性のおかげで、MT車でも街中では3速固定でラクに走れてしまう。ATとのマッチングの良さも想像に難くない。高回転域での刺激なんてものとは無縁だが、いついかなる時もほしいままに力を発揮する特性は、それとは別の、しかしまぎれもないスポーティさである。

そんな走りを存分に味わった581.7kmの旅程で消費した燃料すなわち軽油は37.67リッター。つまり燃費は15.4km/リッターとなる。CO2排出量に関して2台の後塵を拝したのは意外だったが、注目すべきは燃料費がシビックハイブリッドをも下回っていること。トータルで見れば、これまた非常にエコな存在なことは間違いない。とは言え、これはある程度は予想通り。ディーゼル車について語る上で肝心なことは、これだけのエコ性を、個性的で痛快な走りっぷりと両立させているという事実だ。

それでも、やはり軽自動車より燃料費が安いという結果は興味深い。何しろ、エコな自動車生活をおくろうと思った時に、考えられる選択肢はダウンサイジングだけではないということなのだから。
とは言いつつも、ことエコノミーという観点からすれば、ディーゼル乗用車やハイブリッド車は、車両自体が高いという問題を抱えている。軽自動車との価格差を、節約できる燃料代で取り返すのは到底無理。となると、やはり軽自動車にもそれなりのメリットがあるわけで……。

前口上に書いた通り、自動車はどれも等しく環境に負荷をかける存在である。それはどんなクルマを選ぼうと大筋では一緒。どれかだけがズバ抜けてエコロジーでエコノミーだということは、やはりない。軽自動車だからダウンサイジングでエラいわけでも、ディーゼル車だから感度が高くてエラいわけでも、どちらもないのだ。そんな風に考えることから、実はエコでLOHASな自動車生活は始まるんじゃないだろうか。

(文=島下泰久/写真=峰昌宏/2006年1月)




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