第170回:ちょっと安心の最新型「ポルシェ911」試乗報告 “最新=最良の法則”は俺にはやっぱ通用しないぜ! 後編

2004.11.07 エッセイ

第170回:ちょっと安心の最新型「ポルシェ911」試乗報告 “最新=最良の法則”は俺にはやっぱ通用しないぜ! 後編

3.8リッターユニットを積む「カレラS」は、カレラより全高が10mm低い。ポルシェ初というアクティブサスペンション「PASM」(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)を標準装備する。
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■ウマ味30%増し

前回からの続き)
とはいえ、単純にクルマとしてよくなったことには感動した。このへんの「うわ、なんだか知らないけど味がよくなってる〜!」みたいな部分は、やっぱりポルシェの真骨頂でしょう。「成長」「熟成」をエンターテイメントとして確立してるのは、やっぱり凄い。

実はクルマって、いいクルマになればなるほど味が大切で、高級ワインと同じようなモンになってくる。で、どんなにいい物でも毎日乗ると「やっぱり飽きてくる」のが人間の性。
そういう飽食状態のオーナーに、基本テイストは前と同じ、だけど「ウマ味10%増し!」いや「ウマ味20%増し!」の商品をちらつかせれば、そりゃ買っちゃうよね。元々、最新型ポルシェ買う人たちなんて快楽主義者で、お金に苦労してない人種が多いんだから。

その点、997はウマ味が30%ぐらい増量してると思われました。こりゃ、996型から入ったポルシェフリーク、もしくは型にこだわらないハイパフォーマンスカーフリークだったら買っちゃうでしょう。5分乗っただけで「納車はいつ……」って言わせること間違いなし。たぶんね。

 
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カレラSの標準装着タイヤは、フロントが235/35ZR19、リアは295/30ZR19インチとかなりファット。
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【スペック】
カレラS:全長×全幅×全高=4425×1810×1300mm/ホイールベース=2350mm/車重=1460kg/駆動方式=RR/3.8リッター水平対向6DOHC24バルブ(355ps/6600rpm、40.8kgm/4600rpm)/価格=1248.0万円
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■結局……欲しい

最大のポイントはステアリングフィール。こんなにキモチいいスポーツカーに乗ったことない! ってくらい軽くナチュラルでよろしい。実は今回からチルトステアリング機構が付いて、ある意味、悪い影響を及ぼすんだけど、逆にこれだけよくなったからチルト機構を追加できたのかもしれない。
それからエンジン。一段とキモチよく、かるーく吹けるようになった。でね。ノーマル「カレラ」の3.6リッターでも十分いいんだけど、「カレラS」の3.8リッターに乗ってからノーマルに戻ると、やっぱりカレラSの方がイイのがよくわかる。この辺の味わいも、ワインのテイスティングによく似てます。
それはハンドリングも同じで、カレラSは足を硬めたぶん、よりダイレクトでより“芯食ってる”感じ。ただ、路面からのキックバックが増えるし、足まわりはノーマルで十分だと思いました。さらに、全体の剛性感、乗り心地、品質感がどことなく上がってるのよ。よりダイレクトによりフリクションがなく、研ぎ澄まされていて、それでいて静かになってるという。要するに「高品質化」ですな。

ただ、繰り返すけど最大の問題はデザインだろうね。ホント、正直アイデアがないんだと思う。無論、特に911の場合、古いスタイルにこだわる人が多いのも問題なんだろうけど、たとえば、新しいアストンマーチンやそれこそアウディみたいに、画期的で挑戦的な新スタイルを導入してもらいたいもんである。もちろん、リアエンジンのままでね。当然、インテリアも同様。ポルシェってなんというか、いつも黒尽くめの体育会仕様で、インテリジェンスをほとんど感じない。もうちょっと工夫してよね。1000万円以上するんだから、って感じ。

とはいえ、俺が古いスタイルにこだわらない人なら、きっと単純に「欲しい」って思っちゃうんだろうなぁ。それくらい味はいいし、よくできてます。

……っていうか、なんだかんだ文句いってるけど、お金持ちだったら買っちゃうな。間違いなく。あー、いいクルマ〜!

(文と写真=小沢コージ/2004年11月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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