【東京モーターショー2004】見るのみならず乗ってみる(後編)――福祉車両に同乗試乗

2004.11.08 自動車ニュース

【東京モーターショー2004】見るのみならず乗ってみる(後編)――福祉車両に同乗試乗

2004年11月2日から7日まで開催された第38回東京モーターショー(商用車)。来場者に試乗の機会をということで実施された同乗試乗会で、車椅子のままクルマに乗り込める福祉車両を体験してみた。

■福祉車両、市場は年々拡大

日本の身体障害者総数は約343万人。このうち在宅の身体障害者で肢体に不自由のあるひとは約175万人と推計される。また65歳以上の高齢者人口は約19%に達している。身体の不自由な方やお年寄りの移動手段が、いま必要とされているのだ。

そのあらわれか、福祉車両の市場規模は年々拡大している。特に2000年に施行された介護保険法で弾みがつき、2003年度は4万4023台と、前年度比116.5%という数字を記録している(以上数字はすべて社団法人日本自動車工業調べ)。

各社が当たり前のようにラインナップし始めた福祉車両は、大きく分けて、自らが運転する「自操型」と、介助するひとがされるひとを乗せる「介護型」の2種類があるというが、今回は後者から、車椅子で乗り込むことができる「トヨタ・シエンタ・ウェルキャブ車いす仕様車」に試乗してみた。

この車いす仕様車は、2003年9月にデビューした7人乗りミニバン、シエンタの最後列シートを取り払い、そこに車椅子を収める仕組みを採る。2種類あり、パーソナルユースの「タイプI」は、乗員5人+車いす(1人)の定員。ビジネスユース「タイプII」は、2列目もなくしてスペースを広くし、全長の長いものやリクライニング機構付きの車椅子でも利用可能としたものだ。

■車いす仕様の利用方法

利用方法を大まかに説明するとこうなる。

1:エンジンをかけた状態で車両を停車させ、シフトレバーを「P」にし、パーキングブレーキをかける。

2:車椅子で乗り込みしやすいよう、「車高調整スイッチ」を押し、リアハッチ側を下に傾斜させる。

3:収納されたスロープを外側に引き出す。スロープの角度は8度。車椅子に、滑り落ちを防ぐセーフティベルトを取り付ける。

4:介護者が車椅子を押し、スロープをのぼりきったら、車椅子のブレーキをかけ、フックで車両に固定し、シートベルトを締める。

■より多くのモデルで

試乗したモデルはタイプIを前席のみとしたもの。2列目を使う場合と比べ、前後の奥行きが広くなるのに加え、室内高がプラス20mmの1250mmとなる。

車椅子に腰をおろし、介護者(今回はトヨタのスタッフの方)の力添えで車内に乗り込むと、頭がつかえる感じはあるものの、左右にはスペースがあり、さほど窮屈感はない。また走り出しても、限られた速度と場所での感じだが、不安をおぼえるようなこともなかった。

ただ、後部中央に乗車するため、運転者にとっては後方確認の目(つまりルームミラー)が事実上ひとつなくなるというデメリットもある。「後ろの同乗者の様子を確認できるので、ドライバーが安心できるともいえます」とは、ステアリングを握るスタッフ氏のご意見。たしかに、目と目を合わせてコンタクトはできた。

なお、気になる価格面でのプラスだが、シエンタの場合、ベース車比で約42万円高く、215.0万円(グレードはいずれも1.5リッター「G」)だが、消費税は免除される。

冒頭で触れたように、障害を持つ方や高齢者の数はけっしてすくなくない。ブームに乗り多くのミニバンが誕生したわが国において、福祉車両の入る余地は大きいと考えられる。
今回のシエンタのような“小さなミニバン”をはじめ、多くのメーカー、モデルに福祉車両が拡大採用されており、これは歓迎すべき傾向だ。数が増えれば、より廉価で提供できるようになるだろう。

(webCG 有吉)

トヨタ自動車「福祉車両ウェルキャブ」:
http://www.toyota.jp/welcab/

 

「タイプI」と呼ばれる乗員5人+車いす(1人)仕様。2列目を畳んで前席シートバックにつけ、より広いスペースとしてある。
 

車両後部を傾け、8度の傾斜角をつけたスロープを、車椅子ごとのぼる。
 

車椅子の乗車が完了、スロープをしまうとこうなる。
 

車内の様子。高さ1250mm、やや頭のスペースがきついが、左右は十分。
 

車椅子からの視線。ドライバーとルームミラーで目が合う。
 

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